絵夢子の家にて

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絵夢子の家にて

「はあ、着いた!K太!遂にやれるわよ!」  淫らではあるが、圭太の事も思っての絵夢子の発言に、「あっ、はい!嬉しいです!」と圭太は感謝を込めて喜びを表現し、絵夢子と共に溌剌として自転車を降り、「ふふふ、私もよ!」と絵夢子が笑いながらアコーディオン門扉を開けて自転車を手押しでコンクリート土間の殺風景な敷地内に進入した。それに続いて血沸き肉踊らせながら圭太も自転車を手押しで進入し、「目が輝いて来たわよ!K太君!」と絵夢子が言いながら家に向かって右奥にあるサイクルポートに自転車を停めれば、「そうですか?」と聞きながらその隣に自転車を停め、「どきどきする?」と絵夢子が聞きながら家に向かって左前にある玄関ポーチへ歩いて行けば、「はい、心臓がバクバク言ってます。」と胸を高鳴らせながら付いて行った。「ふふふ、そうでしょう。」と絵夢子が笑った時には二人は玄関ポーチに立っていた。  そこで意気投合した二人はカップル宛らに、「K太君!」「M子さん!」と名前を呼び合うと、互いに抱き着き抱擁した。この時、圭太は絵夢子と抱き合いながら十日前に悟った事は僕の思い過ごしだったと思い直す気になった。更には身も心も絵夢子と結ばれた気がして幸福とはこういうものかとさえ感じた。が、抱擁が解けた後、絵夢子が玄関ドアの鍵をトレーナーのポケットから取り出す際に表札を見たら和泉とあり、忌み嫌う苛めっ子と同じ名字だと分かったので、ちょっと不吉なものを感じた。それに引き替え、屈託のくの字も知らない絵夢子は玄関ドアの鍵を開けると、「やっほー!」と気勢を上げ、玄関ドアをドアクローザーで止まるまで目一杯、開けてから圭太の背後にいそいそと周り、「はいはい、入って入って!」と言って圭太の背中を両手で押しながら彼を玄関に請じ入れ、自分も入りドアを閉めた。そしてスリッパラックから二足分のスリッパを取り出して上がり框に置くと、一際可愛らしく、「さあ、上がって!」と言った。  圭太は徒でさえ家に招かれるのが久しぶりだったのに絵夢子のような可愛子ちゃんにこの様に歓待されて招き入れられたのだから感涙に咽びたくなる位、大感激して、「お邪魔しまーす!」と元気良く言ってスリッパに履き替え、上がり框に上がった。続いてスリッパに履き替え、上がり框に上がった絵夢子は、「さあ、こっちよ!」と言って手慣れた手付きで圭太の手を取り、階段の右横のキッチンに通じる廊下を少し進み、キッチンに向かって右側にあるリビングの開放されたドアの前まで来ると、「さあ、入って。」と言って圭太をリビングに通した。自分も後から入って行きながら、「まずはここのソファーにでも座って寛いでて。」と言って、「はい。」とはきはきと返事をした圭太から繋いでいた手を離した。実に好い気分の儘、テレビの向かいにあるソファーに圭太は座ると、丁度、絵夢子が掃き出し窓を勢い良く全開にしたので、そよそよとした秋風が白いレースのカーテンをそよめかせながら部屋に入って来て、それと共に自分の心に新鮮な風を彼女が送り届けてくれた気がして更に好い気分になった。 「私、お腹がペコペコだからまずはお昼御飯を取るけど、K太君は食事を取って来たよね。」 「はい。」 「小腹が空いてるなら(テーブルに置いてある)折りの中にお菓子が入ってるから食べても良いよ。」 「はい。」 「テレビ見たいなら見ても良いから。」 「あっ、はい。」 「あっ、K太君、喉乾いてるでしょ!」 「ああ、はい。」 「ジュースが好~い?それともアイスコーヒーが好~い?」 「あの、じゃあ、アイスコーヒーで!」 「そう!今すぐ持って来るわ!」  絵夢子は言葉通り、張り切ってリビングを飛び出して行くと、直ぐにアイスコーヒーの入ったコップを持って戻って来て、にこにこしながら、「どうぞ御ゆるりとお召し上がりくださいませ!」と態と敬語で言いながら圭太にアイスコーヒーを差し出した。  圭太はそれに応えて、「はあ、かたじけのうござりまする。」と言葉通り、戯けながらも実に有難く受け取った。 「ふふふ、じゃあ、私、食事の用意して来るから、ちょっと待っててね。」 「はい。」と圭太が歯切れよく返事をすると、絵夢子はリビングを出て行ってラケットバッグリュックそれ自体、亦はその中身に関する雑用を済ませた後、キッチンへ行って食事の用意に入った。その間、圭太は、M子さんの注いでくれたアイスコーヒーだあと感慨深げにアイスコーヒーを一口飲んで実に幸せな気分になっていた。そしてキッチンからする物音に耳を欹ていたが、やがてリモコンでテレビを点け、アイスコーヒーを飲みがてらテレビを見、折りのお菓子を食べ、何しろ、わくわくしながら待っていると、絵夢子がリビングを出てから物の七八分位で、「お待たせー!と言っても私のお昼御飯を持って来ただけなんだけどね。」と言いながら楽しげにリビングに入って来て昼食を載せたお盆をテーブルに置いた後、圭太の左横に座った。「食事の用意って言っても豚カツとカレーを温めてただけなんだけど・・・」  絵夢子はそう言いながら圭太の太腿に右手を添え媚びた体になり、「ごめんね、家に招いておいて私一人で食べるなんて・・・」  圭太は絵夢子の右手が自分の股間を今にも弄りそうな気がして、ぞくぞくしながら、「いえいえ、いいんですよ。」 「そ~お、でも、K太君の分も用意しておくのが常識的な招き方ってものじゃな~い?」 「まあ、そうですねえ・・・」 「ねえ・・・だけど、お母さんに二人分を作らせる訳にはいかないでしょ。だって留守中に男の子を連れ込んでるって思わせたら心配で仕事が手に付かなくなるじゃな~い。」 「はい、だから僕、M子さんの言う通り家で食べて来たんです。」 「そうね、でもなんか、男の子を招いておいて、これじゃあ、可笑しいなあって思ったから亦、説明したんだけど私の申し訳ない気持ち、分かる?」 「分かりますよ。ですけど僕の方こそ、何の差し入れもなくお邪魔してる訳ですから申し訳ない位なんです。ですから僕に気を遣わず僕に構わず食べて下さい。」  慰労や激励の為に来ている訳ではないから可笑しなことを言ったものだが、圭太は我ながら気の利いた良い答え方をしたと思った。が、絵夢子がにやりとした儘、何も言おうとも食べようともしないので、あれっと思った儘、その醸し出す魔性につい惹き込まれてしまった。すると、その隙に自分の太腿に添えられていた手が本当に自分の股間を弄り出したものだから驚くやらあたふたするやら気持ち良いやらで、「あっ、あっ、あの、え、え、M子さん!」 「ふふふ、なあに?」 「あっ、あの、て、て、手が・・・」 「手がどうしたの?」 「い、いや、あの・・・」 「おち〇ちんに当たってますって言いたいの?」 「え、ええ・・・」 「それだけじゃなくって、おち〇ちん、摩っちゃってますって言いたいの?」 「はっ、はあ・・・」 「おまけに、おち〇ちん、握っちゃってますって言いたいの?」と絵夢子が言いながらジーパンのもっこりした部分を本当にぎゅっと握ったものだから、「ああ~!はあ~!」と圭太は思わず喘ぎ声を上げ、それを返事とする。と、うふふふと絵夢子はヤリマンの面目躍如として好色そうに笑い、もっこりした部分を美しい繊手でいやらしく弄り続け、貪婪な光りを宿した目を圭太に向けた儘、「ねえ、K太君。」 「はっ、はあ・・・」 「気持ちい~い?」  圭太は徒でさえ絵夢子が摩っていると思うだけで興奮して気持ち良くなるのに自分で摩る時とは全く違った繊細な感触を味わえて輪を掛けて気持ち良くなるので喘ぎ声を漏らさない訳には行かず、「はあ、はあ、はい。」とだらしなく首肯する。 「ふふふ、こんな事、私にされたら、そりゃあ気持ち良くならない筈が無いわよねえ。」 「はっ、はあ・・・」 「それに女の子にいきなりこんな事されたら驚かない筈が無いわよねえ。」 「はっ、はあ・・・」 「でもね、K太君。」 「はっ、はあ・・・」 「女の子ってねえ、実は男の子よりとってもエッチなのよ。」 「はっ、はあ・・・」 「それに~、K太君って~、私の何なの?」 「えっ、え~と・・・」 「セフレでしょ。」 「あっ、はあ・・・」 「それに~、私って~、K太君の何なの?」 「えっ、え~と・・・」 「先輩でしょ。」 「あっ、はあ・・・」 「それに~、ここって~、学校?」 「い、いえ・・・」 「私の家でしょ。」 「はっ、はあ・・・」 「じゃあ、私が何しても驚く事ないじゃな~い。」 「はっ、はあ・・・」 「私の好きにさせてよ~!」 「はっ、はあ・・・」 「況してK太君と私以外に誰もいないのよ。」 「はっ、はあ・・・」 「鬼の居ぬ間に洗濯って奴よ~!」 「はっ、はあ・・・」 「で、そもそもK太君って私の家に何しに来たの?」 「えっ、あっ、あの、その・・・」 「セックスでしょ。」 「はっ、はあ・・・」 「じゃあ、尚更、これ位、されたって驚く事ないじゃな~い。」 「はっ、はあ・・・」 「でも、お腹ペコペコだし、お昼ご飯が冷めちゃうといけないから取り敢えず、これ位にして・・・」と絵夢子は言うと、弄るのを止め、「ねえ、これから食べてもい~い?」  圭太は大分、大事な物が大きくなってしまって、丁度、そう、あのローリングストーンズのスティッキーフィンガーズのレコードジャケットの表写真と同じ様な事になって、もっこりと膨れ上がった部分を苦しく感じつつ、「はっ、はい。」と返事をしてから、「ぼ、僕に構わず、ど、どうぞ、た、た、食べてください。」と吃りながら勧める。 「ふふふ、有難う、じゃあ、食べるね。」と絵夢子は然も可笑しそうに言って、お盆に向かうと、スプーンを取ってパクパク食べ出し、口をもぐもぐさせながら顔を上げ、「あのね、私、ほんとだったらK太君の分も作ってあげたいんだけど、料理がからっきし出来ないのよ。ごめんね。」 「いえいえ、いいんですよ。」 「そ~お、でも、やっぱり申し訳ないから後で物凄いサービスしちゃうから楽しみにして待っててね!」 「あっ、はい!もう僕、さっきから期待し捲ってます!」 「もう、K太君ったら、すっかり調子づいちゃって、うふふふ。」と絵夢子は笑ってから、お盆に向かうと、時折、端なく舌を出して口の周りに付いたカレーを嘗めながらむしゃむしゃ食べる。その不行儀な絵夢子をすっかり浮き立っていた圭太は、からかいたくなって、こう切り出した。 「あのー、僕、思うんですけどM子さんって食べ方がワイルドですよね。」  M子はしっかり食べ物を飲み込んでから圭太に顔を向け、「えー!やだー!ワイルドだなんて!私、レディよ!もっと良い表現出来ないの!」 「だって今もそうですが、部室棟の裏で食べてた時も物凄い勢いで食べてましたよ!」  絵夢子は思わず手で口を押さえ、「えー!ほんとに?」 「はい、ほんとです。」 「はい、ほんとですって、ストレートに答えちゃって、もう!なんか恥ずかしいじゃないの!余り見ないで!」と絵夢子は言って、お盆に向かうと、気持ち慎んで食べる。 「全然、恥ずかしがる事ないですよ。大食漢なのにそんなに細いって素敵じゃないですか!」  絵夢子はオレンジジュースをごくりと呑み込んだ後、「大食漢って大食い男みたいに言わないで!」と言っておきながら大食い男よろしく豚カツにがぶりと食いつく。 「あっ、すいません。でも、僕、思うんですけどM子さんってそんなによく食べるのに細いって事は相当、運動なさってるに違いないですから体脂肪率が相当、低いんでしょうね。」 「私ね、太らない体質なの。」と絵夢子はカレーライスを食べながらぼそっと呟く。 「いやあ、それだけじゃないでしょ。家でも相当エクササイズして努力なさらないと牛飲馬食して、その細さを保てる訳がないですよねえ。」  絵夢子は圭太に顔を向け、口をもぐもぐさせながら、「何、K太君、ぎゅういんばしょくって?」 「だから、よく飲みよく食べるって事です。」 「もう!K太君ったら!さっきから私を親爺みたいに言って!ほっといてよ!」と米粒を飛ばしながら言う。  いや、牛や馬みたいにって言ったんですと圭太は言いたかったのだが、無論、そんな事は言えず、「いや、あのー、僕は別によく食べる事を非難してる訳ではないですよ。M子さんみたいによく食べよく運動して健康的に細さを保つ、これがベストなんですから。逆に良くないのは痩せれば良いと思って食べなくなって最悪、拒食症になって痩せすぎて失敗する事です。僕はそのパターンで激やせして魅力がガタ落ちした女性タレントを何人も知ってますが、まあ、その点、M子さんはその御様子なら大丈夫ですよ。」と訳知り顔で言った。それを食べながら聞いていた絵夢子は、圭太に顔を向け、「なあに、K太君、その言い方。如何にも私がよく食べるようなこと言って、からかってるの?さっきから喋り過ぎよ。ちょっと黙っててくれない。私、食べる事に集中したいから。」と敢えて落ち着き払った口調でそう言うと、お盆に向かってから、どう思われようが構うもんかと言わんばかりに時折、舌舐めずりしながら健啖家よろしく食欲旺盛に無作法にがつがつ食べ出した。  圭太は言われた通り黙した儘、その食いっぷりを動物園で猛獣の食事を見学する児童宛らに食い入るように見守った。  絵夢子は咀嚼しながら圭太を横目で一瞥して食べ物をしっかり飲み込んでから彼に顔を向けるなり、「もう!やだー!K太君ったら!じっと見ないで!テレビ見ててよ!」 「あっ、はい!」圭太は慌てて言われるがままテレビに顔を向ける。  絵夢子はその隙にバキュームクリーナーで物を吸い取るように物凄い勢いで残ったカレーライスを口の中に放り込んで食べ終え、「あー、おいしかった!おかわりしてこっと。」と言ってカレー皿を持ってキッチンへ行き、直ぐにカレーライスがてんこ盛りになったカレー皿を持って戻って来ると、ぽつりと一言、「見ないでよ。」と言った切り再び物凄い勢いでカレーライスを口の中に放り込んで食べ終え、今度は黙った儘、お盆ごと持ってキッチンへ行き、暫く戻って来ない。 圭太は、食器を洗ってるんだなと思って待っていると、「はあ、食った食った!女って食い意地張ってるわね!」と絵夢子が言いながら戻って来て圭太の左横にどっかと腰を落ち着けた。彼女はことによると圭太の分も食べてしまったのかもしれないが、リモコンでテレビを消すと、「ねえ、私、満腹になったら何だか眠くなっちゃった。」と甘えた声で言って圭太に寄り掛かる。 「疲れたんですね。」と言って圭太は胸躍る。 「うん、それもそうだけど、お腹が張っちゃって、もう、た~いへん。それでね、私のお腹、今、と~っても面白い事になってるわよ。」 「えっ、へへへ、どうなってるんですか?」 「ポンポコポンの狸さんみたいに膨れちゃってるの。」 「ま、まさか、食べた位で・・・M子さんも冗談がお好きですねえ。」 「私だって人間よ。食べた直後はお腹が出ちゃうの。」 「それはまあ、そうですが・・・」と圭太は言いつつ女らしく臍の下からやや盛り上がる絵夢子のセンシュアルな下腹部を想像する。 「で、見てみたい?」 「ええ!是非!」 「いや~ん!だめ~!だって恥ずかしいんだも~ん!」と絵夢子は態と甘えん坊のように言う。 「あっ、はあ・・・」と圭太は溜息交じりに返事をして、自分から誘惑しておいて何だよ、まあ、可愛いから良いけど・・・と思う。 「その代わり抱き締めても良いから~。」と絵夢子は引き続き甘えん坊のように言う。 「えっ、抱き締めても良いんですか?」と半端でなくときめいた圭太は訊いた。 「うん、女ってねえ、抱き締められると、とっても幸せになれるの。ちょっと気持ちよく寝たいから抱き締めて欲しいんだけど、でもね、ここでやるって意味じゃないわよ。興奮して私を押し倒して、その儘、やろうとしたら駄目よ。満腹序に少し休みたいだけなんだから。」 「あっ、はい!分かりました!」と圭太は快諾すると、絵夢子を即、抱き締め、嗚呼、M子さんって細い、それでいて乳太かあ・・・素敵だと改めて思い、ちょっと腕を緩めると、自分の上体が反り返りそうな毬のように弾力のある美しい膨らみの感触を胸いっぱいに感じて心地好くなった。絵夢子も、「う~ん。」と時折り心地好さそうに声を出し、圭太と共に暫し心地好さに浸った後、彼の耳元で甘く眠そうに呼び掛けた。「ねえ、K太く~ん。」 「はっ、はい!」 「体が火照っちゃった。」 「あっ、そうですか。」 「ちょっと放してみて。」 「はっ、はい。」と圭太が柔順に答え、惜しみながら腕を解くと、絵夢子は圭太に顔を向けた儘、背中を背凭れに持たせ掛け、目をとろんとさせ、甘くねだった。「ねえ、キスして。」  圭太はその無意識の内に醸し出される情欲をそそる表情に、はあ、堪んねえ、これは間違いなく唇にしてってポーズだと思いつつ、「ど、何処にですか?」と一応、聞く。 「唇にしてくれれば良いわ。」と絵夢子は甘く囁いて目を閉じた。  圭太は、おぉー!と心の中で叫ぶと共に熱い歓情が立ち上る湯気のように心の奥底から込み上げて来て、「はっ、はい!」と悦服すると、絵夢子が目を閉じたのを良い事にまず至近距離にある彼女の容貌の造形に息を殺して見入った。