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4.チャーリーの閉じた耳
――お袋さんに貸してもらえよ
――先生にそういうふうにみてもらうためなら、私何でもできちゃうんだよ。だって先生、黒い毛がはみだしているのが好きだって言うんですもの
チャーリーの閉じた耳にお兄さんとお姉さんの声が親指を伝って聞こえてきます。
これは、お化けの声じゃないはずなのに、なんだろう、とっても、お化けの声みたいに怖いんだ。心臓が、ドクドクいう。
聞きたくなかった声が、みたくなかったお兄さんとお姉さんをチャーリーの閉じた耳にみせてきます。
――あのショップは盗んでもばれないって、店番の婆さん勘が悪いんだ
――嫌よ、アイツ、ジョーにまで軽く扱われいるじゃない。私はそんなに軽くないんだから
チャーリーは一層強く親指を耳に押し込んで、ブルブルと震わせて音をたてました。
親指の震える音は、お兄さんとお姉さんの動く口をパクパクさせます。さぁ、お兄さんとお姉さんは何と言っているか。チャーリー、君の自由だ。とチャーリーは自分に命じるのです。お兄さんとお姉さんは口がパクパク、何かを言っているね。でも聞こえないから、君の自由だチャーリーくん。自由に聞いてみたまえ。
――割のいいバイトって考えりゃいいんだよ、ビビったら負けだぜ
――早いとこ済ませないといつまでも子供のままよ、ティミー
ここに、お化けがいる。
チャーリーはベッドに潜りこんで眠るまで震え続けました。
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