1 いとしのエリー

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そんな彼と会うのは、彼の仕事が終わった後。彼の自宅までは徒歩15分。出会ったコンビニは徒歩7分の距離。ちょうど中間地点。 一人暮らしで外食産業に勤めている彼の名は智(さとし)。苗字は(河野)。外食産業に勤務しているのでシフトにより帰宅時間はバラバラだけど、24時間営業の店舗では無いので深夜勤務は無い。 年齢は25才となっているけれど、智は施設の門前に捨てられていたのを保護された赤ちゃんだったので本当の年齢も生年月日も分からない。当然、実の親の顔を知る由も無いのだけれど、曲がることなく真っ直ぐ育った智は『家族』に憧れを抱いて成長した。 『外食産業』を職場に選んだのも、仲よく食事する家族を見ていたい一心からだし、自分が結婚出来たなら、最高に幸せな家族を築こうと心に決めている。 そんな智の休日は外食産業特有の平日休みだけれど、どこに出かけるにも空いている平日休みを智は気に入っている。 デートするにも病院行くにも、平日はとにかく空いているから土日休みにはなりたくないなと思っている智が嫌になるのは、病院等でフルネームを呼ばれる時。 自分の名前が呼ばれると、周囲の人がいちいち反応するのがウザい。 二人組の女子高生が居たりすると『河野智(こうのさとし)さーん』と呼ばれた途端、いちいち此方を見て「びっくりしたー!」「まじニアピン!」などと言いながらクスクス笑う。
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