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素敵な未来へ
エリリカは、B5ぐらいの大きさの、その書を手に取った。
それほど、重くはない。
天童とサエモンによると、1ページに1年が記されているという。
「私、結構長生きしたんだね」
エリリカは、そのページに手を掛けた。
だが、しかし。
「やっぱり、やめておくわ。私は、あの絵本を通じて、過去も変えられるし、未来もハッピーエンドにできるってことを学んだの。だから、私は過去にこだわらない。未来は、私が頑張って絵本の二匹を助けて幸せにしたのと同じように、きっと明るい未来にできるもん」
サエモンは一瞬「えっ」と言う顔をした。
だが。
「エリリカらしいな。言われみれば、そうだ。オレは、興味本位で見てしまったが、過去に引きずれて、不幸な結末しか描けなかった。それじゃあ、やっぱり駄目なんだ」
天童は、その二人の会話を黙って聞いていた。
「でしょでしょ。天童さんには悪いけど、私には必要ないわ! ありがと!」
「そうか。そうだな。もう、エリリカには必要ないな。燃やすか」
天童がそう言うと、エリリカは慌ててその本を胸に抱いた。
「っと! それとこれとは別でしょ! 勝手に過去の私を燃やさないでよ!」
「それもそうだ。あはははは」
サエモンが、笑い声をあげた。
気が付くと、天童はいなかった。
前世の本は、見なかったが、エリリカには絵本との格闘を通じて、大きく成長していった。
「未来は、私がつくる! そしてその未来は、きっと明るいはず!」
~終わり~
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