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久保河内絵里理佳の前世
天童とサエモン、エリリカの三人は、秘密の小部屋に入っていった。
「ここにあるのは、一部の人の、前世が記録できた人の本だけだよ」
ここに前世が記されているのは、生前、何らかの形で「全盛館」の歴史に関わったことがある限られた人間だけだという。
どういう仕組みでそうなっているのか分からないが、その「前世の書」には、転生した時の名前と、生まれる場所、日付が書かれているという。
「私のは、あるってことですか?」
「ああ、あるよ。あの絵本と秘密の小部屋のことを話すのは、あそこに名前のある人だけだから」
不思議な話だなと、エリリカは感じざるを得なかった。
「く、はここだよ」
天童が指をさすと、背表紙に「久保河内絵里理佳」とあった。
「ほ、本当にあるんだ……」
エリリカは目を丸くした。
「な、不思議だろ」
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