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ここは絵里が毎週末に必ず来る場所だ。
広く煌びやかなエントランス。しかし煌びやかであるが眩しくは無い。全体的に照明の光度は控えめだ。床と壁は総大理石で出来ていて、壁の大理石の目立つ部分にはアンモナイトの化石が埋まっている。ジュライエローと言うドイツ産の大理石で、約2億年前の地層から切り出しているのだと以前教えてもらった。そのアンモナイトを間接照明が優しくライトアップして際立たせている。
絵里は、大理石の床にカツカツと踵を当てながら、迷うことなくその空間に常駐するレセプションクラークに声を掛けた。
「いらっしゃいませ絵里様。こちらにご署名をお願い致します。」
スッとしなやかな所作で立ち上りお辞儀をするレセプションクラークの横にある大きな自動ドアが、絵里の署名が終わるのとほぼ同時に音もなくスゥと開く。
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