Ⅰ 庭園の記憶
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きっと薔薇の香りに誘われたせいだ。 私が「グラヴェール屋敷」を訪れたのは。 エルシャンローズの青色い花々が咲き乱れる季節になった。 楚々とした香りは、私の大切だった『彼女』の存在を――七年経った今でも鮮やかに、胸の内へ否応もなく呼び覚ます。 死んだ人間に会うことはできない。 けれどこの想いは――何処へ行くのだろう。
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