閉じた目は切れ上がっている為に半眼に閉じた観音菩薩の慈眼を思わせる高雅とも優艶とも言える気品を漂わせ、縋り付きたくなるような慈悲深さや清らかささえ感じられ、これはM子さんの隠された資質を表しているのではないかと期待する。肌は運動部で頑張っているだけに透き通るような白さとか雪をも欺く白さとかいった形容は使いたくても使えないが、女らしく赤みの差した新鮮な桃のような色で肌理が細かく色艶があり何と言っても女は髭の毛根が無いから綺麗だと感心する。が、雀斑や面皰の痕や毛穴が目に付いて来ると、プロブディンナグでガリバーが巨人を評したように人間は実は案外、醜いものだと文学青年染みて辛辣に思ったりする。が、痘痕も靨で何でも良く見えてしまうのだから見惚れる他はない。そう見惚れる内、悪戯心が掻き立てられて行き、前髪でほとんど隠れているものの髪の隙間から艶やかな肌の光沢を垣間見る事が出来る額を見ていると、髪を掻き分けたくなり、ふっくらとした瞼の裾から伸びる可憐な長い睫を見ていると、息を吹き掛けたくなり、鼻筋の通った鼻のちんまりとした鼻孔を見ていると、指先で穿りたくなり、張りが有って引き締まっていて、それでいてふんだんに弾力が有りそうな頬を見ていると、指先で突ついてみたくなり、顔が小さい所為か意外に大きく尖った印象を受ける耳を見ていると、指先で摘んで引っ張ってみたくなり、耳同様、尖っていてほっそりとした顎を見ていると、下唇の右下にある小さな黒子に自然と目が行って唇とのコンビネーション効果で色っぽさを醸し出していると思う。そして黒子が引き立て役であるとすれば、主役である唇は薄紅に色づいた蛞蝓が合わさったようで圭太はその朱唇に妖艶な趣を感じ、目を閉じながら唇を合わせて行った。「嗚呼、ふんわりしてて潤っている・・・吸い付くようでこの儘、離れられなくなりそう・・・」と感慨に耽っていると、矢庭に絵夢子が頤を解いて、「アハハハ!」と大笑いしたものだから圭太はと胸を衝かれ、パッと目を見開くなり、「うわあ!」と声を上げながら上体を大きく反り返らせた。 「もう、K太君ったら!いつまでしてるの!ちゅってやるだけで良いの。」 「あっ、そ、そうですか。」 「愛し合ってるなら兎も角・・・私、三十分位、微睡んで、しっかり休んでからしようと思ってたんだけどK太君の所為で大笑いしちゃったから何だか眠気が醒めちゃったわ!」 「あっ、す、すいません・・・」と圭太は謝り、愛無きキスかとがっくり来る。  絵夢子は背中を背凭れに持たせ掛けた儘、天井を仰ぎ、「は~あ、私、K太君がちゅってするだけだったらあの儘、気持ちよく寝れたのに・・・」と亦、文句を垂れた後、当初の予定を前倒しするべく圭太に顔を向けて言った。「ねえ、K太君、私を抱いてた時、汗臭かったでしょ。」  圭太は乳臭いような匂いが寧ろ女らしくて好いと思っていたが、言われてみれば、確かに臭かったと思った。が、機転を利かして、「あの、いや、ミルキーな好い匂いでした。」 「アハハハ!何、言ってるの、私、ペコちゃんじゃないんだから」と絵夢子は言った後、ちょっと間を置いてからにやりとして、「ねえ、K太君も汗臭いから一緒にシャワー浴びましょうよ!」  この楽園の世界へ誘うようなドリーミーな絵夢子の発言に圭太は切れ長の目を飛び出さんばかりに丸くして、「い、一緒に、シャ、シャ、シャワー!」 「うん、シャワー浴びよ!」 「は、は、はい!」と欣喜する圭太に絵夢子は笑顔を向けた儘、圭太の手を取って例によって可愛らしく首を傾げ、「さあ、行きましょ!思いっ切りサービスしちゃうから!」と言って抃舞したい位の喜びで、「はい!」と意気衝天として答えた圭太と共に立ち上がると、脱衣場へ移動して、「多分、私から脱がないとK太君は恥ずかしくって脱げないでしょうから私から脱ぐね。」と言って露出狂よろしく、まず下のトレーナーをさっと脱いでしまった。絵夢子はテニスプリーツスカートを履いた儘だったから憧れのテニスルックの絵夢子が目の前に現われた圭太は、その細いのに骨ばしった所が一切なく、ぴちぴちとした曲線美を描く美脚に自然と心を奪われ、リビングに居た時から大きくなっていた大事な物を更に大きくしてジーパンの股間部分が焼き過ぎて膨れ上がった餅のようにはち切れそうになった。 「ど~お、K太君!いつも覗いてたんでしょ、この格好!私の何処に惚れたの?」と絵夢子は言ってから戯けたポーズを取ったりセクシーなポーズを取ったりして挑発して見せる。 彼女はまずはこれがやりたかったから先んじて脱いだのだ。   圭太はその意気揚々とセックスアピールする女人の動きに頗る興奮しながら答えた。「あ、あのー、僕、M子さんのあ、脚にまず惚れたんです。」 「ふーん、そうなの・・・確かに私も自分の体の中で好きな所と言えば脚かなあ・・・」と絵夢子は言いながら靴下を脱いで上体を起こし、「ねえ、靴下も脱いだよ、私の脚、綺麗?」 「は、はい、あ、足首が細くて、全体にす、す、すらりとして、とっても、き、綺麗で、ちょ~ナイスです!」と圭太が興奮の余り息を切らして切れ切れに言うと、「ふふふ・・・」と絵夢子は然も満足そうに笑った後、「でも、これだけじゃあ物足りないんじゃな~い?」と煽情的に言いながら左脚を圭太に向けて踏み出して来て、「ねえ、こうしたらK太君って、どうなっちゃうの?」と色っぽく言いながらプリーツスカートの左側の裾を両手で摘んで、するすると捲り上げ、左太腿を股の付け根まで露わにした。脱衣場に移ってから彼女は水を得た魚のようだ。彼女はストリップショーみたいな事が遣りたかったのだ。  圭太はテレビファーストシリーズのルパン三世に登場する峰不二子がミニスカートを捲り上げるシーンを連想しながら例によって、はあはあ言い出し、口元が緩んで涎が流れそうになる位、でれっとした顔になって見蕩れる。 「ふふふ、ど~お、K太君!何か言って!」 「は、はい!えーとですねえ、そのー、何と申しますか、ゆ、弓なりに、絶妙に撓った、そのM子さんのあ、脚のラインについて申すべきでしょうが、は、白鳥とか、つ、鶴とかの頭から首にかけての何とも、い、好いラインというのが、あ、有りますねえ、あれのようと申しましょうか、将又、浮世絵の美人画の、ぬ、抜き衣紋から覗く、う、項の何とも美しいラインのようとも、申せましょうか、将又、て、手塚治虫の描く女の、え、エロティックな、ラインのようとでも申すべきか、いやはや、そのラインと言い、肉感と言い、ポーズと言い、す、素敵で、か、カッコ良過ぎて、せ、せ、セクシーでちょ~ナイスです!」 「アハハハ!興奮し過ぎて息が切れ切れなのに色々な事を言って褒めてくれるのね!鼻の下が伸び切っちゃった序に口が緩々になっちゃったから饒舌になっちゃったんじゃないの?」 「は、はい、何せ、僕、M子さんの、あ、脚に、ぞっこん惚れ込んじゃってますから!」 「ふふふ、そう、K太君ってほんと、見る目あるのね。じゃ~あ~、スカート脱ぐけど、あまり興奮し過ぎないでね!」  絵夢子は言葉通り、すっかり上機嫌になってプリーツスカートを脱ぎに掛かり、ボタンを外し、ジッパーを下ろし、ウエスト部左右を両手で摘むと、圭太を悩ましく見つめ出し、充分、蠱惑してから腰を振り振りしたりウインクしたり唇を窄めキスする真似をしたり口を開け喘ぐ真似をしたりしながらスカートをゆっくり下ろして行った。その間、圭太は、はあはあ言った儘、心中で、ちょ~ナイス!と連呼しながら絵夢子の官能的な所作や美脚に只々魅了された。 「ど~お、パンツが露わになっちゃって序に両脚がぜ~んぶ露わになっちゃったわよ。」  圭太は今までこんな姿になった女子生徒には御目に掛かった事がない。而もモデルは絶美な足を誇る憧れの絵夢子である。故に圭太は興奮のボルテージが鰻登りに上がり、肩を上下に動かして呼吸し出し、鼻息を荒げながら、「あ、あのー、ジェームス・ブラウンのほ、ホットパンツとロッド・スチュアートのほ、ホットレッグスが、ぼ、僕の頭の中で、こ、こ、コラボして、頭の中が、か、か、カーニバルになっちゃいました!」 「アハハハ!何それ!面白いこと言うじゃないの!K太君!乗って来たな!」  圭太が得意満面になってエへへと笑うと、絵夢子は、「もう、私も乗り乗りで、どんどん脱いじゃうわよ!じゃ~あ~、トレーナー脱ぐね。」と言って両腕を腹の前でクロスさせ、トレーナーの裾を摘み、如何にも楽しげに自慢げに体全体をくねらせながらトレーナーをゆっくり捲り上げて行った。その間、圭太は美麗な腰や腹や肩や腕といった未知なるボディラインに目移りする度に心中で矢張り、ちょ~ナイス!と叫びながら大いに賞玩するのだった。 「ほら、ビキニスタイルになっちゃった。」  その女体の黄金比で出来ていると言っても過言ではない恐ろしく均整の取れたプロポーション、そしてなめらかにしてなだらかにしてしなやかにしてまろやかなる曲面で構成された流麗なスタイルに、「へえ~細い上にしっかりウエストが括れてる~括れから腰に掛けての盛り上がりが最高にセクシーだぜ!それに綺麗に縦に割れた腹筋も堪んねえ~すげ~引き締まってるぜ!いやあ~スレンダ~にしてグラマ~全く以て、はあ~完璧だ~美しいと唸らざるを得ん!こうして眺めてみると、ナイスバディである事がよく分かるなあ~ほんとに峰不二子みたいだ!」と圭太が胸中で三嘆これ久しゅうして大事な物を痛い位、大きくして鳥肌を立て我を忘れ陶然として見惚れていると、「ねえ、K太君、私のウエスト見てどう思う?」と絵夢子は聞いてから流れるようなウエストラインを巧みにくねらせながら色んな科を作ったポーズを取った上に両手や両腕で胸を寄せて胸の谷間を強調するというウエストとは関係のない事までして挑発して来た。  圭太は当然の如く悩殺され、リオのカーニバルで阿波踊りでも踊りたいような無茶苦茶且つハイな気分になり、「あ、あの、ふぇ、ふぇ、フェラ~、ふぇ、ふぇ、フェラ~・・・」と何か言おうとするのだが、興奮の余り息が続かなくて答えようにも答えられない。 「うふふ、やだわ、K太君ったら、何、亦、興奮しちゃって!もうフェラして欲しくなったの?」 「ふぇ、ふぇ、フェラ!」と圭太は目を血走らせて興奮する。 「やっぱり、フェラして欲しいんだ・・・」と絵夢子は言いしな艶めかしい白蛇のように舌をちょろっと横に出す。その表情と言ったら淫らとは言え、凄艶たるものだったので圭太は、ぞくぞくっとして、「い、いや、ふぇ、フェラじゃなくて、ぼ、僕は」と言ったところで落ち着こうと深呼吸し、一呼吸置いてから、「フェラ~リ、365(さんろくご)BB(べえ~べえ~)みたいに、こ、コークボトルしてます!って言いたかったんです。」 「アハハハ!面白いじゃないの!K太君!亦、そんな意味不明なこと言って!」 「い、いや、ふぇ、フェラ~リ365みたいに将又、ブリジッド・ば、バルドーみたいに将又、コカコーラのぼ、ボトルみたいにボンキュッボンって感じで、で、出るべき所はボンって出てて、く、く、括れるべき所はキュッと括れてて、ちょ~ナイスって事です!」 「ふふふ、ボンキュッボンね。」と絵夢子は60年代70年代の文化が好きな圭太の褒め言葉を大いに気に入って頗る気を良くして自信をより確かなものにして、「じゃあ、キュッは見せたから、お次はボンを見せちゃおうかなあ。」と言って両腕を胸の前でクロスさせ、両肩に掛かっているブラジャーの両紐を両手で摘むと、悩ましい上目使いで圭太を見つめ出し、心ゆくまで蠱惑した後、多彩なコケティッシュな笑顔を零しながらブラジャーの両紐を徐々に両肩から下ろして行き、大輪の花びらが見えそうになるまで下ろしたところで花びらをちらつかせ、圭太の反応を思いの儘、楽しんでから両手を背中に回してホックを外し、ブラジャーを惜しげもなく脱ぎ捨ててしまった。「ほら、脱いじゃった。ど~お、私のおっぱい、改めて見て。」  圭太は完全に露わになった絵夢子自慢の端麗な代物に余念なく一心不乱に見入り、間然する所なしと感服し、「も、勿論、き、綺麗で、お、お、おっきくて、ちょ~ナイスです!」と自身お馴染みの紋切り型の言い回しで吃りながら表現した。その反応に絵夢子は喜ぶも、何せ、自分にとって自慢のおっぱいだけにしっかり確かめたくなって、「ちょ~ナイス、ちょ~ナイスって、そろそろ胡散臭い気がしないでもないんだけど、ほんとにそう思ってるの?」 「あ、当たり前ですよ。ぼ、僕の様子を見れば、わ、分かるじゃないですか!」 「ふふふ、そうね、ちょっと調子に乗ってるのかなって思ったから聞いてみただけ。じゃ~あ~、K太。」と絵夢子は色っぽく呼び掛けた所で圭太に対して体を真横に向け、余程、自信を深めたと見え、こう聞いた。「ねえ、横から見た私のおっぱい、どう思う?」  その美しすぎる輪郭線は鎖骨を起点として丁度、富士山の白銀の岑嶺から左右になだらかに伸びる優雅な稜線のようなカーブを描いて乳首へ落ち、そこから真夜中に東の空に昇る下弦の月のような麗しい弧を描いて乳房の裾に落ちるのである。それを目に焼き付けながら、「か、完璧だ・・・」と圭太が絶句して只管、恍惚として見惚れていると、その言葉少なな所に絵夢子は却って満足したらしく誇らしげに微笑んだ儘、圭太にそれ以上言わせようとはしなかった。そして、「じゃ~あ~、K太君。」と再び色っぽく呼び掛けると、みぞおちに右手の指先を当て顎を引き上目遣いになり口角を微妙に上げ嬌笑して圭太をじっと見つめ思う存分、蠱惑した後、みぞおちに当てた指先で、ぱっくり割れた腹筋の筋に沿ってなぞって行き、臍を超え、その儘、右手をパンツの中に滑り込ませ、「あん!」と甘く喘いで見せるなり首を可憐に傾げ、「パンツも脱ぐね。」と囁いた。そのエロティックなパフォーマンスに、遂に!遂に!と圭太の興奮が最高潮に達した時、絵夢子は左手も同様にしてパンツの中に滑り込ませ、矢張り、「あん!」と甘く喘いで見せてからパンツの中に差し込んだ両手を左右に持って行き、親指だけパンツのウェスト部に引っ掛けると、腰を艶めかしく振ったりくねらせたりしながらパンツをゆっくり下ろして行った。  その綿のようにふさふさと密集して生える陰毛を初めて見た瞬間、思わず、「うわあ・・・」と唸り、その陰毛を中心として絵夢子の裸体に食い入るように見入り、すっかり没入してしまった圭太の顔から絵夢子はパンツを膝の辺りまで下ろした所で一旦、目線を外し、パンツを脱ぐ事に専念した。そうしてパンツを脱ぎ捨て、「ど~お、私のセブンティーンの体は?」と言いながら上体を起こして圭太の顔を改めて見た途端、「きゃあー!」と悲鳴を上げ、両手を口に当てた。「K太君!鼻血出てる!」 「えっ!」  絵夢子の裸体に没入し切っていた圭太は、そんな事になっているとは思いも寄らなかったので慌てて鼻の下に手を当て、「あっ、ほんとだ!」と気づくなり指で鼻を摘んだ。 「えーと、取り敢えず寝転がらなきゃ!」と絵夢子は言うや、急いで圭太の手を取って彼をソファーに寝かせるべくリビングに連れて行き、圭太はその間、絵夢子のむっちりした桃尻の左右が互い違いに上下に揺れるのを間近で見れたので、超ラッキー!と思いながらソファーに寝転び、絵夢子はテーブルに置いてあったティッシュケースからティッシュを二枚、抜き取って圭太に渡して両膝に両手を置いて屈んだ儘、心配そうに彼を見守り、圭太はその一糸纏わぬ絵夢子を観賞しながらいそいそとティッシュを丸めて両方の鼻の孔に詰め込んだ。 「ごめんね、ちょっと興奮させ過ぎちゃったかしら。」 「謝る事ないですよ。僕、ほんと、幸せです。M子さん、何か羽織ってください。風邪ひくかもしれませんから。」 「優しいのね、K太君!」と絵夢子は言うなり脱衣場へ駆けて行き、直様、肩からバスタオルを羽織って帰って来ると、圭太にティッシュを渡した後と同じ姿勢になり、「気分は悪くない?」 「いえ、全然。少し寝れば、即、出来ます。」 「ふふふ、但し、即、発射は駄目よ!」 「ハハハハ!」と圭太は珍しく快活に笑い、絵夢子も笑った。が、嘘から出た実で絵夢子の冗談が現実になってしまった。圭太はシャワータイム中、何とも呆気なく果ててしまったのである。  圭太は鼻血が収まるまで絵夢子が肩からバスタオルを羽織っただけの恰好で自分に寄り添い続けてくれた為、勃起状態が持続し、シャワータイムに入る前、脱衣場でジーパンを脱いだら自分でも驚く位、パンツの前開き部分がカウパー氏線液で濡れていたし、パンツを脱いだら自分でも驚く位、大事な物が巨大化していたし、おまけにそれが空気に触れるだけで気持ち良くなるような事になっていたのでシャワータイムに入ってから徒でさえ絵夢子と裸身で向かい合うだけでも気絶する位、刺激的な事なのに絵夢子に洗って貰う際にあちこち触られた刺激で大層、気持ち良くなってしまい、絵夢子の手が大事な物に触れる前から、もういきそうになっていたのである。故に圭太は彼女の手が大事な物に触れるのとほぼ同時に射精してしまった訳であるが、絵夢子は腹に付いた白いドロドロな物を見て如何にも信じられないといった体になり、「あっ!?えっ!?ちょっと、何!?何よ、ねえ、もう、いっちゃったの!?」 「あっ、はっ、はあ・・・」と圭太が言いつつ猶も快感に浸っていると、絵夢子は鋭い目を一層、鋭くし、語気も鋭くして、「触っただけじゃないの!」と叫んだ。  