金曜午後六時ハチ公、命捨てるかパンプス買う散歩

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そんなことを考える私も、母親が死んではじめて元カレの底の浅さを知った。 母親の死を報せたら、単調な定型の言葉だけが返ってきた。 そこまではまだ良い。私だってそれまで人の母親が死ぬなんて感覚は想像もできなかったと思う。 でもその直後、撮りたての自撮りについての出来を聞かれた。 まるで小学生と会話してるような気になって、一人でいるよりも孤独な気持ちになった。それですぐに別れた。 なんの価値もないどうでもいい存在だったということを実感した。 あんな空っぽと半年も付き合ったことが馬鹿らしくて哀しかった。 そういえばあれ以来、メイクどころかまとも鏡にむかったこともない。 ――貴方はそれでもいいの? あの女の子は幸せなんだろうか。 ――貴方の話や悩み事なんてまるで聞いてないかもよ? それともあの女の子は、すべて承知で子犬とセックスできればそれでいいのだろうか。 男がまた子犬みたいな笑顔を見せた瞬間、寒気がして、スマートウォッチが振動した。 男から顔をそらすと、横にいた死神と目があった。 子犬みたいな男の顔と死神の顔を見比べて、あまりの違いに吹き出しそうになる。 まったく同じ人間なのだろうか。 やっぱり一緒にいるのは人間じゃない、死神なんだ。
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