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夢の中で、私はフミ羊
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- あれ? ここは、どこ?
エリリカの目の前には、絵本で見た光景が広がっていた。
(まさか、絵本の続き? それとも、夢に絵本が出てきたの?)
ツンツン
誰かが、エリリカの尻を突っついた。
(誰よ、エッチ!)
振り向くと、全身もふもふの羊が、お尻の匂いを嗅いでいた。
「メェ~! メェメェ」
言葉を発したつもりが、なぜか、メェしか言えなかった。
(てか私、羊になってる!)
尻をツンツンした羊は、牡羊らしい。
「なあ、あの話、決心ついた?」
「しゃ、しゃべった!」
「あ? 羊が、羊語しゃべっちゃおかしいかよ?」
「そう言われてみればそうね。で、あの話って?」
「ここから逃げることだよ。早くしないと、オレたちには時間がないんだ」
牡羊は、当然のことだと言わんばかりにエリリカに迫った。
「あなたは……?」
「ヒロだよ、ヒロ! 本当は、16番だけど、オレは勝手にヒロって呼んでるって、前にも言ったろ?」
「じゃあ、私は?」
「フミだよ、フミ! 23番だろ? だから、フミだ!」
エリリカは、ヒロと名乗った牡羊に、フミと呼ばれた。
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