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5.チャーリー、チャーリー
――おはよう、お母さん
朝、チャーリーは自分の部屋の窓からキッチン外の庭に着地して、クッキング中のお母さんを驚かせます。
――まぁ、腕白な坊や、頼もしいこと
お母さんは卵の殻をボウルに見落として、かき混ぜています。今朝のスクランブルエッグには当たりと外れがあるよ、チャーリーは後で、みんなに発表しようと楽しみにしました。
お母さんは、フライパンをリズムよく振るいながら、この子はどうして、と思うのです。この子はどうして二階の屋根から庭にジャンプする勇気を持っているのに、お化けなんて怖がるのかしら。みえないお化けより、足を骨折する方がとっても怖いのよ、お財布にも。と、チャーリーに聞かせられないジョークをスクランブルエッグに卵の殻と混ぜ込んで、朝ご飯ができあがります。
――あら、私が外れ引いちゃった!!
お姉さんはプっとティッシュに乙女の欠片を吐き出して、チャーリーに目配せします。私のおかげであんたは当たったのよ、と。
――母さん、今日は俺アルバイトで遅くなります
お兄さんは嘘をついています。チャーリーにはそれがお化けの存在と同列にわかってしまいます。お化けが耳打ちするのかもしれません。
でも、お母さんは、
――お店のオーナーさんによろしくね
と、お父さんのネクタイを整えながら言うのです。
チャーリー、チャーリー。
チャーリーの塞がれていない耳に、誰かの声が、チャーリーを呼んでいます。チャーリーは耳を塞ぎました。家族じゃない声がする。
――お兄ちゃん、嘘、またリック達と悪さするのね、チャーリーにも嘘だってわかってるんだから
お姉さんがお兄さんに耳打ちして、チャーリーが耳を塞いだのはアンタのせいよと顔をしかめます。お兄さんはチェっと妹の鼻をくすぐったいだけ触りました。でも、チャーリーが耳を塞いだのは、お兄さんのせいではありません。
チャーリー、チャーリー、お化けを怖がって私たちの声まで聞こえないふりかい?
チャーリー、チャーリー、怖がりで勇敢な私たちの孫。
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