○いとしのエリー

1 いとしのエリー

「育てる事が出来て感謝って……。」

まるで育ての親ではあるが産みの親では無いような口ぶり。不安になった絵里は、翌日すぐに戸籍謄本を取りに行った。

しかし、戸籍謄本は絵里が両親の実の娘であると証明してくれた。

そこに養子縁組等の事実は記載されおらず、絵里はホッと胸を撫で下ろしたものである。

ただ、その時。絵里は疑問に思った。ニートなのに収入がある事、そして、【見習いニート】と言う謎ワードを平然と受け入れた両親を。

世間一般的にニートとは（Not in Education,Employment or Training, ）の略で、就学、就労、または訓練をしていない人。つまり、日々の生活において非生産性の限りを尽し、収入も無く、勉学の吸収も無く。無駄に時間を過ごして生きる屍と化している人の事を指す。

更に記憶を探って思い出せば、高校を卒業し「私、ニートになる」と宣言した時の両親は絵里に「そうか。」とだけ言って涙を流したのだ。