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エリリカの審査
二人の姿が、全盛館にあった。
「……珍しい。今日は営業中だ」
サエモンがぼそりと言った。
「たく、どんだけさぼってんのよ、あの惚けたオヤジは」
ぼやきながら中に入ると、天童がニヤッとして出迎えた。
「いらっしゃい。返却は明日の予定だけど。もう返すのか?」
「ええ。ラストができたんで」
そう言いながら、エリリカとサエモンはあの絵本を手渡した。
「ほう、ほう。そう来たか。なるほどな」
天童は、絵本を眺めながら、何度もうなずいた。
エリリカは、少し不安だった。審査とは何か。そして、その審査を通過して、見られる自分の前世とはいったい?
「久保河内絵里理佳という長い名前の人。審査は合格だ!」
天童が、ニヤーッと笑った。
「……ありがとうございます。てか、そのくだり、いりませんよね?」
「まあ、とにかくだ。100万ポイント達成&審査合格だから。秘密の小部屋に案内してあげるよ。サエモン君はどうする?」
サエモンは、腕組みをして立っている。
「どっちでもいいです。なんとなく、想像ついてるんで」
「やっぱりな。これも、前世の因縁ってやつだからな」
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