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咄嗟に携帯電話を取り出し、頭に浮かんだ人物へ電話する。
しかしいつまで経っても繋がらない。
いつもかけたら秒速で出るあいつが、だ。
これはもしかしなくても……、
かなり、マズイのでは……?
「おい2人とも、車に乗れ」
「え?なんで」
「弟くんの居場所に、心当たりができた」
「えっ」
瞠目する2人に「取り敢えず乗れ!」と車へ促す。
運転席に座れば、後ろの席に訳も分からないままの2人が乗り込んだ。
「心当たりって、どういうことなの逹己」
「単刀直入に言えば、朔弥が関わってる可能性がある」
「は?バカサクが?」
「……もしかして、この前の話のこと?」
察しのいい碧兎の問いに頷いて見せる。
車を発進させ、駐車場を出た。
「朔弥は、ひどく弟くんのことに興味を持っていた。だからあいつが何かの思惑で弟くんに接触したのだとしたら、あまりいい予感はしない」
今までの朔弥のやってきたことを思い出してか、シンは一層表情を険しくさせた。
あの時の朔弥の様子をシンに教えていなかったのはマズかっただろうか。
少しあいつの行動力を甘く見ていた。
これは何をしでかすか分かったものではない。
「取り敢えず、朔弥の家に向かうぞ」
黙り込んだ2人にそう声をかけ、逹己はアクセルを踏み車を加速させた。
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