圭太は絵夢子の只ならぬ急激な激変に、とても快感には浸っていられなくなり、恐る恐る、「あっ、あの、き、き、気持ち良過ぎて・・・」と言うと、絵夢子は更に目も語気も鋭くして、「もう、サイテー!お腹に掛かっちゃったじゃないの!」と続け様に叫んだ。それで圭太はすっかり委縮してしまい快感を忘却して、「あっ、す、す、すいません!」と戦々恐々として謝ると、絵夢子はそれには取り合わず、「私、中腰で洗ってたから、まだ良かったけど・・・」と言いつつ顔とシャワーヘッドを腹に向け、洗い流している間は落ち着いたかに見えたが、洗い流した後、圭太に顔を向けるや、怫然として、「もし、腰を下ろして洗ってたら顔射になってたところよ!」と再び叫んだ。そして、「ああ、す、す、すいません!」と圭太が猶も謝ると、絵夢子は遂にぶち切れて、「何がすいませんだよ!いっつもいっつも吃りながら謝りやがって!謝るしか能がねえのかよ!幾ら謝ったって早漏男は勘弁ならねえんだよ!ちぇっ!ったく、これから、こきこきしてやろうかと思ってたのに何にも楽しめねえじゃねえの、このち〇ぽ!もう、用無し!自分で洗っときな!私、出る!」と今までの歓待が夢だったのか、幻だったのか、将又、偽善だったのか、仮象だったのか、いやはや、何とも訳の分からなくなるような信じ難い剣幕で猛烈に息巻いて強引にシャワーヘッドを圭太に渡すと、バスルームのドアを乱暴に開け、「ドスン!」と大きな足音を立てて脱衣場に出て、「バタン!」と大きな閉音を立ててドアを閉めてしまった。  化けの皮を剥がしたとは正にこの事である。実は絵夢子は早漏男を最も忌み嫌い軽蔑する女だったのである。  自分にとって青天の霹靂とも言うべき絵夢子の豹変に圭太は腰を抜かしてへたり込んだ儘、「あ~、M子さ~ん!」と哀れな声をバスルームに空しく響かせた。そして気力を振り絞って腰を上げ、取り敢えず大事な物を洗い、バスルームの床も洗った後、脱衣場に出て泣く泣くバスタオルで体の水分を拭い、涙も拭った。そして射精した直後で且つ強烈なショックを受けた直後とは言え、やる気は満々なので裸の儘、絵夢子の居る所へ向かいたかったが、それでは彼女が怖がるか嫌がるか気味悪がるかして完全に拒否反応を示すかもしれないと鬼胎したので一応、パンツだけ履いてテレビの音がするリビングに向かいドアを開けてみると、ピンクのTシャツにピンクのトレパン姿の絵夢子が甚だ苦り切った表情で腕組みをしてテレビを見ながらソファに座っているのが見えた。そこで彼は声を掛けようとしたが、絵夢子がこっちを見るなり更に眉を顰め唇を歪め、「何よ!その恰好!服、着て早く帰ってよ!」と無情にも先んじて叫んだので、バスルームに取り残された時の心境がぶり返し、心胆寒からしめられ、一方ならず愕然とし落胆しながらも、「えっ、そ、そんなあ、あんまりですよ。僕、初めてなんですよ!大目に見てくださいよ!」と必死に懇願した。  が、絵夢子は圭太を無用の長物と見て、「駄目よお~!今直ぐ役に立たないのは用無しなんだから。」と圭太の大事な物を襤褸切れのように言う。  圭太は引き続き、こんな情け容赦なく冷酷非情に言われた事で絵夢子をセックスの対象として完全に割り切ろうという気になり、やりたい一心になったから、「いや、役に立ちます!」と強く主張する。 「何、言ってるの!もう立たない癖に!」と絵夢子は圭太の大事な物をインポテンツのように言う。 「いや、大丈夫です。一回出した位で立たないち〇ぽじゃありません!」 「うそー!ほんとに?君のち〇ぽが?」と絵夢子は圭太の大事な物を完全に虚仮にして言う。 「はい!相手がブスなら兎も角、M子さんが相手なら直ぐ立ちます!」  この不器量な女性に反感を買う事間違いなしと太鼓判を押せる発言に、「ほんとに?」と絵夢子が乗り気の気配を見せると、「はい!」と圭太はきっぱり返事をする。 「でも、どうせ、直ぐ、いっちゃうんでしょ!」 「いや、一回出したから今度は早くいきません!」 「ほんとに?」 「はい!」 「でも、君って確か部室棟の裏で話してた時に、僕は決して早漏な訳はないですって言ってたけど、あれは全くの嘘っ八だった訳じゃないの!そんな嘘っ八を言う子の言い分を聞き入れられると思ってるの!」 「あっ、いや、あの、あの時は僕、実は早漏の意味が分からなくて早漏が性病の一つだと勘違いしてて僕は童貞だからそんなのに感染していない筈だと独り合点して僕は決して早漏な訳はないですって言っただけで嘘をついた訳じゃないんです!」 「ほんとに?」 「はい!僕は決して嘘っ八野郎ではありません!」  絵夢子は片方の口角を微妙に上げ、内心ほくそ笑むも然も訝るように、「ほんとうに?」 「はい!」 「うーん。」と腕組みをした儘、唸り、如何にも検討するような素振りを見せたが、既に漲る性欲に動かされていた絵夢子は、「じゃあ、ほんとに今度は早くいかないんでしょうねえ!」と念を押すと、「はい!今度は絶対、早くいかないです!ですから、やらせてください!お願いします!」と圭太が切実に頼んで来たので意地悪そうににんまりするや、腕組みを解いて、「私ねえ、君があんなに呆気なくいっちゃったんで、がっくり来ちゃって、どっと疲れが出ちゃったの。だからちょっと休む!」と早口で言いながらリモコンでテレビを消してソファーに仰向けに寝転ぶと、天井を見上げながら言った。「一時間経っても起きなかったら起こして!」 「あっ、はい!」  絵夢子は圭太の返事を聞くと、睡眠を取る為、その儘、目を閉じてしまった。  圭太はリビングの出入り口の所で突っ立った儘、絵夢子の寝顔を眺めていると、彼女は物の五分位で鼾を掻き始めた。そこで圭太は壁時計を見ると、一時五十五分だったので二時五十五分まで待つ事にして、その場に胡坐を掻いた。そして、すやすやと眠る絵夢子の寝顔を眺めながら彼女について思った。「へへへ、ほんとに寝やがったよ。そりゃあ、確かに僕は、待てば海路の日和ありって奴で少し待てばセックスが出来る訳で、急いては事を仕損じるって奴で早まったら損するだけの立場だけど、よくもまあ、セックスしたがってる男の前で安心して寝られるものだなあ。これじゃあ猫に鰹節だ。全く無防備も良い所だぜ。どういう神経してるんだろう。僕と違って相当、大雑把に脳みそが出来上がってるんだろうなあ。そりゃあ、そうでないとヤリマンにはなれないよ。全く呆れるぜ。こうなるのも天分や境遇、まあ、親を始め教育者の所為も有るに違いないから、この女一人に非難や文句を浴びせたって仕方が無いが、全く神経が図太いんだか、鈍いんだか、何だか知らないけど安心して寝ちまいやがってよお。何だか僕が気弱で臆病だから何も手を出せっこないと高を括って寝てるような感じにも見える。くそー、嘗めやがって!僕、恐縮し易いし、あんまりだらしなく謝るから嘗められるんだろうなあ。僕って可愛子ちゃんに弱いからなあ・・・あっ、そうだ、しょんべんしたかったんだ。」と気付いた所で脱衣場とキッチンの間にあるトイレへ行って用を足し、戻って来ると、再び胡坐を掻いて思いを巡らした。「まあ、直情径行な性格ではないかと疑ってはいたのだけれども、あの豹変には驚くやら恐ろしいやらで、そそけ立っちまったよ。家に僕を招いてから僕がシャワータイム中に果てるまではほんとに優しくしてくれたのになあ。『何にも楽しめねえじゃねえの、このち〇ぽ、もう用無し!』には魂消たよ。全く・・・十日前から懸念してはいたんだが、用が無いとなれば、こんな酷い事も言える訳か・・・つい、ここに来るまでに気を許しちゃって抱き合った日には僕の思い過ごしかと思ってしまったんだが、十日前に悟った事は正解だった。あの優しさは仮象だったんだなあ。嗚呼、ニヒルと化す僕・・・そう言えば脱衣場に連れて行く前、思いっ切りサービスしちゃうからって言ってたけど、その裏にはエゴイズムというものが潜んでいて、この女、端から僕を出しに使う気だったんだ。今までの親切は皆、親切ごかしだったんだ。矢張り俗物は相手が自分にとって利益になる見込みが有る内は、若しくは相手が自分にとって都合が良い内は相手に優しく出来るが、この女の場合は僕を早漏男と見るや否や、利用価値無しと判断して弊履の如く捨てようとしやがった。つまり、この女は僕を快楽の道具としてしか見ておらず不良品と判断した為、即、捨てようとした訳だ。そりゃあ、所詮、僕はセフレ扱いなのだし、早漏じゃあセフレは勤まらない訳だから捨てられてもしょうがないと言えば、それまでだが、僕はこういう事は初めてなんだ。大目に見てくれたって良いだろうに。何であんなにコロッと変われるかなあ。全く肝を冷やしたぜ。余りにも無慈悲だ。人を目先の結果だけで決め付けるんじゃないってんだよ。思慮が浅いんだ。だから短絡的になるんだ。だからあんなに冷たくなるんだ。物を深く考えられないから思いやりが生まれないんだ。しかし、あの寝顔、寛恕な心を持つ女神のようだ。それでいてとってもチャーミングだなあ。くそー、意馬心猿たる思いだ。けれども僕は本来こんなチャーミングな女とならいちゃつくだけでも満足なんだ。でもやっぱりエッチも、そうそう僕はプラトン的な愛、即ち本当のプラトニックラブがしたいんだ。それにはこの女も美しい愛を、即ちエロースを求めなければいけないのだ!しかし、この女、エロースをエロいのエロだとしか思わないだろうし、美とは何かとか愛とは何かとか考えたり深く悩んだり内省したり冥想したりした事、無いだろうなあ。どうせ、そう沈思黙考する人間を単純に内向的=暗い=悪と定義付ける人間の内の一人だろう。人間は本来、悩むべき者なのにそれを暗いと否定していては思考能力を放棄した人間になり脳を宝の持ち腐れにしてしまう。人は普段から悩んだり内省したり相手の立場に立ってものを考えたりしないと真に人を思いやる心が育まれないのに現代日本人は元を正せば、明るくなければ駄目だという価値観に囚われている所為で深く考える習慣を失い、思いやる心が当然の如く育まれない訳だ。暗い者だって思いやって貰えれば、明るくなれるのに、早漏男だって思いやって貰えれば、その優しさに応えて早漏を克服しようと努力して行く行くは改善出来るのに、この女にしても深く考える習慣を失い、習い性となり、薄っぺらの中でも超が付く位の薄っぺらになったから思いやれないんだ。だからいけないのだと僕は声を大にして言いたいんだ。けれども、ともすれば、レイプされるかもしれない状況の中で、すやすやとお眠りになるこのお方に改心させようと、どう諌めたって犬に論語を説くようなもので徒労に帰するだけだろうなあ・・・嗚呼、何をか言わんや。」  斯様に絵夢子が寝始めてから圭太が辛気臭く心に言葉を書き込んで行き、諦念し、獲麟し、そして一時間が経った。が、絵夢子は全く起きる気配が無く白河夜船だったので圭太は今、起こしたら亦、怒るんじゃないかと恐れながらも、そっと彼女に近づいて行き、小声で、「M子さん。」と取り敢えず呼んでみた。が、それだけでは起きる筈が無かった。だから思い切って絵夢子の肩に手を遣り、少し揺すりながら、「M子さん。」と小声で呼ぶという行為を繰り返してみると、五回目に絵夢子はふっくらとした瞼を可憐な睫と共にゆっくり開き、伸びをしながら、はあ~と息を吐いて、は~あと欠伸をして、ゆらゆらしながらゆるゆる起き上がり、目を擦りながら眠そうに、「もう、一時間経ったの?」 「はい。」 「もうちょっと気の利いた起こし方、出来ないの。」 「えっ?」と言った切り、どうすりゃあ良かったんだよと圭太が思っていると、絵夢子はテーブルに体を向け、足を床に下ろし、両拳を天井に向けて突き上げ、背伸びをしながら、はあ~あとさっきより大きな欠伸をして手を下ろし、テーブルに目線を落とすと、「さあ、どうしようかしら・・・やっぱり起きてから直ぐにしようって気にはならないわ。」と言って圭太を焦らそうと態と俯いた儘、目を閉じてしまった。程なくして目を開けたかと思うと意地悪そうな笑みを浮かべ、その顔で圭太の顔を仰ぎ見て、「ねえ、ほんとに早くいかないんでしょうねえ。」 「は、はい。」 「ほんとかしら。」 「はい、絶対、早くいきません!」と圭太がセフレを強く自覚してきっぱり言うと、絵夢子は見るからに訝るように、「ほんとうに?」 「はい!」 「ふふふ、そんな真剣な目しちゃって・・・」と絵夢子は言った後、嬲るような目つきで圭太の頭の先から爪先まで満遍なく見尽して、「パンツいっちょで、ずっと待ってたの。」 「ええ、まあ。」と圭太が渋面で不愉快そうに答えると、「アハハハ!」と絵夢子は大笑いして、「そう言えば、君、シャワータイム前、私が素っ裸の時に、風邪ひくかもしれませんから何か羽織ってくださいって気遣ってたけど、君こそ風邪ひくんじゃないの。」と言って亦、「アハハハ!」と大笑いする。 「いや、昼下がりで暖かくなって来ましたから。」 「何、言ってるのよ!暖かいも寒いもないでしょ!私とやりたい一心だからパンツいっちょで、ずっと待ってたんでしょ!」 「い、いや・・・」と圭太は返答を渋ってから苦々しそうに喉から絞り出すように答えた。「或いはそうかもしれません。」 「何よ、その答え方!素直に答えなさいよ!私が寝てる間に、やりてえやりてえって涎垂らして待ってたんでしょ!」  そう言われた途端、圭太は苦虫を噛み潰したような顔を本当に涎を垂らしているようににやつかせ、殊更に明るいトーンで言った。 「よく、ご存じで。」  すると、「キャハハハハ!」という絵夢子の一際、甲高い笑い声が部屋中を埋め尽くさんばかりに響き渡った。「嗚呼、可笑しい、止めてよ、そんな冗談めかして言うのは・・・」  彼女は大いに受けた後、ギラギラした貪婪な瞳を凝らして圭太を見つめ出し、「そんなに私とやりたいんだ・・・」 「はっ、はい!」と圭太は俄然、色めき立って返事をする。 「そんなにやりたいなら、ちゃんとお願いしなきゃ駄目じゃないの!」  そう言い付けられて圭太は愈々真剣な面持ちになって直立体勢に入り、「あっ、はい!あの、僕はどうしてもM子さんとやりたいのです!是非、やらせてください!宜しくお願いします!」と声高らかに言い、折り目正しく頭を下げ、七重の膝を八重に折って懇願した。  すると絵夢子は、「アハハハ!そんなに御丁寧に頭下げちゃって、アハハハ!おまけに是非だってさ、アハハハ!その上に宜しくと来たもんだ、アハハハ!セックスしたいばっかりに、アハハハ!そんなに真面目腐って、アハハハ!頼むなんて、アハハハ!而もパンツいっちょで、アハハハ!ずっと待ってるなんて、アハハハ!そんなに笑わせないで!アハハハ!嗚呼、可笑しい、アハハハ!嗚呼、笑える、アハハハ!」と直情径行な性格だけに腹を抱えて笑い転げ、そのお蔭で、すっかり眠気が醒めてテンションが上がって、すっくと立ち上がり、「しょうがないわねえ、じゃあ、来て。」と言って圭太の手を取り、二階にある自分の部屋へ彼を連れて行く事になった。その間、圭太は夢が愈々現実味を帯びて来たので、遂にやれる!とほくそ笑むも、シャワータイム中に果てた後、邪険にされた怨みや今し方、愚弄された怨みから階段の段を上がる度に、畜生!ぶちこんでやる!爆発してやる!と密かに心の中で念じながら反逆のテンションを上げて行った。  絵夢子は自分の部屋の開放されたドアの前まで来ると、圭太を顧みて、にやりと笑って見せてから部屋に入り、続いて異常な興奮を覚えながら入って来た彼に然も馬鹿にした態度で聞いた。「どう?女の子の部屋、君は見るの、初めてよね。」  果たして圭太は部屋に入る前に植え付けられた反骨精神を逞しくしながらも、「ああ、はい。」と仕方なく答え、部屋を見回して見ると、一輪挿しの花から花瓶から何から何までピンクピンクピンク!兎に角、自分にとって新世界は矢鱈にピンク色が目に付いた。後は縫い包みや小物が一杯飾ってあってフェミニンで、お色気むんむん好い匂い!そんな所だと言ってしまえば、自分にとって言い表すのに事足りる知性のちの字も感じられない部屋だった。但、絵夢子がラケットバッグリュックを壁掛けフックに引っ掛けた序に予め開けておいたのだろう、向かいの壁の腰窓と左手の壁の高窓から爽やかな秋風が吹き込んで来て、それと共に双方の窓のピンクのカーテン越しに鴇色の柔らかい光線が差し込んで来て、それで幾らか清々しさを感じたものの某アイドル歌手のポスターが張ってあるのを見て、「成程、ジェームス・ブラウンとかロッド・スチュアートとか言っても分からない筈だ。見た目は素敵でも中身は矢張り低俗だ。端から遠慮する必要は無かったんだ。」と思い、更に反逆のテンションを上げた。 「ねえ、可愛い部屋でしょ。」  圭太はそう問われて早速、反逆すべく馬鹿にして掛かり、「はい!ピンキーです!」と戯けて答えると、絵夢子は彼の態度が気に食わなかったと見えて切れ上がった目をぴくっと吊り上げて、「何よ、ピンキーって!」 「い、いや、ピンクばっかりで可愛いって事です。」 「分かってるわよ!そんな事!」と絵夢子は刺々しく言うなり圭太と繋いでいた手を離し、「私ねえ、ピンクが好きなの。」と不機嫌そうに言いながら背後のピンクの箪笥の上に置いてある熊の縫い包みを取り上げると、途端に目尻を下げ、「それにこのクマのぷーさんも大好きなの。可愛いでしょ。」  圭太は絵夢子が機嫌を良くしたのが面白くなくて亦、馬鹿にして掛かり、「あら、まあ、可愛い。」