ジュリアン

1/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/13

ジュリアン

十二時過ぎに寮の浴場に行った。 ひざを抱えてお湯につかったら、泣きそうになった。 パンパンに張ったふくらはぎを手のひらでさする。 腕も腰も痛い。疲れた、と思った。 お湯の中で、数を数えてみる。 ここに来て、まだ十日目だった。 あと九十日。長いな、と思った。 お風呂からあがったところで、男湯から出てきたジュリアンと鉢合わせた。 前髪をおろしているせいか、いつもより幼く見える。 ペコリ、と頭をさげると、ジュリアンもペコリ、と返した。 「今日は、すみませんでした。色々……」 もう一度頭をさげたら、涙がにじんだ。 ジュリアンは何も言わず、そばの自販機でサイダーを二本買った。 そのうちの一本を「ほら」と、ぶっきらぼうに差し出してくる。 「ありがとうございます……」 サイダーを受け取って、隣に座った。 プルタブをひいて一口飲んだら、乾いた喉に、炭酸が甘くはじけた。 「私、何をやってもダメなんです」 「何をやっても、ってことはないんじゃない」 思いがけずジュリアンが優しかったので、弱い言葉がこぼれてしまう。 「ダメなんです。私。 名前の通りどんくさくって。 アルバイトだってそうだし、受験だって……」
/13

最初のコメントを投稿しよう!