1 いとしのエリー

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『時は平成時代を終えて新たなる時代へと向かいだしました!令和!いらない?和暦なんて面倒くさいからいらない?西暦だけあればいい?いやいや!奥さん!和暦とは日本の文化ですよ!!日本の心ですよ!』 「そうなの?私は興味ないなぁ。日本人失格かしら?ねぇ、どうなの猪野さぁん?」 ボリボリと煎餅をかじりながら自室のベッドに寝転がり、テレビの中で熱弁するコメンテーターに話しかけている若き女性。 その名を絵里と言う。20才にして自称、乙女。 平日。絵里がベッドから起きるのは大体17時頃。14時頃には目覚めているけれど、そこからウダウダと布団の中で過ごすのが好き。 だから寝る前に【ウダウダ専用菓子】をベッド脇にセットしてからの就寝が絵里の日課。 因みにウダウダ専用菓子の頻度第1位は断トツで煎餅だ。 続いてポテチ系、コーン系と続く。 煎餅系をポリポリとかじるのは絵里にとって至福の幸せなのだが、そこには一応、彼女なりの理論がある。 その理論とは「煎餅は米で出来ているから、お昼ご飯の代わりとなるけど、ポテチとコーンスナックはジャガイモとトウモロコシで出来ているからお昼ご飯として寂しすぎる。」というもの。 絵里の偏った主観は彼氏にも理解して貰えなかったけれど、いつか必ずわかってくれる日が来ると絵里は信じている。
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