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「はーい。みんなにまた会えて先生は嬉しいでーす」
「先生らしいこと言うとき棒読みになんのやめてくださーい!」
「本音は先生?」
「あっつい、マジだるい、お前ら勝手にホームルームやっとけ」
楽しげに響く笑い声。
クラスの雰囲気が、ノリが、やっぱり出来上がっちゃってる。
パンパン! と手を叩く音にビクッとなって顔をあげると先生と目が合った。
「はーい。という訳で二学期から新しいお友達がやってきました~」
「え? 転校生?」
「お友達って小学生かよ」
先生がコクリと頷く。
入って来いという合図だ。
怖くて前が見られない私はうつむいたまま扉のレールを目をつむってまたぐ。
目を閉じたままじゃいられないのは分かってる。
小さく深呼吸して勇気を振り絞り前を向いた。
そして飛び込んでくる新しい世界。
みんな私服!
超オシャレ!
メイクしてる子もいる!
そして、そして半分が男子!
私のいた学校は女子校だった。
中高一貫の学校がそこしかなかったからなんだけど。
男子が普通に同じ教室にいるってだけで無駄に緊張しちゃう!
『転校生にキャラ変して女子校から共学に転生かぁ~なかなか羨ましいぞ!』
美由希のちょっとイタズラな顔が浮かんで余計に意識してきちゃった。
「竹内さん、自己紹介お願いします」
噛むな、私!
「はい!」
み、みんな見てるよ……!
「た、竹内架帆、高校二年、十七歳です! よろしくお願いします!」
「クラス全員高二だって!」
ペコリと下げた頭上に容赦なく突っ込みが飛んで来た。
ビックリするくらいの笑い声に包まれる教室。
私は顔が、全身が炭化しちゃうんじゃないかと思うくらい燃え上がる。
だよね、ここは二年生のクラスなんだもんね。
何でこんな馬鹿な自己紹介しちゃったんだろ……。
「委員長……はクラスの面倒見て欲しいから、副委員長、大谷」
先生が指さした先で男子がヒョコっと顔を上げた。
みんな全開で笑ってるのにちょっと我慢してるみたいに眉間に皺を寄せてる。
「一限自習だから竹内さんに校内の案内してやってくれ」
「はい」
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