と取って付けたように言うと、絵夢子は俄然、気色ばんで切れ上がった目を明らかに吊り上げ、語気を荒げ、「何よ!その態度、馬鹿にしてるの!」 「い、いえ・・・」 「よく、そんな態度が取れるわねえ。そんな態度でやらして貰えると思ってるの!」  こんな時は反逆もへったくれもない、背に腹は代えられぬと圭太は臨機応変に反骨精神を直ちに引っ込め、恐縮した態度になり、「あ、あの、す、す、すいません。」 「ふん、ほんとに、よく謝るわねえ。」  絵夢子は忌々しそうに熊の縫い包みをピンクの箪笥の上に戻した後、その下の抽斗を開けて親にばれないように奥底に隠してあったと思われるピンクのニットミニワンピースを取り出して圭太に向き直り、それを自分の体に宛がうと、小悪魔的ににやりとして、「ねえ、私、こんなの着て街中を出歩いちゃうのよ。」 「えっ!」と圭太は思わず目を見張って、「あの、それってボディラインにフィットする例のボディコンになるタイプですよね?」 「そうよ。」  圭太は咄嗟にハイヒールを履いて街中を颯爽と歩くボディコン姿の絵夢子を想像して、ナイスはナイスなんだろうけど高校生の分際で・・・いや、高校生でなくても猥りがわしくていかんと思い、「あの、そんなの着ちゃうんですか?」 「そうよ、いけない?」 「えっ、ああ、まあ・・・」 「何よ、いけないの?」 「いや・・・まあ・・・」 「いけないって言うの!」 「い、いえ・・・」 「刺激的すぎるって言いたいんでしょう。」 「え、ええ、まあ・・・」 「いいじゃない、これ位・・・私が着るのよ、素敵でしょ?」 「え、ええ・・・」 「断然、似合っちゃうって思わな~い?」 「え、ええ・・・」 「こんなの着た、と~てもイケてる私とデートしたいんじゃないの?」 「え、ええ・・・」 「やっぱり、したいんだ・・・」 「え、ええ、まあ・・・」 「はっきりしてよ~!ねえ、したいの?したくないの?どっち?」 「あ、あの、したいです。」 「いやよ、君となんか・・・」  美しい薔薇には棘が有ると言うが、自分の美貌を武器に戸惑う圭太を手玉に取りながら、いとも簡単に懐柔した後、さっきのお返しとばかりに冷然と謝絶して報復を果たす遣り口の鋭さは、絵夢子ならではの芸当であった。  圭太は謝絶された言外に、だってダサいんだもんという意味を読み取って謝絶されたショックと相俟って酷く傷ついた。そんな彼を目の当たりにして絵夢子が笑い出し、「何、真に受けて落ち込んでるの。お馬鹿さんねえ。だって、そもそもね、幾ら私でも、こんなの着て外なんか、ほっつき歩かないんだから。」としたり顔で言ったので圭太は、嵌められたと思い、その途端、この女を激烈に犯してやるという一念に頭が支配され、魂が痛憤の焔で燃え上がった。が、時を移さず絵夢子が妖しげな瞳を貪婪且つ淫乱に輝かせ、「これはねえ、大人の人向けのコスチュームなの。」と謎めいた事を意味ありげに呟いたので圭太はその事にすっかり心が囚われ、大人の人向けとはつまり・・・まさか・・・と疑い出し、そこまで堕ちてるのか・・・と悟ると、限りなく堪らなくなるのと同時に異常な興奮が蘇って来た。  その気色に絵夢子は含みの有る笑みを浮かべたかと思うと、くるりと反転してワンピースを元の場所に大事そうに丁寧に収めてから圭太に向き直るや、異常に興奮する彼の顔を腕組みしながら暫し優位の立場から然も蔑んだ目付きで凝視した。が、気になるあそこへ目線を落とすと、忽ち目の色が変わった。「あー!ちょっと、何!何で、もっこりしてるの?」 「えっ、ああ、あの、さっき、M子さんが手を握ってくれたんで・・・」それより何より、異常な興奮が大事な物を大きくさせた要因なのだが、腹の中を誤魔化す為、圭太はそう答えたのだった。それに対し絵夢子はほぼ真に受けて、「えー!それだけで立っちゃうの?」 「はい。」 「そんなに敏感なの?」 「ええ・・・」 「困ったもんねえ。」 「はあ・・・」 「じゃあ、ちょっと確かめてあげるから脱いでみて。」  よっしゃー!と圭太は心の中で叫ぶと、むらむらと獣染みた欲情が込み上げて来て興奮のボルテージを一足跳びに高めながら恥ずかしがる素振りを露程も見せず、さっとパンツを脱ぎ捨てた。  すると絵夢子は大きくなった大事な物を確認出来たものだから明らかに態度を和らげ、「あー!ほんとに立ってる!すごーい!」と言いながら腕組みを解いて圭太の前で片膝をつくと、大事な物をまじまじと至近距離で見つめながら貪婪な瞳を爛々と輝かせて行って顔を上げ、「ねえ、K太君、このおち〇ちん、もっと大きくなるの?」と聞いた。  圭太は絵夢子が機嫌を直して而もK太君と呼んでくれた事で可愛子ちゃんに弱い男であるが故に、あっ、亦、僕に気持ちを開いてくれた!と思って只々嬉しくなり、絵夢子に対して今までに抱いた怨みやら軽蔑心やら反骨心やら怒りやら猜疑心やら、そういった蟠りから生じたものが嘘のように消えて行き、絵夢子が自分を快楽の道具(性具)としてしか見ていない事まで頭に無くなり、心が光風霽月となった為、分別の無い餓鬼みたいに、「はい!」と元気よく返事をすると、絵夢子はちゅっと大事な物の先にキスをした。その刹那、圭太は絵夢子の男性器に対する並々ならぬ依存を感じると共に名状し難い何とも言えぬ心地良さを覚えて大事な物をぴくっとさせ、「あ~!」と思わず声を上げると、「我慢出来るのかしら、このおち〇ちん。」と絵夢子が言って今度は大事な物の先をチョンと人差指の先で突いたものだから亦、一瞬の異なる心地良さを覚えて大事な物を更にぴくっとさせ、「あ~!」と立て続けに声を上げた。その反応に絵夢子は喜々として、「ふふふ、ほんとに敏感ねえ。」と言って立ち上がり、素っ裸で大事な物を大きくしながら直立する圭太と向かい合うと、にやっと笑って見せてから、誠に潔いと言うべきか、実にあっさり無造作にトレパン、Tシャツ、ブラジャーと次々に脱ぎ捨てて行った。  圭太は絵夢子がパンツしか纏っていない状態で自分と正対したので瞬く間に大事な物を巨大化させると、絵夢子が上体を屈ませ、それに瞠目し、「うわあ、すごーい!おち〇ちん、亦、大きくなったね!」と大悦して上体を起こした弾みにたっぷんと揺らしたふくよかな膨らみをこれ見よがしに彼に見せつけながら再び正対し、ぎらつく程に輝きを増した貪婪な瞳を向け、「ねえ、K太君!」 「はっ、はい!」 「前戯って知ってる?」 「ぜ、ぜんぎ?」 「やっぱり知らないんだ~。」 「は、はい。」 「あのね、今、K太君って~、私のおマ〇コに~、おち〇ちん入れたくってしょうがないんでしょう。」 「あっ、はっ、はっ、はい!」と圭太は忠誠のテンションを四段階上げて答える。 「ふふふ、そんな事したらねえ、レイプと同じ事になるのよ、分かる?」  こう聞かれて圭太は部室棟の裏で絵夢子に、したいならしたいって言わなきゃやらしてあげないよと迫られた時にコンドーム云々を考えず、「こ、ここで、す、す、するんですか?」と聞いて呆れられた事が瞬時に思い出され、そっかと思って、「あっ、そっ、そうですよね。コンドームを付けないといけないんですよね。」 「そんな事、当たり前じゃないの。そういう事じゃなくて、私がいけない事になるの。」 「えっ?・・・」 「だから、さっき私が言った前戯をしないで、おち〇ちんをおマ〇コに入れると、おマ〇コが濡れてないから私が気持ち良くなれなくて、下手すると私が痛い思いをするだけでセックスが終わっちゃう事になるかもしれないの。」  圭太は無論、意味がよく呑み込めず、「ああ、そうなんですか。」と答える。 「そうよ。だから、おち〇ちんをおマ〇コに入れる前に私を気持ち良くさせて、おマ〇コを濡らして、おち〇ちんの通りを良くしてくれなきゃ駄目なの。」  今度は何となく呑み込めて、「ああ、そうなんですか。」 「そうよ、前戯なくして気持ち良いセックスは出来ないんだから・・・」と絵夢子は念を押すように言った後、ピンクのベッドに向かって歩いて行き、ベッドの縁に座ると、両手を後ろに突いて胸を張った格好になり、徒でさえ際立つ美しい膨らみを更に際立たせ、更には色目を使って、「さあ、私をどうしてくれるの?ケイタ君。」と何とも悩ましく問題を圭太に投げ掛けた。  圭太はそんな嬋娟たる裸婦を眼前に益々大きくなってしまった大事な物を恥ずかしそうに両手で覆い隠しながら、「えーと・・・」と言って考え出し、「つまりM子さんは自分を気持ち良くして貰い自分のおマ〇コを濡らして貰いたいと望んでる訳だからM子さんのおマ〇コを僕がどの様に弄れば、M子さんが気持ち良くなれてM子さんのおマ〇コが濡れて来るかが問題になって来る訳だ・・・」と思ったものだから顔をにやつかせ、「あのー、M子さんの、そのー、お、おマ〇コをですね、僕が、そのー、ど、どの様に、どの様に触れば良いかという事がポイントになって来る訳ですか?」と聞くと、「アハハハ!」と絵夢子に一笑に付されてしまい、きょとんとする。  彼女は呆れた体で、「あのねえ、K太君って、おマ〇コの事ばかり頭に有るんでしょう。」 「えっ、あっ、まあ・・・」 「あのね、おマ〇コだけを愛撫するのが前戯ってものじゃないのよ。唇にキスしたり、体の例えば、おっぱいは勿論の事、耳とか首筋とか太腿とかお尻とか、そういった気持ち良くなる部分を手や舌を使って優しく愛撫して行って女の子を気持ち良くさせて行って、おマ〇コを濡らして行って、その上でおマ〇コを攻めるのが前戯のノーマルな遣り方なの。でも、K太君が本当に私のセフレとして役に立つか分かるまでは、おマ〇コに関してはお預けよ。私には拘りが有って、おち〇ちんで私をいかせられないような子には絶対、私のおマ〇コを弄ばれたくないの。だって、そんな子に小手先で、いかされたら屈辱じゃない。だからあ、どうして貰おっかなあ・・・」と絵夢子は言ってから豊満な代物の下にほっそりとした腕を組んで考え、「んー、この子に愛撫のテクニックを求めても無理だから・・・」と思い、「えーと、そうねえ、私、乳首攻められながらおっぱい揉まれるだけで、すっごく気持ち良くなれて、すっごく濡れて来ちゃうからモミモミチュパチュパして!」  圭太は彼女の拘りを知った時、ヤリマンの癖になまじ誇りを持ってるもんだから、こっちが好い塩梅にならねえよと当然、がっくりしていたが、彼女の素晴らしい代物をモミモミチュパチュパさせて貰えるとあれば、「あっ、はい!」と悦服する他は無かった。  絵夢子は腕組みを解くなり嫣然と微笑んで、「じゃあ、ベッドに上がって来て。」と言った後、大胆にもピンクのベッドの上に大の字になって仰向けに寝転んだ。その際、波打ちながらやや横に広がった豊満な膨らみは、それでも充分に張りを保ち、こんもり小高く愈々乙に澄ましている。  圭太は、何でこの人はこうも無防備なんだろうと呆れ、こっちも大胆に覆い被さってやろうかと思ったが、ここは無難に行こうと自重してみると、どう彼女に向き合えば良いのか戸惑った。が、戸惑っている場合じゃないと兎にも角にもピンクのベッドに上がり絵夢子の脚元から左横に回り両膝を突いて腰を落として一旦、正座した後、前に両手を突いて絵夢子の顔に紅顔を近づけ、「あの、M子さん。」 「なあに?」 「じゃあ、揉みますから。」 「うん、優しく腋の下から攻めてね。」 「えっ?腋の下?」 「ふふふ、どう攻めて良いのか分からなくなっちゃったんでしょう。」 「は、はい。」 「あのね、まず両方の腋の下に指の腹をそっと当ててみて欲しいの。」 「こ、こうですか?」と圭太が聞いて絵夢子の言う通りにすると、彼女はそれだけで、「あ~ん!ぞくぞくしちゃう!」と鳥肌を立てて喜んだ。「そこから、そーとおっぱいに向けて摩って行って、おっぱいの裾まで来たら円を描くようにおっぱいの周りを爪で引っ掻かないようにゆっくり摩って行って円を描きながら徐々に乳首に近づけて行って欲しいの。遣れば分かると思うけど親指と小指は使わないで良いから。」 「は、はい。」  圭太は捲土重来を期して摩り出し、本来ならば絵夢子の肌を摩っている訳だからにやついてしまう所をすべすべもちもちした、その感触を味わう余裕すらない儘、彼女自慢の代物を兎の毛で突いた程も傷つけずに彼女を気持ち良くさせて彼女に気に入られようと真剣な表情で慎重に言われた通りに遣ってみると、成程、指三本でないと言われた通りには出来なかった。 「そうよ、上手よ、そうやって乳首に近づけて行く間に私、段々心地好くなっちゃって興奮して来ちゃうから、ちょっと焦らしたりしながら、そうやって近づけて行って乳首に当たったら乳首の先とか周りとかを優しくゆっくり指の腹で摩り続けて欲しいの。」 「は、はい。」  圭太はまめまめしく真摯に忠実に言われた通りに遣って行き、遂に大輪の花を摩り出すと、絵夢子が、「あ~ん!気持ち良い~!あ~ん!堪んな~い!」と雌蕊の子房から柱頭にかけてサクランボのように立てて感じ出したので、よしよし首尾よく行ってると顔が緩んで来て、絵夢子が体全体をくねらせながら、あんあん喘ぎ出すと、すっかり顔がにやけて来て、その内、絵夢子が、「ねえ、乳首を転がすように摩ってコリコリさせて。」とねだって来たものだからにやにやしながら、「こうですか?」と聞いて摩り出すと、絵夢子が、「あ~ん!そう!あ~ん!気持ち良い~!」とより感じ出し、程なくして、「あ~ん!K太く~ん!後は優しくゆっくりモミモミチュパチュパして~!」と所望して来たので、「はっ、はい!」と快諾して優しくゆっくりそうして行くと、自身はベッドのシーツに、絵夢子はパンツに交々性器から出た分泌液を染み込ませながら快楽に浸って行った。  而してあそこが充分濡れて来たと見え、「あ~ん!気持ち良い~!ねえ、K太く~ん!」と絵夢子が呼び掛けると、折しも圭太は雌蕊を吸っていた所だったので顔を上げてから、まるでタコの口真似をするかのように口を窄めた儘、「は、はい。M子さん。」と返事をする。 「私の股座を覗いてみて。」 「えっ!股座!」と圭太は吃驚し、一転、口が満開になる。 「ふふふ、K太君、今、おマ〇コ、見れるって思ったんでしょう!」 「えっ、あっ、ええ・・・」 「ふふふ、パンツが濡れてるか、見て欲しいだけよ。」 「あっ、はあ・・・」と圭太は少々がっくりしたものの、それでも、いそいそと上体を捩って後方に両手を突き、絵夢子の股間を覗き込んで見ると、パンツの股間部分に縦五センチ程の楕円形の染みが出来ていた。 「あっ、すっごく濡れてます!」 「でしょ、私、すっごく気持ち良くなっちゃったから、おマ〇コがラブジュースでグチョグチョになっちゃったの。」 「ラ、ラブジュースでグチョグチョ!」 「うん、だから、今度は私がK太君を気持ち良くさせてあげるからね。」  言いながら上体を起こして、「じゃ~あ~、K太君、私の枕を使って良いから仰向けに寝て!」と言って立ち上がった。  圭太は双方の豊満な膨らみに押し潰されたように見える絵夢子の小顔を仰ぎ見て、「えっ、仰向け!」 「そうよ。仰向けは嫌?」 「い、いや、何するんですか?」 「決まってるじゃな~い。K太君のおち〇ちんを気持ち良くするのよ!」  圭太は今時の男のように女に大事な物を弄ばれて只々喜ぶような自尊心無き羞恥心無き者と違って、男子たる者、我が一物を女に弄ばれるなぞ、断じて有ってはならんという信念を持った男であるから本来ならば、「いや、それはならん!」となる所であるが、絵夢子程の可愛子ちゃんなら話は別である。けれども、亦、直ぐいっちゃったら・・・という不安が付き纏うので、「あっ、そ、そうですか・・・」と言って若干、躊躇したものの、断る訳にも行かず、「分かりました。」と了解すると、頗る恥ずかしがりながらも仰向けに寝転んだ。  すると絵夢子が圭太の両膝の間に跨がり、まだ成長途上にある為、大きくなっても笠に被っている皮をいきなり除け始めたものだから圭太は思わず、「あ~!」と声を上げるや、腰をぴくっと浮かせた。  絵夢子は手を休め、「ごめんね、びっくりした?」と優しく聞く。  圭太は、フィールグッド!とも感じていたので、「あっ、いや、好いです。」と答える。 「安心して、優しく剥くから。」と絵夢子は言ってから皮を大事な物の根元に丁寧に手繰り寄せ、裏側に走る筋を露わにすると、一旦、手を離して訊いた。「ねえ、K太君、何処が気持ち良いの?」  既に絵夢子の手中に落ち頭の中に奇しくもビートルズのレットイットビーが流れていた圭太は、「あ、あの・・・」と言った切り絵夢子の為すが儘に体勢を維持した。その素直さに応えて絵夢子はまず右手の人差し指の先を大事な物の裏の根元に当て、「ここ?」と聞くと、♪MOTHER MARY COMES TO ME~と頭の中に鳴り響いた圭太は、「あぁ~!」と感じ、大事な物のみならず全身を固くした。その固さに応えて絵夢子は労わるように、「肩の力を抜いてリラックスして。」と言うと、♪SPEAKING WORDS OF WISDOM~と頭の中に鳴り響いた圭太は、「はい!」と柔順に返事をした。その柔順さに応えて絵夢子は大事な物の裏にちょんちょん当てる人差指の先を筋に近づけて行く度に、「もうちょっと上なの?」と聞くと、その度に♪LET IT BE~と頭の中に鳴り響いた圭太は、「あぁ~!」