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不意の来訪者
職場にオニヤンマが紛れ込んだことがあった。
大きさはおよそ100ミリメートルほどあり、胸のあたりを持つとトンボらしくバタバタと暴れ、セミに匹敵するくらいのパワーを感じた。
体の色は黒に黄のしま模様。頭の辺りだけがやや青のかかった緑色で、そのアゴをむき出しにすると、私の指に傷を付けそうな厳めしさがある。程よい距離に指を近づけると、ヤンマは私の指を6つの足で抱えるように掴み暴れるのをやめた。こういう所はどことなくセミを連想させる。
さて、どうしてこれほど大きな昆虫を捕まえたのかと言えば、たまたま網に目を向けたら、トンボが内側に紛れ込んで出られなくなっており、よく見たらヤンマだったという、どこか間の抜けた経緯だ。
それにしても、暴れるどころが開き直って止まっているところが彼女らしい。
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