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鬼ヶ島に、春が来た。
少しずつ、少しずつ、みんなで岩の下から土を掘り出し、畑を作り、木を植えたこの島は――もう呪われた大地ではない、豊かな自然と取り戻しつつある。
「見てよ、×××!桜、咲いてるよ!」
俺の腕を桃太郎と猿が、嬉しそうにひっぱっている。まだ三分咲以下の桜の木の下、喜びの声を上げる雉と犬がいる。既にお花見を満喫する気マンマンで、酒を用意している鬼の大将と仲間達が手を振っている。
百人目のハッピーエンドの中、俺は今此処にいるのだ。
もう二度と間違えることのないようにと――大好きな人の、隣で笑って。
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