と感じ入った。その敏感さに応えて絵夢子は遂に人差し指の先を筋に当て、「ここなの?」と聞くと、♪YEAH! LET IT BE!と頭の中に鳴り響いた圭太は、「ああ~!」と声を上げるや、大事な物を海老反りにさせた。その生きの良さに応えて絵夢子は、「うわあ!すご~い!おち〇ちんが反っちゃった!」と驚嘆し、「やっぱりここなんだわ!」と歓喜し、「ど~お、K太君、これだけで気持ち良くなっちゃうんじゃないの!」と言うなり指の腹で筋を摩り出し、圭太の顔と大事な物を交互に見ながら筋だけを摩り続けた。その表情は笑みを湛えていたが、宛ら弱った獲物を寄って集って弄ぶジャッカルの如く貪婪且つ獰猛な性質を帯びていた。圭太はその挑戦的な野性味の有る表情を見るだけでも興奮し、まるで赤く染まった松茸のようになった大事な物と共に血色の良い色白の顔を真っ赤に染め、立ち所に気持ち良くなった。 「ねえ、K太君、気持ちい~い?我慢出来る?」  絵夢子は相変わらず挑戦的な笑みを投げ掛けながら愛くるしくそう言うと、親指で筋を摩りながら残りの指も一本一本、獲物に絡みつく蛇のようなしなやかさで一物全体を刺激し出した。  圭太はその道の熟練工のような匠な技に大事な物が搾り上げられるような感覚を伴いながら堪らなく気持ち良くなり、「あ、あの、もう少し、ゆっくり・・・」と切に願い出る。 「ゆっくりしてるじゃな~い!これ以上ゆっくりにしたらスローモーションになっちゃうんじゃないの。」 「あっ、まあ、そ、そうとも、い、言えますが・・・」と圭太は答えつつ気持ち良過ぎて、為すが儘ではいられなくなり、頭の中のレットイットビーが鳴り止んだ。 「もう、K太君ったら、こんなに大きくさせて!我慢汁も出て来てるわよ!やらしいおち〇ちんねえ!」と絵夢子は言ってカウパー氏線液を指に馴染ませながら滑りを良くする。 「あっ、あの、M子さん、もう、き、気持ち、よ、良過ぎます・・・」 「ふふふ、そんなに気持ち良いの。もっとしてあげるね。」 「あっ、いや、もう、い、良いです。こ、コンドーム、は、嵌めます!」 「コンドーム嵌めますって、もう入れたくなったの?」 「はっ、はっ、はい!」 「駄目よ~!だってK太君の生ち〇ぽ、しゃぶりたくなっちゃったんだも~ん!」 「しゃ、しゃ、しゃぶる!そ、そんな事したら、す、直ぐに、いっちゃ、あっ、いや、そ、それは、だ、だ、駄目です!」 「駄目って何よ!しゃぶって欲しくないの?」 「い、いや、あの、手こきだけで、い、い、良いですから兎に角、もうちょっと、ゆ、ゆ、ゆっくり・・・」 「何よ!しゃぶってあげるって言ってるのに、亦、そんな文句言って!手こきだけじゃ、私が詰まんないじゃな~い!」 「い、いや、文句って言うか、そ、そ、その・・・」 「私がしゃぶってあげるって言って断ったのはK太君が初めてよ!」 「い、いや、断ったんじゃなくて、あ、あの、じ、実は、そ、そ、その、もう、い、い、いきそうなんです!」 「えー!ちょっと!」と絵夢子は言うや、直ちに手を離して色をなし、「騙したわね!」 「あっ、いや・・・」不味い!と思った圭太は、慌てて上体を起こす。 「亦、君だけいかす訳にはいかないわよ!私は早漏男の為のボランティア活動をしてる訳じゃないんだから。」 「えっ、あの、という事は、お金、取るんですか?」 「そんなこと言ってるんじゃないのよ。」と絵夢子は言いながら目元口元に見る見る侮蔑の笑みを湛え出し、圭太を白眼視して言った。「早漏男をいかしてお金を取る、何処にそんな商売が有って?あのね、私は私のこの行為の報酬として私をいかせてくれなきゃ駄目って言ってるの。」 「あっ、それならM子さんをいかせてみせますからコンドーム嵌めます!」 「アハハハ!」と絵夢子は思わず吹き出し、勢い大きな膨らみをゆさゆさと揺らした。「よく、そんな事が言えたものねえ。君が私をいかせられる訳ないじゃないの。私のおマ〇コに入れたいからって何、ほざいてるのよ。私、おち〇ちん立ったから喜んで、こきこきしてあげたのに、と~んだ糠喜びになっちゃったわよ。」  言葉通り不平たらたらの絵夢子は、果然、はあと深く溜息をつくと、鋭い眼光で圭太を睨み付け、「ねえ!」 「は、はい!」と圭太は瞬く間に射竦められる。 「君って一回出したから今度は直ぐ、いきませんって言ってたよねえ。」 「は、はい。」 「それが何!ちょっと手こきしただけで、いきそうになるなんて、それじゃあ、やっぱり、な~んにも楽しめねえじゃねえの、このち〇ぽ!もう用無し!って事じゃないの。恋人同士なら、いざ知らず、こんなち〇ぽした子に誰がやらせてあげるのよ!」  こんな言われ方をされ、もう、こうなったらと思った圭太は、形振り構わず揉み手をしながら、「い、いや、あの、こうしたらどうでしょう。此の儘、手こきで、もう一回抜いてくださってから、もう一回立たせてくださった後にやらせてくだされば、僕が早くいかない事になってM子さんがいける事に・・・」 「何、急に悪代官に媚びる商人みたいな真似してふざけたこと言ってるのよ!もう一回抜いたら今度こそ立たなくなっちゃうじゃないの!」 「い、いや、二回抜いた位で立たないち〇ぽじゃありません!」  「亦、そうやってふざけた物の言い方して・・・二回抜いたら君のち〇ぽじゃなくても立たないわよ。私ね、経験人数が多いから、その位の事、男じゃなくても知ってるのよ。時間をおけば立つのかもしれないけど、お母さんが五時頃に帰って来るからそんなに待てないの。実はね、私、以前に一回だけ不覚にも君程じゃないけど早漏男を連れ込んじゃった事が有るんだけど、そいつなんかねえ、一回いった後、全然、立たなかったのよ。だから、君もそうだと思って追い出そうとしたんだけど・・・でも、まあ、立っても早漏じゃあ役に立たない訳だし、二回抜いたら今度こそ立たなくなって早漏以前のお話になっちゃうから絶対、君の虫のいい要望にはお答え出来ないわね。」 「あっ、いや、僕は敏感だからM子さんを見るだけで勃起しますし、さっき言ったように二回抜いた後なら直ぐいかないですし・・・あっ、そうそう、それに僕って精力絶倫だから僕のち〇ぽは特別なんです。大丈夫、何回抜かれたって直ぐ立ちますよ!」 「アハハ!精力絶倫だってさ、ああ、呆れた。君って、そんなふざけた子だったの?」 「いや、ふざけてませんが。」 「ふざけてるじゃないの!あのねえ、断っておくけど私はギンギンに立ったカッチカチのち〇ぽを求めてるのよ!二回抜いた後にそんなち〇ぽが求められる訳ないじゃないの!」 「いや、火事場の馬鹿力じゃないですけど男は、いざとなればギンギンに立ったカッチカチのち〇ぽになれるんです!」 「アハハ!もう、ほんと呆れた。幾らやりたいからって何処まで口から出任せを言うの!君がそんな好い加減な子だとは思わなかったわ!」 「いや、僕は好い加減じゃないですが。」 「好い加減じゃないの!一々口答えすんじゃないの!あのねえ、仮令、君のち〇ぽがギンギンに立ったカッチカチのち〇ぽになっても直ぐ、いっちゃったら何にもならないのよ。分かってるの?」 「いや、あのですねえ、ですから、さっきから言ってるじゃないですか。もう一回抜いてくださってから、もう一回立たせてくださればですよ、つまり、そのギンギンに立ったカッチカチのち〇ぽは二回抜いた後だから直ぐにいかない事になってM子さんをいかす事だって出来る訳ですよ!」 「何、言ってるのよ!そんなの有り得ないわよ!私に捕らぬ狸の皮算用でもしろって言うの!全くさっきから出任せばっかり言ってもう・・・もう騙されないわよ!」 「いや、ほんとに後一回抜いてくだされば、その後に立ったち〇ぽは早くいかなくて」と圭太が猶も食い下がろうとすると、絵夢子は両手を圭太の前で振りながら、「ああ、もういい、もういい、もう聞きたくない。」と剣もほろろに圭太の申し出を拒絶した。「もうこうなったらねえ、君にもう一つ、断っておくけどねえ、私のおマ〇コはねえ、名器なのよ!」 「め、めいき?」 「そうよ。」と絵夢子は答えた途端、得意げになり、圭太を嬲りに掛かった。「私のおマ〇コに入れた子はみ~んな特別、気持ち良いって言うの。だから君なんか入れた瞬間、即、いっちゃうに決まってるわ!アハハハ!」 「あっ、そ、それは、おマ〇コもそうかもしれませんが、M子さんがそれだけ魅力的だからですよ!」 「ふふふ、そんな事で煽てても無駄よ。でも、そうねえ、確かにそうだわ。だから君なんか、私に感じ過ぎちゃって私の名器のおマ〇コに掛かったら、ち〇ぽの先っちょをほんのちょっと入れただけで、即、いっちゃうに決まってるわ!アハハハ!だから諦めなさいって!アハハハ!」  圭太は絵夢子にそう言われて、笑われて、やりたい鉄の意志が鍛え上げられ、鋼の如く固くなったので、「いや、絶対、そんな事ないです!絶対、直ぐにいかないです!絶対、諦めないです!」と力んで主張し意志表示する。  が、絵夢子は冷たくふふふと笑って、「何、そんなに目を血走らせちゃって!ふふふ、まあ、君は私にしかお願い出来ないし、私の事が好きで好きで堪らないから諦め切れなくって、そうやって嘘八百並べて申し出るんでしょうけど、私は前にも言ったでしょ、全然、困ってないって。だから、もう帰っても良いのよ。ふふふ。」 「いや、嘘八百とかじゃなくて、ほんとに直ぐにいかないですから、やらせてください!お願いします!」と圭太は言った後、斯くなる上はとばかりにプライドをかなぐり捨てて到頭、土下座までして、「どうか、お願いです。どうか、お願いですから・・・」と三拝九拝してお願いする仕儀と相成った。  が、それでも絵夢子はつれない目で見て、「だ~め!幾らお願いしても駄目よ。直ぐにいっちゃう子は私にとって迷惑なだけなんだから・・・諺にもあるでしょ。客と白鷺は立ったが見事って。だから早く帰って!」 「いや、僕は絶対、直ぐにいかないです!ほんとに直ぐいかないですから、やらせてください!お願いします!」と圭太は斯様な事をくどくど言った末、幾らこんなごり押しをしても肘鉄を食らうだけだと気づくと、こうなりゃあ犬に論語だろうが、これで行くしかないと腹を決め、思い切って持ち掛けた。「あっ、そうだ、あの、M子さんはエロースを御存知ですか?」 「エロース?ああ、エロのこと?」 「いや、話せば長くなりますが、掻い摘んで言いますと、エロースとは醜さと美しさ、悪と善、無知と知恵の間にあって常に美と善と知恵を知ろうと求め、美そのものの永遠不変絶対の愛を求め続ける存在です。」 「はぁ?!何それ!何言ってるの、この子?」と珍紛漢紛になった上に圭太が色気違いになった所為でちょっと頭が可笑しくなったんじゃないかと疑う絵夢子に圭太は語り出した。「あのー、この愛について言いますと、愛には段階がありまして、まず肉体の美、次に魂の美、次に知識の美、そして美そのもの、つまり永遠不変絶対の愛ですね、この頂点を極めようとする、そういう存在をエロースと言いましてですねえ、まあ、ニーチェもより善きものを求めよと言ってましたが、ほんとに簡単に分かり易く一言で言えば、エロースとは善いものを求める存在の事なんですが、このエロースを求めればですねえ、自然とM子さんは僕をう、受け入れるようになりましてですねえ、つ、つまりM子さんはエロースを求めれば、行く行くはこの、ぼ、僕とですねえ、へへへ、あの、何て言うか、その、び、び、美そのものの永遠不変絶対の、あ、あ、愛で結ばれてですねえ、M子さんは今までに味わった事の無い本物のか、快感を味わえる事になる、は、は、筈なんです。」  斯様に圭太が語る内、甚だ照れる余り吃ってしまい、そうして額に汗するも努力の甲斐も虚しく、絵夢子は豊満な膨らみをぷるるんぷるるんと盛んに揺らしながら、「アハハハ!」と哄笑して圭太の説を一蹴した。「私とやりたいばっかりに到頭、愛なんて持ち出しちゃったわよ。はあ・・・ほんとに厄介な子。あのねえ、前にも言ったと思うけど愛とか、そういうのが私は一番困るの。大体、愛なんか無くったって私は今までに幾らでも快感を味わって来たのよ。セックスはエロだけ求めれば良いの。何にも経験ない癖に何、偉そうに言ってるのよ!」 「い、いや、別に偉そうに言ってる訳じゃなくてですねえ、亦、生意気を言うようですが、これから僕は哲学で学んだ知識を知恵に変えて編み出した僕の考えを述べて行き、肝心要の勘所に入って行きますから心して聞いてみてください。どうせ、一度の人生、楽しまないと損という考え方が有ります。この様な人生観を持つ人間は」と圭太が言ってる途中で、「ちょっと、ちょっと」と絵夢子は呼び掛け、早くも圭太の話の腰を折った。「もう良いから良いから。まさか、私の部屋で哲学なんて言葉を聞くとは思わなかったわ。はあ・・・私ね、哲学とか、そんな小難しい事、言う人自体が大嫌いなの。あ~あ、やだやだ、益々帰って欲しくなったわ・・・」  温めて来た持論も本筋に入る前に暗礁に乗り上げ大失敗に終わり万策尽きた圭太は、泣き出しそうな顔になって、「あっ、いや、あの、もう言いませんから、そんなこと言わずに兎に角、僕、此の儘、帰ったら欲求不満でどうかなっちゃいますから、お願いですからやらせてくださいよ・・・」とねだった後、形振り構わず、「お願いです。」と言っては頭をペコペコ下げたり手を合わしたりして必死にお願いする。が、絵夢子は冷笑しながら、「ふふふ、亦、そんなにお願いしちゃって・・・」と言って視線を落とすと、本来、恥ずかしがり屋である筈の圭太が、恥ずかしがるどころか、ここぞとばかり大事な物を一段と反り返らせてセックスアピールした。が、絵夢子は矢張り冷笑しながら、「何にもしてないのに、おち〇ちん、立ちっぱなしじゃないの。幾ら私に感じておち〇ちん立たせても早漏じゃあどうしようもないのよ。」とすげなく返し、「全く、いっちょ前に立たす事だけは出来るんだから・・・ほんとに困ったち〇ぽ。ふふふ、ほんと、早漏ち〇ぽなんて幾ら見てても、ちっとも入れたい気にならないわ。」と言っている内にカウパー氏線液が嚢の方まで垂れているのに気づいて、「あっ!ちょっと!我慢汁が、あーあーあー、きんたままで垂れてるじゃないの!垂れちゃう垂れちゃう!ちょっと何、ぼけっとしてんのよ!さっさと手で拭ってよ!」と言いながら漸次、顔を怒らせて行く。  圭太はびびりながら慌ててカウパー氏線液を掌に擦り付けると、「もう、ほんとに、すけべねえ!ち〇ぽから涎垂らしてるみたいだったわよ!何にもしてないのに何、感じてるのよ!」と絵夢子に言われ、「い、いや、だって・・・」と言った切り、ショーツしか纏っていない状態で自分の向う脛の間に跨いで座る何処までも冷たく何処までも美しい垂涎の的となった絵夢子を必死に自制心を働かせながら真剣な眼差しで見つめ続けた。その間も何故にこれ程までに悩ましい体をしているのだろう全くこの女は男を惑溺させる魔物だなぞと思いつつ彼の大事な物は隆々と立ち続けていた。ことによると圭太がさっきから言っていた事は強ち出任せではなかったのかもしれない。いや、そう、確かにそうなのだ、彼は仮に絵夢子に何回抜かれても彼女の裸体を見るだけで大事な物を立たせる事が出来て彼女に抜かれる度に遅漏になって彼女をいかせられる見込みが有ったのである。実は絵夢子が圭太を受け入れさえすれば、彼は彼女を楽しませるには好個な男に成り得たのである。が、豊富な経験から得た知識を知恵に変える事が出来ない絵夢子は、それを見抜く事が出来ないので圭太を自分に集る蚊を見るように飽くまでも鬱陶しがって、「ほんとに、もう・・・私はねえ、早漏男と時間を潰す位なら遅漏のブ男にやられちゃった方が増しなの。それなのにどうしてもそうやって粘る気!」 「は、はい。どうしても・・・ここまで来たら、どうしても・・・」と圭太はとぐろを巻いて断乎、帰らない姿勢を示す。  絵夢子はふーんと鼻から溜息を吐きながら首を垂れた後、豊満な膨らみの下にほっそりとした腕を組んで、どうしたら圭太に引導を渡す事が出来るかと考え、「そうだ、こいつ、さっきの感じからして私が本気でしごいたら1分も持たないわ。だから私のフェラテクに掛かれば一瞬の内に、いくに決まってる。そしたら亦、こいつだけ、いかすのは癪だけど、その代わり諦めさせる事が出来るわ!帰す前に、こいつのち〇ぽをしゃぶっておくのも悪くはないし・・・」と思い、冷たく吃々と窃笑し、「それに帰す時に私が、恨みっこなしよって言って、ほっぺにキスでもしてやれば、こいつの事だから顔を真っ赤にして吃りながら、は、はいって返事して、え、M子さん、今日は本当に有難うございましたって御丁寧に礼までしちゃうに決まってるから穏便に関係を断つ事だって出来ちゃうわ!」と思い、亦、冷たく吃々と窃笑して顔を上げ、「じゃあねえ、これから私がフェラしてあげるから、えーと、そうねえ、10分間、我慢出来たら、やらしてあげる。」と瞞しのチャンスを与えたかと思うと俄然、険の有る顔付きになって、「但し、直ぐ、いったら即刻、帰って貰うからね!」と強い語調で脅し、そうかと思うと、ふふふと意地悪そうに笑いながら首を傾げ、「分かった?」と可愛らしく聞く。  圭太は変幻自在な絵夢子に気後れして彼女の勢いに押された儘、「あっ、は、はい。」