Ⅴ 命の光

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「違うんだ」 「えっ」  私の言う意味が良くわからないという風に、振り返った子供が小首を傾げた。 「私はお祖父様や父様に会いにきたんじゃない」 「……」  子供が再び表情を強ばらせて、戸惑ったように私を凝視している。  でも私は愛しい人の面影を宿す、その現し身とは知らぬ子供の瞳を食い入るように見つめていた。  ああ。その眼差し。  彼女を再び見ることは、決して叶わないと思っていたのに。
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