残念女騎士と星喰いパンツ

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 妙な湿気に包まれ、俺は目を覚ました。  体が自由に動かない。そりゃそうか、手酷くやられてアメーバみたいになっちゃまったからな。  あの下等生物どもめ…。  だが、俺を完全に仕留めるには至らなかったようだな。  俺はこうして生きている。  また力を蓄えて必ず復讐してやるさ。  ……しかし、ここは何処だ?  生きているのはいいが、まるで動けんし、自分の体が、自分の物でないみたいだ。  残っている感覚は視覚、聴覚、嗅覚。慣れれば喋ることも出来そうだが、今は無理だな。  周りを見るに、どうやら家屋のようだが文明レベルはあまり高くない。  部屋の殆どが木製。鉄製の物は数える程。  壁に掛かっている武器ぐらいだろうか。剣、盾、鎧等はあるが銃器の類いはない。  暖炉があり、機械類が無いところを見るに、主な燃料は火だと思われる。  …シケた星だ。  体さえ無事なら今すぐにでもエネルギーにしてやる所だが、残念なことに今はそれも出来ねぇ。    俺は視覚をフル稼働させ生命体を探した。  まず何よりも食事だ。  動けないまでも、目処はたてておかにゃならない。  幸いなことに、餌はすぐ見つかった。  俺の真下で身体を広げて寝ているヒューマノイド型…人間、とかいったかな。その生物によく似ている。  身体的な特徴からして雌だろう。  両乳房が発達していて、外部に生殖器がない。  身体は鍛えてあるようで、適度に筋肉が付いて引き締まっている。  餌としてはまぁ、上出来だ。  後はどうにか身体を動かせれば…。 「ん…うむぅぅ…」  考えているうちに、そいつが目を覚ました。  身体を起こし、金色の髪を棚引かせて俺の方へ近付いてくる。  そして、俺の身体を引っ張ると不機嫌そうに目を細めた。 「あちゃ~…まだ乾いてないけど、まっいいか」  そいつは俺を手に取ると、身体を屈めた。  そこでようやく俺は気付いた。  俺の身体に起きている変化に。  身体の内側がそいつの肌と擦れ、下半身を登っていく。  生暖かい肌が裏地と接触し、身体が引き伸ばされて柔らかな感触が全身に広がった。  まさか…いや、間違いない。この伸縮性、弾力…アメーバどころじゃない!  そんなバカな…俺は…俺の身体は…!? 「…やっぱ湿っぽいや。でもそのうち乾くでしょ」  俺は、パンツになっていたーーーー。
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