と矢張り吃りながら返事をして彼女が亦、可愛らしく、「じゃあ、もう一回、寝て。」と言えば、「は、はい。」と果然、従順に返事をして我慢出来る自信が全く無いので不安一杯で頭を鉛のように重々しくピンクの枕に落とすと、「10分も持つ筈が無い、それどころか1分も・・・」と危惧し、「それも問題だが、我が一物が女にしゃぶられてしまうのか・・・」と恥じ入り、「でもM子だから・・・」とは思うものの、この時の圭太は絵夢子にフェラされる事が嬉しいような潔しとしないようなと言うよりは潔しとしないような恐ろしいようなマイナスイメージばかり持つ事になった。  圭太が斯様に愧懼している間に絵夢子は圭太の股の間に両膝を突いて上体を沈ませフェラチオし易い体勢に変わると、ピンクの置き時計を見てから挑戦的に、「じゃあ、行くよ!」と言って鋭い上目遣いで圭太の顔を睨み付けておいて大事な物を握るや、早速、艶めかしくいやらしい巧みな舌遣いで筋辺りを口腔内の分泌液でしとどに濡らし、即座に大事な物を巨大化させた。  そのぬめぬめとぬらつき絡みつくねっとりとした感触に圭太は得も言われぬ快感を覚え、この儘では直ぐにいってしまう・・・と果然、危惧する事になり、はあはあ言いながら、「ど、ど、どうしよう・・・」と焦ったが、「あっ、そ、そうだ!M子の顔を一々ちらちら見ちゃうからいけないんだ。ブスが嘗めてると思えば感じなくなる筈だ。よし、クラスの一番ブス、えーと、えーと、そうだ!高島が嘗めてると思えば良いんだ!」と思い付き、高島という女子生徒の顔を思い浮かべながら目を瞑る事にした。すると絵夢子が大事な物を銜えて生々しい音を立てて何やかやしても幸い奉仕の精神からするのではなく圭太をいかして諦めさせようと躍起になっていたお陰で例の可愛らしい声で、「ねえ、気持ちい~い?」なぞと話し掛けて来なかったから何が何でもやりたかった圭太は、精神一到何事か成らざらんで本当に高島さんが嘗めているような心持ちになり、何やらべたべたして生暖かくて気味の悪い物が我が一物に纏わり付いているような不快な感触を覚えたのが功を奏して我慢し続けられた。  が、絵夢子が行為を始めてから5分程、経った所で一旦、止め、興奮して息を切らしながら例の可愛らしい声で、「はあ、ねえ、いきそうになったら言ってよ!はあ、絶対、口の中に出したら駄目だからね!」と言い付けて来たものだから圭太は高島さんが嘗めているという気にはとてもなれなくなり、「は、はい。」と答えてM子が行為を再開してから急に気持ち良くなって物の1、2分で、「ああ、もう限界です!いきそうです!」とギブアップしてしまった。  が、絵夢子はギブアップとは取らなかったし、亦、取れなかった。と言うのも彼女は行為を始めてから5分経っても圭太がいかなかったので興奮して気が変わり入れたくなったのだが、圭太がいってしまったら彼女の言うギンギンに立ったカッチカチのち〇ぽを求められなくなると思い込んでいたので件のように言い付けて来た訳である。だから圭太がギブアップすると、置き時計を見てから即刻、行為を止め、図らずも圭太が7分近くも我慢したので興奮しながらも早漏男を自分の口で早くいかせられなかった屈辱と悔しさと苛立たしさを隠し切れず、亦、素直に喜べる心理状態ではなかったし負け惜しみの気持ちを含んでいた為、「はあ、直ぐいくかと思ったら、結構、我慢出来るんだねえ。はあ、でも10分持たなかったから合格とは言えないよ!はあ、だけどフェラしてたら私も興奮して、はあ、入れたくなったから試しにやらしてあげる。はあ、有難いと思いな!」とはあはあ言いながらも突慳貪な口調で、そう言うと、ベッドを飛び降りてピンクの学習デスクに向かい、抽斗からコンドームを取り出すや、くるりと圭太に向き直り、敢えて薄笑いを浮かべ、「君はまだSサイズで充分ね。」と冷笑的に言ってから俄然、怖い顔になって、「ねえ、もし、直ぐ、いっちゃったらコンドーム代、払って貰うよ!」と脅迫して圭太に向かってコンドームを放り投げた。  そんな絵夢子に圭太はやらして貰える事になったのに怯み戦き、直ぐいく恐れが有るので尚更、怯み戦いた。にも拘らず、やりたい気持ちが強いので上体を起こしながらコンドームは幾ら位する物なのか?どうやって嵌める物なのか?と聞きたくなったのだが、聞いたら絵夢子が更に自分を馬鹿にして冷遇すると思ったので止めた。だから自分の脇腹に当たってからベッドの上に落ちたコンドームを拾って何とか嵌めようとしたが、何せ初めてなので瓢箪鯰となりて旨く行かない。而も絵夢子の意地悪に因って小さめのSサイズを与えられたので怯み戦いた拍子に少し萎えたとは言え、尚更、嵌め難い。故に悪戦苦闘しながらも何とか嵌め込み、「これで良いですか?」と聞くと、絵夢子は腕組みをしながら、ふんと鼻で笑い、「あのねえ、向き、確かめた!」 「えっ、向きが有るんですか?」 「当たり前じゃないの!」 「あ、ああ・・・」 「確かめなかったの?」 「ああ、はい。」 「それじゃあ、駄目よ。」 「ああ、そうですか・・・」 「何で、分からないなら最初に聞かないの?」 「す、すいません。」 「でも、一応、根元まで嵌ったんだから向きは合ってたようね。」 「えっ、あ、ああ・・・」と圭太は声を萎ませながら、この意地悪女め・・・と思う。 「でも、先っぽの空気を抜くように嵌めた?」 「い、いえ・・・」 「皮を剥いてから嵌めた?」 「い、いえ。」 「それじゃあ駄目よ。何で聞かないのよ。ちょっとベッド降りて来て!」と絵夢子は命じて圭太を自分の目の前に立たせると、腕組みを解いてコンドームの先を確と指で摘んでコンドームを勢いよく引っこ抜いた。 「いってえ!」  圭太は絶叫するや、大事な物も抜けたんじゃないかと一瞬、錯覚して思わず目と手で大事な物が股間に付いている事を倉皇として確認する。  その慌て振りに絵夢子は豊満な膨らみをゆらゆらと揺らすと共に腹筋を縒って、「アハハハ!」と哄然と大笑いした。 「ひ、酷いじゃないですか!」と圭太は大事な物を手で押さえながら訴える。 「何よ!文句を言えた義理!今までどれだけ良い思いをさせて貰ったか分かってるの!」 「で、でも・・・」 「何よ、文句有るなら帰って!」 「い、いや、す、すいません。」 「亦、謝った。アハハ!」と絵夢子は一笑した後、圭太の顔の前でコンドームを摘んだ指で振りながら、「もう、このコンドームは使い物にならないわね。どうする?もう一個使う?」  圭太はやりたい意志が鋼鉄のように固くなっていたので即刻、「はい!」と返事をすると、絵夢子が意地悪そうにニヤリとして、「私ねえ、私を上手く、いかせられなかったらコンドーム代を払って貰う事にしてるの。それでも良いの?」と別の口実を使って再び脅迫した。  圭太は前述の通り、この日の為に小遣いのほとんどを注ぎ込んでジャケットを買ってしまい所持金が三百三十円しかなかったので見るからに心配そうに、「あ、あの、幾らですか?」 「一つ百円だから二百円よ。幾らだと思ったの?そんなに心配そうな顔して。」  絵夢子はそう言うと、先程、自分にコンドームを引っこ抜かれた圭太にしたのと同様、大笑いした。  圭太は当然、憤ったが、怒りを押し殺し、恥を忍んで訊いた。「あ、あの、コンドームの付け方、教えてください。」  絵夢子は溜息をついた後、身を反転してピンクの学習デスクに向かい、抽斗から今度はMサイズのコンドームを取り出すと、圭太に向き直りざま冷やかな棘の有る口調で、「君はねえ、皮が被ってるから、まず、皮をおち〇ちんの根元まで手繰り寄せな!」  圭太は恥じ入って羞紅した顔を更に赤くしながら彼女の言う通りにした。  絵夢子は圭太の前で片膝を突くと、「萎えて来てるじゃないの。」と言って例の行為をする。  圭太は段々と気持ち良くなり、大事な物をむくむくと大きくさせた。 「もう、亦、立たせて!やる気満々じゃないの。もう、教えるのは面倒だから私が嵌めるよ。」と絵夢子は言うなり手際よくコンドームを嵌め込み、「これで良し。さてと直ぐに入れなきゃ。」と言って立ち上がると、何ともあっさりショーツを脱ぎ捨てた。「ねえ、どんな体位が好いの?」  圭太は体位の名称を何一つ知らなかったので、どう答えれば良いか、困り果てる。 「もう、早く言ってよ!亦、萎えちゃうじゃないの!」  圭太は萎える訳が無かった。何しろ自分の眼前咫尺の間に、出るべき所は派手に出て、括れるべき所は程好く括れ、そうして頭の先から爪先まで理想的な曲線を描き、奮い付きたくなるような艶姿を実現した絵夢子が一糸纏わぬ姿で鴇色の光芒に照らされながら目くるめくばかりの玉肌の輝煌を放って立っているのだから・・・圭太は興奮していない筈が無かった。だから肩で息をして目を血走らせながら絵夢子をガン見する内、よし!こうなりゃあ!と思って突として両手を前に伸ばして絵夢子の両肩をがっちり掴むと、「何!何!」と騒ぎ立てる彼女を説得するように、「M子さん!ベッドに寝てください!」と男らしく言った。  絵夢子は何やら急に凛々しくなった圭太に柔順になって、「分かったわ。」とぽつりと呟くと、彼が手を離したのでピンクのベットに向かった。その全裸で歩く姿は荒々しい美女から角が取れて嫋々とした美女に変貌していた。だから綺麗な着物でも身に付けていれば、立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花の百合の花といった風情を漂わせていて見事なまでに丸々とした桃尻を圭太に向けた儘、柳腰を撓らせてベットに上がり、やおら美しい項の代わりに花顔を圭太に向け、「仰向けで好いの?」と痺れるような美声で柔和に聞くと、圭太がきっぱり、「はい!」と返事したのを素直に受けて神秘的で幻想的な白蛇を思わす艶めかしくたおやかな動きで、のたくりながら仰向けに寝転んだ。  そこに至るまでの一齣一齣が実に絵になるものだったので圭太は性欲に加え絵心に動かされながらピンクのベッドに上がり、長々と全裸で仰臥する絵夢子の足元で仁王立ちになると、その筆舌に尽くし難い美しさを曝け出す絵夢子を見下ろしながら言い放った。 「M子さん!脚を曲げて、ちょっと股を広げてください!」  絵夢子がすんなりと言う通りにしたので圭太は、しめた!と思い、さっとしゃがんで両膝を前に突き、上体を沈ませ、股間を覗き込むと、ヨーグルトとペパーミントを混ぜ合わせたような甘酸っぱい爽やかなフェロモンの香りに包まれながら忽ちファナティックになって、「うわあ、すげー!」と叫んだ勢いで股間に顔をむんずと押し付けて埋めるや否や野獣と化して、後はもう何が何で何が何とも分からず、肛門も局部も陰毛も見境なく無闇矢鱈に濡らすわ、濡らすわ、絵夢子の恥ずかしい所を怒涛の勢いで分泌液まるけにした。それだから、「あ~ん!だめ~!いや~ん!やだ~!いい~!やめて~!」なぞと絵夢子は喘ぎ捲った後、必死に気持ち良さを堪えて、「もう!ちょっと何してるの!もう!セフレと認めるまでは絶対、嘗めさせない積もりでいたのに!もう!早く入れなきゃ駄目じゃないの!もう!」ともうもう喚き立てた。その間に圭太は行為を止め、絵夢子が喚き終わった所で、「あっ、す、すいません。つい興奮して。」と彼女の股間に向かって謝った。それから上体を起こして大事な物を挿入するべく、と言っても要領が分からないので、兎に角、自分が遣りたいように恣意的に絵夢子の両足首を掴んで両脚をVの字になるように持ち上げると、素晴らしい眺めを見下ろす事になり、例によって、はあはあ言い出し、激賞措く能わざる心境に陥り、「絶景かな!絶景かな!小股の切れ上がったいい女は価千両とは小せえ、小せえ、この圭太様の目からは価万両、万マ〇コ~!」とあの言わずと知れた南禅寺山門の場での石川五右衛門の名台詞を捩って声高らかに褒めちぎった後、感慨に耽った。「嗚呼、僕は今、憧れのM子さんの細い足首を握り、憧れのM子さんの美しい脚を開き、憧れのM子さんの美しい花園を眺めている。この上ない幸せ・・・」  けれども、そう思いながら圭太は無論、女性の局部を見るのが初めてなら人の肛門を見るのも初めてで而も絵夢子はヤリマンだけに局部と肛門周りが黒ずんでいて、おまけに彼女の陰毛は意外にも毛深く全然剃っていないので、その文目も分かぬ鬱蒼とした茂みの中に圭太の思い描く所のピンクの花園は陰唇が閉じた状態で隠れている訳である。だから彼は局部なんだか肛門なんだか何が何だか、黒々もじゃもじゃしていて何処に入れれば良いのか分からない。  絵夢子はじりじりするやら恥ずかしいやらで、「ねえ!こんな格好にした儘、何、止まってるの!恥ずかしいじゃないの!もう!早く入れてよ!もう!」 「あっ、す、すいません。え、えーと、あの、ど、何処に入れれば良いんですか?」 「ちょっと!何、言ってんのよ、もう!脚を早く下ろしてよ!もう!」 「あっ、す、すいません。」と圭太は謝ってから慌てて絵夢子の脚を下ろす。  彼女は上体を起こし、「あのねえ、さっき嘗めてて分からなかったの!君の舌がおマ〇コだけじゃなくて、お尻の穴にまで入って来たのよ!」 「えっ、あっ、そ、そうだったんですか、そう言えば、何か、変な味が・・・あっ、いや、何せ、只々夢中で何処に入ったかも分からない儘、闇雲に嘗めてたもんで・・・」 「全く、しょうがないわねえ・・・」と絵夢子は苛立たしそうに言った後、視線を圭太の顔から自分の局部に移し、「念の為に言っておくけど指は入れたら駄目よ。まだセフレと認めた訳じゃないんだから。」と言いながら指で茂みを掻き分けて行き、何の躊躇いもなく陰唇を開いてピンクの花園を露わにすると、その過程を寸分たりとも見逃してなるものかと両眼をかっと見開き、少しも瞬かせる事なく見入っていた圭太は、世紀の大発見でもしたかのように狂喜乱舞する余り、絵夢子が上体を起こしている事さえ頭に無くなり、「分かりました!」と叫ぶが早いか、いきなり彼女の両足首をがっちり掴んで両脚を強引に持ち上げたものだから、その拍子に絵夢子の上体はバタンと音を立ててベッドに勢いよく沈み込み、「きゃあー!」という悲鳴がピンクの部屋の隅々まで甲高く響き渡った。が、圭太は花園に大事な物を挿入する事しか頭に無いからその悲鳴も頭に無くなり、彼女の両脚をVの字に持ち上げた儘、花園に大事な物を入れようとする一心で腰を上げて両膝を互い違いに前に突いて花園に近づけた所で腰を沈ませ、狙い定めて腰を入れて挿入しようとすると、惜しくも逸れて大事な物は彼女の茂みに埋まり、隔靴掻痒の感がしたものの、それはそれで甘美であった。 「何、やってんのよ!もう!」と絵夢子が亦、もう!と苛立った所で圭太は、こうなったらと思って彼女の両脚を自分の太腿の外側に膝を立てた状態で下ろし、所謂、М字開脚にしてから右手で摘んだ大事な物を花園の割れ目に押し当て、ゆっくり腰を入れたら挿入に成功した。それを祝すように、「あ~ん!」と絵夢子が極上の甘い喘ぎ声を漏らしたので圭太は無上の感動を覚え、全身に見る見る内に鳥肌を立てて行き、大事な物と共に脳みそがじわーと気持ち良くなって来た。「嗚呼、つ、遂に僕の一物が憧れのM子さんの体に入った・・・嗚呼、花園の中ってなんて温かくて気持ち良いんだろう・・・嗚呼、僕の一物がM子さんの花園の中で締め付けられて溶ろけてしまいそう・・・」と恍惚境に入った彼は、その儘、腰を動かさなかった。それもその筈である。圭太の性器は絵夢子の汚れた性器にとって余りにも清かったので彼女の性器が自ずと拒否反応を示して閉じてしまい、丁度、オーガズムに達した時と同じ位の力で圭太の性器を締め付けていたのだ。  やがて絵夢子が、「ねえ、ちょっと、何、止まってるの。早く突いて。」と言うので圭太は夢から醒めたように、はっとして、そうだ!犯してやるんだったんだと気づいた途端、絵夢子に邪険にされた記憶や愚弄された記憶が走馬灯のように蘇り、俄然、怒りに火が付くと、よーしと反逆のテンションを上げ、彼女の立った両膝を両手で掴んで、それを支えとし、大事な物が花園から抜け切るか抜け切らない所まで腰を引いてから、「おりゃあ!」という雄叫びと共に思い切り、ぐっと入れ、大事な物を花園の奥の奥まで突き刺さらんばかりに一気に根元までぶち込んだ。その瞬間、「ぎえ~!」という最初に挿入された時とは全く裏腹のこの上なく苦し気な喘ぎ声を上げた絵夢子は、上体を弓なりにして大きく仰け反らせた。それもその筈である。圭太の性器が怒りの鉄剣となって絵夢子の性器に突き刺さったのだ。 圭太はその刹那、絵夢子を征服したと感じた。それから再び怒りに火が付くと、彼女の性器をこれでもか!と言わんばかりに直往邁進の勢いで激しく突き出した。その猪突猛進とも言える勢いに堪り兼ねた絵夢子は、苦し気にのたうち、喘ぎ、悶え、端麗な顔と言わず乳房と言わず全身を酷く歪ませ畝らせながら、「ひえ~!だめ~!そんなに激しく突いちゃあ~!」と必死に訴えたが、圭太はその声を頭に置く事もなく時折、「このー!」「どうだ!」なぞと雄叫びを上げながら異様なパッションと反骨精神を込めて突きに突き、おまけに要領が分からないもんだから突けば良いと思って真っ直ぐな性格と若さに任せて突くわ、突くわ、猛り狂う荒波のような勢いで力強く突き続け、心行くまで爆発し、直様、快感の絶頂に達して、たったの三十秒でピストン運動を止めた。 