バスのお隣さん

1/2
29人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ

バスのお隣さん

季節は春。 バスの窓から見える桜色は明るくて優しい色だと思う。 平日の昼頃はそんなにバスは混んでいない。 高校時代の友人が結婚するというので、有名デパートで結婚祝いを買いに行った。デパートの中をあっちでもないこっちでもないと歩き回ったのが効いたのか、バスの揺れでうとうとしそうになる。 ふと、話し声が耳に入った。 隣の席で一生懸命小さな声で話している高校生の二人。途切れ途切れ聞こえてくる会話の内容からテスト期間だったらしく、午前授業だったようだ。 高校時代の自分を振り返りながら、少しだけ懐かしくなる。懐かしさに意識を泳がせている間にどこの問題が難しかった、こんなふうに答えを書いたなどテストの話題から、最近好きな音楽に話題が展開していった。 「あの歌手のさ、最近出たアルバム聞いた?」 ちょっと興奮気味に男子生徒が言う。女子生徒が控えめに首を横に振った。 「アルバム曲の4曲目がすごくよくて・・・待って」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!