第二話

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 頭を下げてしのぶに謝罪する。痛々しかった。しのぶは(はげ)しい後悔に、胃が締めつけられる。 「ごめん、ひめくり、ごめんね。意地悪なことを云って、ごめん」  ひめくりは泣き濡れた目でしのぶを見つめる。「意地悪なことを云われたのは、しのぶさんじゃないですか? それで泣いていたんじゃないですか?」  しのぶはかぶりを振る。意地悪なことなんて、云われてない。誰にも。でもきっと、自分が自分に、意地悪なことを云っていた。いつも。無理やりねじ曲げるみたいに。  金粉が流れるような音がして、シダのしのぶの葉の間から、何か白いものが現れる。根ではない、ふっくらとした、宝珠のようなかたち。(つぼみ)だ。  嘘、と、しのぶが息を飲むのと同時に、花は開いた。五枚の花弁(はなびら)を、蝶の翅のように広げて。 「わあ……」  ひめくりも感激の声を漏らす。しかし花はたちまちしおれ、跡形もなく消え失せた。うたかたの開花だった。
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