「う~ん、エクスタシー・・・」  動悸が激しい中、圭太は息を吐きながらそう呟くと、すぽっと大事な物を花園から引き抜いた。そして至高の法悦に浸りながらコンドームを外そうとピンクのベッドに腰を落ち着けた丁度その時、「おのれ~!」という絵夢子の腹の底から搾り出したと思われる怨念の籠った唸り声が耳に入り込んで来て圭太の総身に戦慄が走ると、絵夢子はむっくと上体を起こし、「てめーだけ、いくなんて許せねえ!この早漏の、包茎の、サイテー野郎!」と絶叫した。その瞬間、圭太は頭のてっぺんに稲妻が落ちて脊髄に高圧電流が流れたかのような衝撃を受け、びりびりといった感じで震え上がったかと思うと焼き上がって弾けたホップコーンのようにポーンと跳ね上がってピンクのベットから飛び降りた。度肝を抜かれ竿立ちになった儘、蒼褪める圭太の股間には精子の入ったコンドームが大事な物と共に振り子のようにぶらぶらとぶら下がっている。 「てめー!騙しやがったな!」  何故、女だてらに、こんなヤンキー紛いの暴言を吐くまでに絵夢子を至らしめたのか?それは不覚にも自分が最も軽蔑する早漏男と性交を行い、早漏男だけがいって自分がいけなかったばかりか、早漏男に膣を酷く痛めつけられ、大馬鹿を見た憤懣が直情径行な性格だけに爆発したからである。おまけにセックスに満足していた早漏男に、「あっ、いや、あ、あ、あの、い、いけたんじゃ、な、なかったんじゃあないんですか?」と間抜けに聞かれては火に油を注がれたも同然なので、「もう!この、ばかー!あんな早く終わって、いけるわけねえだろー!」と再びヤンキー紛いの暴言を吐くに及び、早漏男を跼天蹐地の極みの心境に陥れた。 「あっ、あの、す、す、すいません。」 「何が、す、す、すいませんだ!てめ~!」と絵夢子は圭太に向かって恚恨の籠った唸り声を上げ、圭太を憎悪の籠った鋭い眼光で睨みつけ、「寧ろ、てめーが早漏のお陰で助かった。あの儘、続けてたら失神する所だったぞ!何せ、てめーがいきなり矢鱈滅法、激しく突くもんだから、おマ〇コが痛いだけで終わっちまったじゃねえか!」  そうは言うが、圭太は初体験で要領がよく分からないのであるから恕宥してやるべきなのである。それに圭太の性器を挿入するまでに圭太の言い分を出任せと見て受け入れられず圭太を冷たくあしらった為に一旦温まって濡れた自分の性器が冷えて乾いてしまう事態を招いた絵夢子自身がいけなかったのであり、糅てて加えて圭太のエロースを受け入れられず清められなかった為に圭太の性器に対して自分の性器が拒否反応を示してしまう事態を招いた絵夢子自身がいけなかったのであって、そもそも圭太に激しくピストン運動させたのは、散々圭太を邪険に扱った上に散々圭太を愚弄して楽しんだ挙句、圭太に、「ぶち込んでやる!爆発してやる!」と反骨精神を植え付けさせた絵夢子自身なのであるから絵夢子は圭太に報復を食らって当然で因果応報の法則に因り因業の報いを受けたのである。換言すれば、自分のした事で付けが回って来た、または自分のした事が諸刃の剣となった訳である。従って自業自得だと反省するべきで、そんな暴言を吐いて怒るべきではないのである。にも拘らず、「あ、あ、あの、あの、す、す、すいません。」と圭太はこの上なく恐れつつ心底申し訳なかったと謝った。が、仏法で言うところの三毒に毒され痴を極めていた絵夢子は、圭太を許せる筈が無く、「何が、す、す、すいませんだ!てめ~!」と再び圭太に向かって恚恨の籠った唸り声を上げ、圭太を憎悪の籠った鋭い眼光で睨みつけ、「そんなに、いっつもいっつも、だらしなく吃りながら謝りやがってる癖に、あんな時だけ強引になりやがって!」 「い、いや、こ、興奮したもんで・・・」 「興奮した?それが何だ!その間抜けなざまわ!」  絵夢子の暴言と般若のような形相に圭太が心胆を寒からしめられると共に最早、已んぬる哉と絶望的な心境に陥って何も答えられないでいると、絵夢子は般若の形相の儘、圭太を睨み付けるだけで何も言わなくなった。が、目は口程に物を言う。況してや目力のある絵夢子である。 「これ以上、私を怒らすな!これ以上、怒鳴られたくなかったら黙った儘、とっとと出てけ!」と絵夢子が暗に言っているのが圭太にはありありと窺えた。が、情緒纏綿なるが故に諦め切れない彼は、彼女の腹芸に怯んだ儘、出て行く訳にも行かず、確かめない訳にはいかなくなって、この上なく恐れながらも鼻息を窺おうと、「あ、あ、あの、え、え、M子さん。」 「何だ!」 「あ、あ、あの、しゅ、修復、ふ、不能で、しょ、しょうか?」 「何、聞いてんだよ!そうに決まってるじゃねえか!亦、馬鹿って言われたいのか!分からねえのか!てめーとはセックスが楽しめねえんだよ!セフレのリストから完全に除外したよ!」  圭太は冷や水を浴びせられたどころの騒ぎではなくなり、絶望に打ち拉がれ、虚無的な極限状態に陥り、果てしない虚脱感に襲われ、白痴のように茫然自失となり、その儘、深々と項垂れた。  絵夢子は、はあと深い吐息をついた後、「亦、暴言を吐かせやがって・・・」と呟いた。そして圭太の哀れな姿を繁々と眺める内、愉快に思えて来て、それに因って怒りが相殺されて行き、冷静さを取り戻すと、あれやこれやと気付いたり思い付いたりして冷淡な仔細顔になり、言葉に針を持たせつつ平生の言葉遣いに戻って、「あのね、私も女だから、これ以上、暴言を吐きたくないの。だから君が余計な事を聞かずに直ぐに下へ行って服を着て早く帰って欲しいって願ってたのよ。でもね、私、さっきまで頭に血が上ったばっかりに、君に早く帰って欲しいばっかりにすっかり忘れてた事が有って今、気付いたんだけど、あのね、服着て、その儘、帰ったら駄目よ。お金よ、お金。コンドーム代を払いにここへ戻って来るのよ!」とがめつく冷たく言い付けた。が、圭太が項垂れた儘、何も答えないので、「何、幽霊みたいに突っ立ってるの!暗いわねえ。私ねえ、暗い人って大嫌いなの。だから、そんな風に突っ立ってないで、いつまでも、ぼやぼやしてないで早く下へ行って服を着て早くお金を持って来て!」と更にがめつく冷たく言い付けた。  心の底から憧憬した女に地獄の底まで惝怳した圭太は、全ての希望が逃げて行くような気がして、お先真っ暗になった。正に彼は天地晦冥の境涯にあり、限りなく茫然自失となった。だから只、無気力にパンツを拾って、その儘、部屋を出ようとすると、「あっ、ちょっと待って!」と絵夢子に呼び止められた。その時、彼は命令通りにしか動けない感情の無いロボットその物だった。  M子はピンクのベッドを飛び下りて豊満な膨らみを波打つように揺らしながら廃人のように虚ろな目で見る圭太の所へ向かい、彼と正対すると、「ねえ、君のおち〇ちんと一緒にぶら下がってるコンドームを一体どうする気なの?」と聞いた。が、圭太が茫然自失とした儘、何も答えられないでいると、「こめんね、私って、ほんとに意地悪ね。だって早くお金を持って来てって言ってみたり、ちょっと待ってって言ってみたり、ふふふ、あのね、実はこれも今、気付いた事なんだけど、私ったら馬鹿ね、だって頭に血が上ったばっかりに、君に早く帰って欲しいばっかりに君のおち〇ちんと一緒にぶら下がってるコンドームの事にまで気付かないでいたのよ、ふふふ、だから、まだ、言う事が有るから下に降りたら駄目よ。それに私こそ服着なきゃ、もう、君の大好きなおっぱいは見納めよ。ふふふ、その前にちょっと確めたい事が有るし、君のおち〇ちんの所為で気持ち悪くっていけないからちょっと待っててね。洗って来るから。ふふふ。」と絵夢子は言葉通り意地悪く冷ややかに笑って見せてから先に下へ降りて行った。  彼女の意趣晴らしは始まっていたのだ。が、糠に釘で圭太は絵夢子に見捨てられたショックが強過ぎて、どう言われても怒りを感じる事が出来ない位、茫然自失となっていた。だから項垂れるだけで部屋の出入り口の手前で相変わらず突っ立っていると、バスルームであそこを洗い、脱衣場で何かを確認して戻って来た絵夢子は、「ほんと、見た目通り時化てんだから!ちょっとどいてよ!」と言って強引に圭太を後退りさせて部屋に入り、彼と正対すると、「さっきも言ったけど、まだ、言う事が有るから下に降りたら駄目よ。」と言い付け、圭太に当てつけて、「あー、すっきりしたわ。」と如何にも心地良さそうに言いながらピンクの箪笥に向かい、抽斗からピンクのショーツを取り出すと、それをまず履いて床に落ちているピンクのトレパン、ピンクのブラジャー、ピンクのTシャツと順々に身に付けて行った。  勿論、圭太はそれを残念に感じる事も出来なかったが、その後、ピンクの学習デスクの抽斗からビニール袋を取り出した絵夢子は、「もう、ほんとに君の大好きなおっぱいは見れないわよ。残念ねえ。」と意地悪そうに言いながら圭太の方に向かい、彼と正対すると、彼にビニール袋を突き付け、「コンドームを外したらコンドームの口を結わえて、これにコンドームを入れてポケットにでも仕舞っといて!」と言い付け、「もし、外した後、その儘、捨てて服着て、お金も払わずにトンズラしたら」と言いながら腕組みをして邪智を働かせ、圭太を脅かして御するには打って付けの出任せを思いついたと見えて狡そうな笑みを浮かべ、「そうねえ、私のセフレの子達に頼んで皆でとっちめて貰おうかなあ。」と言って、ふふふと不気味に笑った。  本来、感受性が鋭い筈なのに相も変わらず絵夢子に見捨てられたショックが強過ぎて何も感じない位、茫然自失となっていた圭太は、いざとなると、ここまであざとく悪辣になる奸物たる正体をまざまざと見せつけられたにも拘わらず矢張り何も感じ取る事が出来ず、茫然自失とした儘、唖のように黙っていた。すると、こいつなら絶対、逃げっこないと踏んだ絵夢子は、安心し切って、ふふふと冷たく笑い、「全く、ぼーとして、びびりもしないんだから・・・何も出任せまで言うことなかったわ。」と言って亦、ふふふと冷たく笑い、腕組みを解くなり手に持っていたビニール袋を再び圭太に突き付け、「もう、ぼさっとしてないで兎に角、これを持って早いとこ下に降りてって!」と冷徹に命じた。  生気を完全に失っていた圭太は、袋を受け取ると、途端に眩暈がして、よろよろしながら体を絵夢子に対し横に向け、魂の抜け殻のように蹌踉と歩き出し、その儘、部屋を出て行った。  絵夢子はその哀れな背中に、「ヒヒヒ!」と突き刺すような冷笑を浴びせた。  圭太は絵夢子に去勢されたも同然なので脱衣場でコンドームを外してから、このー!と投げ捨て精子をぶちまけてしまおうという憤怒の気は更々起こらなかった。況して律儀な性格だからトンズラする気は更に起こらなかった。だからコンドームを外した後、只、無気力に絵夢子に言われた通りにして彼が屠所の羊のように俯きながら階段を上がって来ると、一応、逃げないか、階段の最上段で玄関を監視していた絵夢子は、部屋に戻って行きピンクのベッドに腰を落ち着けた。そして圭太が部屋に戻って来て自分の目の前に立ち止まると、喪家の狗の如く枯燥した彼の姿を珍獣を見るような物珍しそうな目で見て、こんな落ち込んだ人間初めて見たわ・・・と思う内、愉快になり可笑しくて堪らなくなったので吹き出したいのは山々であったが、問うべき事は問わねばと吹き出したいのを必死に堪え、忍び笑いをしながら、「ちゃんと言われた通り、して来たでしょうねえ。」  圭太は絵夢子に笑われても茫然自失状態から抜け出せず、腹を立てる素振りを露も見せず、蒼褪めた黯然たる面持ちの儘、「ああ・・・」と蚊の鳴くような声で返事をした。  すると絵夢子は堰を切ったように声を上げて笑い出した。彼女は弱い立場の人間の弱味や不幸を笑いたがる卑劣な族の一人なので恰好の笑いの対象となった圭太を笑わずにはいられなかったのである。おまけに性格が直情径行だけに笑いに笑い、彼是、五分位、笑ってから漸う悪怯れて両手で口を押さえ、無理矢理、笑いを押し殺そうとしたが、両手を口から離すと、堪え切れず、くすくす笑い、何とか忍び笑いに止め、「ごめんね、ちょっと笑い過ぎちゃった。じゃあ、例の、見してみて。」  圭太は絵夢子に大笑いされた事で茫然自失状態から目覚めた。とは言え、まだ寝惚け眼のような状態だったから絵夢子のお体裁に眩惑されそうになりながらジャケットの腰ポケットから精子入りのコンドームが入ったビニール袋を取り出すと、力なく彼女に差し出して見せた。 「ちゃ~んと出来てるじゃな~い!じゃあ、君の記念だから大事に仕舞っといてね。」と絵夢子は言うや、吹き出すかと思いきや、慌てて両手で口を押さえ、何とかそうしたいのを堪えた。が、圭太が死人のように表情一つ変えずビニール袋をジャケットの腰ポケットに仕舞ったのを見て亦しても悪乗りして、「まさか、コンドーム外した後、おち〇ちん、洗わなかったでしょうねえ。お水が勿体ないわ。」と言うや、今度は間髪を容れず、「アハハハ!」と吹き出してしまった。が、直ぐに幾ら圭太でも逆上するかもしれないと恐れ、流石に悪怯れて両手で口を押さえ、くすくす笑いに止めた。  絵夢子は圭太を早漏男としてだけでなく限りなく不幸な男として完全に馬鹿にして嘗め切っていた上に身から出た錆なのに何事にも損得勘定して考えるので、こいつのお陰で大損こいたとか、こいつに一杯食わされたとか、こいつを出しに使う積もりが逆に自分が出しに使われたとかいった御門違いな腹立たしさが生じ、それが凝りとなって骨髄に蟠踞した為、圭太に膣を痛めつけられた怨恨を抑える事は、到底出来ないばかりか自分の本性を曝け出して隠す必要が無くなったから腹癒せにここまで酷い事が言えたのである。  理由がどうであれ、普通、男が女にここまで愚弄され笑われれば、女を失神するまで撲ん殴ってしまっても可笑しくない、それ位、屈辱的な状況にあった圭太であったが、彼が歯向かえっこないと絵夢子が高を括って作り出した状況でもあったし、圭太は圭太で絵夢子が馬脚を露して彼女の隠された奸物たる本性が次から次に明らかになったにも拘らず、彼女に見捨てられたショックが強過ぎて、怒りも何も感じる事が出来ない位、茫然自失としていたから今まで怒る事が出来なかった訳だが、我が男のシンボルをここまで愚弄するとは・・・と漸く感じ取る事が出来る位、茫然自失状態から目覚めたので心中で静かに怒りの炎をめらめらと燃やし始めた。  絵夢子はそれを察する事も無く笑みを漏らしながら圭太に平気で手を差し出し、「ごめんね、亦、笑い過ぎちゃった。じゃあ、もう一つ、例のを出して。」と金の請求をした。  正気を取り戻しつつあった圭太は、静かに怒りを増しながらも律儀なだけに取り敢えず払う物は払おうと右手に予め持っておいた百円玉二枚を絵夢子の掌に置くと、彼女は掌の上で百円玉二枚を躍らせながら、「ほんとだったらね、諭吉ちゃんを何枚もせびりたい所なのよ。だって君は自分だけいっちゃって私をいかせられなかったばかりか私に痛い思いをさせちゃったんだもん・・・だから、せめて英世ちゃんを少しばかりって思ってたんだけど、君はまだ高校生でお金を全然、持ってないから、これっぽっちで済んでるのよ。有難いと思ってね。」と援助交際をしている事を充分、匂わせる発言をしてからトレパンのポケットに二百円を仕舞うと、「じゃあ、とっとと失せてね。」と言うや、吹き出しそうになるも慌てて口を両手で押さえ、くすくす笑いに止めた。  ここに於いて可愛さ余って憎さ百倍、とことん絵夢子が憎らしくなり、亦、失うものは何もないから何か言い返さないと気が済まなくなった圭太は、「この売女!この鬼女め!何処まで馬鹿にする気だ!」と言葉を凝縮して怨み辛み憎しみを込めて忌憚なく罵声を浴びせ掛けた。  絵夢子は絶対、逆らえっこないと踏んでいた事が覆らされ、初めて圭太が怒る姿を見たので少なからず驚いたものの自分に楯突く事が許せなくなり、勃然として色をなし、再び般若の形相に変貌すると、「何だよ!恩師に向かって!」と叫び返した。  圭太は絵夢子の変貌も然る事ながら、その言葉自体に只々驚き呆れ果て、「お、恩師?」と然も怪訝そうに反問すると、「だって、そうじゃないか!」と絵夢子は強い語調で言い返すや、亦々顔が変貌して薄笑いを浮かべ、穏やかな口吻の中に氷柱のような鋭い冷たさを含ませてこう言った。 「哀れな君を童貞から救ってあげたのよ。鬼女がそんな事してくれると思って?」  圭太は「哀れな」という言葉を聞く刹那に、矢張り樋口に聞いたに違いないと勘付き、肯綮に当たる「哀れな」という言葉が薔薇の棘となって、ぐさりと心に突き刺さり、忸怩たる思いとなり、愧赧の念に駆られ、真っ青だった顔が真っ赤になり、羞恥心が強大になって行き、それに連れて両手に握り拳を作りながら怒りの炎を鎮火して行き、目を伏せ、見る見る悄然となって行った。その変容に絵夢子は頗る愉快になって会心の笑みを浮かべ、何も言えず項垂れた儘、立ち尽くす圭太を独り悦に入って眺めた。やがて、「あのね、そんな風にしょんぼりしててもしょうがないじゃない、ね。これから自分を変えて明るくなって友達を一杯作って彼女を作れるように頑張るしかないじゃないの、ね。さあ、元気を出して。」と見え透いた口先だけの激励の言葉を並べ立て圭太の淀んだ目を自分に向けさせてから貪欲にもっと愉快になろうと圭太の神経をなるべく昂らせずに圭太を完全に虚仮にして帰す事の出来る彼女にとって最善の最も愉快になれる取って置きの台詞を吐いた。 「恨みっこなしよ、気を付けて帰ってね。」  すると、「これぞ正に外面如菩薩内心如夜叉だ。」と圭太は思い、総毛立つ程の戦慄を覚えた。何故ならこの別れを告げた時の絵夢子の笑顔が自分に優しく接していた時のそれと寸分違わなかったからである。亦もや、どうにでも装える変幻自在な絵夢子に恐れ戦いたにも拘らず、彼はもう帰らなければいけない立場である事に改めて気づくと、彼女に見切りを付けられたショックを肺腑をえぐられる思いを伴いながら痛烈に感じて慄然旁益々悄然となって行った。故に恐れ戦きながら立ち去り難いというアンチノミーな心境に陥った圭太は、後ろ髪を引かれる思いをしながら、びくびくすごすごと部屋を後にした。  絵夢子はその思惑以上に旨く行った結果に、してやったりとこの上なく愉快になり、圭太が階段を降りる時には魔女が実在するならこうするだろうと思われる、こよなく冷やかな高笑いをした。  圭太はそれを耳にして悄然旁益々慄然となり、玄関を出た時にはそんなしょんぼりしながら怯える自分をつくづく情けなく思い、「この儘ではいかん。この儘、むざむざと何もせずにおめおめと帰ったのでは余りにも情けなく惨めだ。必ず後悔する。断じてこの儘、M子を好い気にさせておく訳にはいかない。」と眦を決すると、鬱勃たる雄心が沸々と湧いて来て奮い立ち、絵夢子にどう制裁を与えようという具体的な考えは浮かばなかったものの兎にも角にも踵を返し玄関のドアを開けた。すると偶然にも下駄箱の上に飾られた魚のフィギュアが目に留まり咄嗟にグッドアイデアが閃いた。と同時に絵夢子のけたたましい笑い声が降り注ぐ雹のように二階から聞こえ来た。当然、圭太は怒り心頭に発し、絵夢子の人の不幸を何処までも笑おうとする腐った根性が許せなくなるのと共に恨みを募らせたが、絵夢子に気づかれてはグッドアイデアを遂行出来なくなる恐れが有るので駆け出したいのを堪え、敢えて冷静になり、まずは音を立てないように静かにドアを閉め、靴を脱ぎ、そっと上がり框に上がった。それから足音を立てないように靴下を利用して素早く廊下を滑って行き、廊下の突き当りのキッチンに忍び込むと、冷蔵庫に向かって滑って行き、祈るような気持ちで冷蔵庫を開けた。するとグッドアイデアを遂行するにはお誂え向きの体長三十センチ程の新鮮な秋鯖があったので圭太は狂喜して、それを取り出し、ジャケットの腰ポケットに突っ込んだ。その気勢に乗り玄関までスケートリンクを滑るように引き返し、廊下横の階段の段をコソ泥のように密かにゆっくりこっそり上がって行き、上がる度に絵夢子の笑い声が大きく聞こえて来るのに比例して義憤と恨みを募らせて行き、最上段に立った時には義憤が最高潮に達し恨み骨髄に徹した。が、まだ感情を爆発させては不味いと抜き足差し足忍び足といった具合に絵夢子の部屋の出入口に近寄って行き、ドア枠から顔を半分だけ出して覗いて見ると、絵夢子は矢張り部屋の奥の角にあるピンクのベッドの縁に座った儘、腹を抱えて笑い転げていた。余程、痛快だったと見える。まるで笑茸を食べたかのような気が狂わんばかりの笑いようである。それを目の当たりにして、「ここで怒り狂わねば、何処で怒り狂うのだ!」と怒り狂う絶好の場を得た圭太は、激高し狂気に燃え盛ると、神懸って絵夢子に気づかれぬ間に疾風迅雷の如く猛然と飛び付いて一瞬にして絵夢子の上体をベッドの上に俯せに押し倒し、「きゃー!」「何する気なの!」「やめて~!」「苦しい!」等と裂帛の悲鳴を上げる絵夢子の背中の上に上体を乗っけた儘、絵夢子を羽交い絞めにして抑え込み、ヘッドの中央に俯せに寝かせる可く両肘と両膝を互い違いにベッドに突きながらベッドの中央へ寄せて行き、俯せに寝かせる事に成功した後、絵夢子の上に腹這いに乗っかった儘、左肘を絵夢子の背中に押し当て絵夢子の上体を押さえ付けておき、同時に脚で絵夢子の脚も押さえ付けておいて腰を浮かせながら右手で絵夢子のトレパンをずり下ろしショーツもずり下ろしてから左腰だけベッドの上に落とし、絵夢子の桃尻を露わにした所でジャケットの腰ポケットに入れておいた鯖を取り出し、鯖を持った右手を絵夢子の太腿の間に差し込んで絵夢子の性器に目掛けて鯖を頭からずぼっと突っ込んだ。その異様な感触に、「いや~ん、だめ~!」と甘くも苦し気な喘ぎ声を上げた絵夢子の性器を圭太は鯖で、「このー!いけー!」なぞと叫びながら半狂乱になって攻め出すと、奇しくもレッドツェッペリンのセカンドアルバム「レッドツェッペリンⅡ」の一曲目の「胸一杯の愛を」が頭の中に流れ出して弥が上にも熱狂し、「ひえ~!そんなに激しくしないで~!」と絵夢子が苦し気に訴えても容赦する事なく決河の勢いで攻め続け、五曲目の「ハートブレイカー」の序奏のロック史に燦然と輝くジミー・ペイジの傑出のギターリフが頭の中に流れ出した日には、そのリズムに乗って攻める手がリズミカルに動き出して膣の伸縮に反映し、更には間奏のこれまたロック史に燦然と輝くジミー・ペイジの超絶のギターソロが頭の中でうねるように流れ出した日には、攻める手の動きにうねりが加わって膣を左右上下に裂けんばかりに伸縮させ、絵夢子を失神寸前に追い込んだ。が、丁度、間奏が終わって一瞬の静寂が頭の中に訪れた時、「お願いだから優しくして!」という気力を振り絞ったと思われる絵夢子の必死に懇願するしおらしい声が鳴り響いて来たので、「あっ、そっか、激しくすると痛いんだ。優しくゆっくりしないと気持ち良くならないんだ。」と気づいて優しくゆっくり攻め出すと、鯖の滑り具合も程好く作用したらしく絵夢子が不死鳥の如く蘇って気持ちよがり出し、やがて、「あ~ん、いい~!」「あ~ん、そこ~!」「あ~ん、もっとして~!」等と然も気持ち良さそうに喘ぎ出したので、「こいつ、あんまり気持ち良いもんだから全然、抵抗しなくなったぜ!へへへ!感じ捲ってやがる!アハハハ!」と鬼の首を取ったように笑い、それから手もなく絵夢子を引っ繰り返して仰向けにすると、絵夢子のTシャツとブラジャーを捲り上げ、錦の乳房を露わにして揉みしだき嘗め回しながら鯖で絵夢子の性器を優しくゆっくり攻め続け、頭の中では依然としてジミー・ペイジの荒々しくも味わいのあるレスポールの音とロバート・プラントの激しくシャウトするボーカルの音とジョン・ボーナムの驚異的に叩くドラムの音とジョン・ポール・ジョーンズの憎い程、正確に刻むベースの音とが絶妙にブレンドして一つの有機的な音の塊となって、その塊が猛々しく咆哮する獅子の如くパッションを発散して筋斗雲に乗る孫悟空の如くグルーブ感を加速して日輪から逆巻く紅炎の如くロックンロールを展開する中、絵夢子の絶品の乳房とセクシーな喘ぎ顔と甘い喘ぎ声と艶めかしく全身をくねらす妖々たる女体に陶酔し忘我し激情し狂乱し正にディオニソス型人間となった圭太の前に絵夢子は到頭、オーガズムを感じ、「あ~ん!いく、いく、いっちゃう~!」と嬌声を上げて果ててしまった。洋楽に詳しい人には自明の事だが、圭太はレッドツェッペリンの「サメ事件」にヒントを得て絵夢子をいかせたのである。  果てた後、絵夢子は衣服を乱した儘、ベッドに横たわり圭太に背を向けた状態で相変わらず体をひくひくさせていた。この時、絵夢子をいかせた余勢を駆って自分でも驚く位、悠然となり肝が据わっていた圭太は、呼吸が落ち着いて来ると、絵夢子への報復完結のアイデアが泉の如く次から次に湧いて出た。それは峰不二子に関するものだったのだが、ここで注釈を入れておくと、圭太はユーチューブで観たテレビファーストシリーズの「ルパン三世」に登場する二階堂有希子が声優を務めたあの絵柄の峰不二子しか峰不二子と認めておらず、セカンド以降の峰不二子は糞だと思っている。だから圭太は絵夢子への報復完結のアイデアを遂行するべくピンクのベッドを飛び降りると、テレビファーストシリーズの峰不二子だけを峰不二子として絵夢子とオーバーラップさせながら彼女に向かって、まずはこう言い放った。 「M子さん!実は僕、M子さんの事、峰不二子みたいだって思ってたんだぜ!」  絵夢子はまだ圭太に何をされるか分からないという恐れが有るのでベッドに横たわり圭太に背を向けた儘ではあったが、ここは圭太に媚びようと腫れ物に触るように猫撫で声で、「ほんとうに?」 「ああ、ほんとうさ。」  絵夢子は亦、猫撫で声で、「うれしいわ。」 「真に受けるな!似てるのは強欲な所だけだ!」と圭太はここぞとばかり叫んだ。  絵夢子は無言の儘、「何だと~!」と心中で唸る。 「第一、峰不二子はあんたみたいな尻軽女じゃないよ。」  絵夢子は無言の儘、「大人しくしてりゃあ、好い気になりやがって!言いたい事を抜かしやがって!」と心中で煮えくり返る。 「但さあ、峰不二子は確か五右衛門がルパン一味に加わる前に五右衛門に媚びて寄り添ってたよなあ。それを見ただけでルパンが『情けない。』って嘆いてたよなあ。あのアニメが出来たのは半世紀近く前だけど、その間に日本は更に風紀が乱れ堕落したから今シリーズのルパンだったら情けないとまでは言わないだろうなあ。でも、あんたは今の日本の低俗な価値観から見ても情けないと言われて然るべき、いや、情けないのを通り越してる。だって、あんたはこれまでに何人もの男に媚びて寄り添うだけでなく肌を許し、而も売春までし、おまけにそんな自分をヤリマンと号して憚らない訳だからなあ。嗚呼、何たる情けなさ!何たる恥知らず!破廉恥極まりなしだ!」  絵夢子は流石に堪えて、「う~」と思わず小声で唸る。 「それに引き替え、峰不二子は恥を弁えていて、とってもガードが堅いんだ。」  絵夢子は無言の儘、「アニメじゃエッチシーンは見せられねえからだよ!ばーか!」と心中で罵る。 「なあ、ルパンに一回でもやらせた事が有るかい?」 「えっ。」と絵夢子は思わず声を出し、「だからアニメだからだよ!ばーか!」と心中で罵る。 「ないだろ!」  絵夢子は猫撫で声で、「え、ええ。」 「あんたとは大違いなんだ!」  絵夢子は無言の儘、「何、アニメのキャラと比較してんだよ!ばーか!」と心中で罵る。 「それとこれは全く異なる点だが、峰不二子は決してあんたみたいに言葉遣いが荒くならないんだ。常に色っぽくて可愛くって粋なんだ。レディなんだな。そこへ行くとあんたは下種だ!」  絵夢子は無言の儘、「何だと、てめー!下種とは何だ!下種とは!」と心中で煮えくり返る。 「それにさあ、ルパンの名台詞に『裏切りは女のアクセサリーのようなものさ。』ってのが有るけど、峰不二子はあんたと違って裏切るばかりじゃないんだ。いざという時はルパンと心中する覚悟だって有るんだ。ルパンは峰不二子をそう見込んでるから、あんな粋な台詞を吐いて峰不二子を許していたんだなあ。」  絵夢子は無言の儘、「何、言ってんの?こいつ。」と理解に苦しむ。 「嗚呼、しかし、僕はあんたを美化し過ぎて峰不二子に擬して、お陰で随分、失望したよ。開けて悔しき玉手箱ってね。あんたは尻軽女だけに峰不二子と違って、いざという時こそ裏切る女だろ!」 「えっ。」と絵夢子は思わず声を出し、「利いた風な口利くな!」と心中で怒鳴る。 「そんな女でいないで、あんたも峰不二子みたいにルパンに見込まれる女になれよ。」  絵夢子は無言の儘、「さっきから何、言ってんだよ、ばーか!」と心中で罵る。 「無理か。」  絵夢子は無言の儘、「てめーが無理な事、抜かしてるんだろ!」と心中で怒鳴る。 「無理なら峰不二子の真似だけでもやってみなよ。」 「えっ。」と絵夢子は思わず声を出し、「このすけべ、セクシーなポーズでも取れば許してくれるのかしら?」と思う。 「へへへ、一瞬、やろうとしただろ!全くあんたは変幻自在だから。けれども、仮令、あんたが僕の目を晦まそうと、どんなに装ったって、どんなに口先で巧い事言ったって、どんなに峰不二子の真似が巧く出来たって、もう騙されないよ。」と言ってから圭太は報復完結への布石となる取って置きの台詞を言い放った。 「何故って、あんたがおち〇ちん無しでは生きられない淫らな貪婪な破廉恥な女で尚且つ僕のようなナイスガイを許す事が出来ないやくざな無慈悲な癡な女・・・つまり、櫓も櫂も立たぬどうにも救いようの無い哀れな女だという実体が明らかになったんだからな!」  自分にとって余りにも辛辣で見事に図星を指した圭太の一語一語が匕首のようにずぶりずぶりと耳へ突き刺さった絵夢子は、一々癪の種となって圭太への怒りがもくもくと大きくなる入道雲のようにぐんぐん増して圭太への恐れを凌駕して遂に我慢ならなくなり、「何だと~!」と地響きするような低い唸り声を上げるや、蘇ったゾンビの如くやおら、ひくひくさせながら上体を起こし、首を反動をつけてむんずと捩って悪狐の神楽面のような形相を圭太の前におどろおどろしく顕現した。  圭太はそのおっぱいとお尻をまだ下着から覗かせた艶めかしくも鬼哭啾啾たる絵夢子に身の毛がよだち、ぞっとしたものの報復完結へのシナリオ通りとなったので待ってましたとばかりにジャケットの腰ポケットから精子入りのコンドームが入った袋を取り出すと、「置き土産だ!取っとけ!」と言って絵夢子の前に放り投げた。  果せる哉、絵夢子は再びヤンキーと化し、「てめー!ふざけんな!」と怒声を上げた。 「おお、こわ。」と圭太は言うのとは裏腹にその態度たるや悠揚迫らざるもので、「亦も本性発揮か。直情径行は夷狄の道なりと礼記にあるが、確かになあ、流石、札付きのヤリマンだぜ。ヤリマンだけにヤンキーの血も流れてるんだな。そう言えば、あんた、自分の事をヤリマンとも汚れとも言ってたが、レディとも言ってたよなあ。いやあ、確かに、てめー!ふざけんな!なんて言う所からして大したレディだぜ。恐れ入り谷の鬼子母神。」と皮肉たっぷりに言い返した。  絵夢子は圭太を礑と睨み付けた儘、只、「くそー・・・」としか言えなかった。 「何だよ、御望み通り、いかせてやったのにそんな険しい顔して、文句が有るのかい?」 「てめー!勝手に家の鯖を持ち出して、勝手に使っておいて、そんな言い種が有るか!」 「あっ、そうだったな、悪かった。このお気に入りの鯖も返すからさあ、これでオナニーでもして機嫌直してよ!」と言って圭太は左手に持っておいた絵夢子の膣液でねとねとになった鯖も彼女の前に放り投げ、ピンクの部屋をすっかり生臭くして、「これで報復完結!」としめしめと廊下へ出て行った。  絵夢子は矢も楯もたまらず、「て、てめー!ちょっと待て!」と叫ぶや、碌に下着も整えず慌ててピンクのTシャツとトレパンを雑に戻してピンクのベッドを飛び降りて、「あの野郎、嘗めた事ばっかり抜かしやがって!」と極めて乱暴な独り言を吐きながら押っ取り刀で駆け出して部屋を少し出た所で急ブレーキを掛けて立ち止まると、ピンクのベッドの方を指差しながら叫んだ。 「てめー!あの鯖、どうしてくれるんだ!しめ鯖にして食う筈だったんだぞ!」  圭太は階段を二段降りた所で足を止め、振り向きざま言った。 「あっ、そんな、せこい事で怒ってたのか。ごめんごめん。あのさあ、洗えば大丈夫だと思うよ。まさか、汚れのラブジュースが付いたからって腐りはしないだろ。何なら僕の清潔な手で洗ってやろうか。君の汚れの手では綺麗にならないだろうし骨折りさせちゃあ悪いから。どうしても弁償しろって言うのなら買って来てやっても良いぜ。幾らしたんだ?」 「てめ~!財布の中に百円玉一枚と十円玉三枚しかねえ癖にふざけた事ばっかり抜かしやがって~!もう怒ったぞ~!」と絵夢子は唸り声を上げた後、突っ掛かって行こうとしたが、流石にそうする訳にも行かず、自重して切歯扼腕し、青筋を立て、鼻息を荒げ、圭太を睨みつけるしかなかった。 「いやあ、さっきから凄い剣幕に凄い言葉遣いだけど、あのー、時にM子ちゃん!いつ、僕の財布の中までチェックしたんだい?」 「えっ、あっ、う」と絵夢子は流石に動揺を見せたものの、「うるせー!何がM子ちゃんだ!そんな事どうでも良いだろ!」と血迷う傾城となって勢い込んで叫んだ。 「どうでも良かないよ・・・まあ、流石に盗んではいないし、聞いても言わないだろうからこれ以上、追及はしないけどさあ、いやあ、それにしても僕、M子ちゃんにはほんとに驚かされる事ばかりだよ。あっ、そうそう、鯖はもう良かったのかい?」  絵夢子は面皮を剥がされたような気がして流石に恥ずかしくなったのと先程からの瞋りで体中から湯気が出る位、上気したのとで顔を慙恚の紅蓮の焔で真っ赤に染めながら、そうするしか手立てがないように只管睨みつけていると、圭太はちょっと後ろ暗い気もしたが、笑わずにはいられず、「ヒャヒャヒャヒャ!」と笑いながら階段を降りて行った。  絵夢子はもう居ても立っても居られず瞋りに震えながら部屋の出入り口の前を離れ階段の最上段に立った。が、矢張り、どうする事も出来ず、狂おしい程の腹立たしさと恥ずかしさと怨めしさと憎たらしさと悔しさを押し殺し、いつか目に物見せてくれるわ・・・と復讐心に燃え盛りながら恰も不俱戴天の仇を見るかのような目付きをして圭太を見送るしかなかった。     
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