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アドビスと結婚したリュイーシャは、彼の子供を身籠ったため船を下り、五才年下の妹リオーネと共にグラヴェール屋敷に住んでいた。
彼女が屋敷に来る前まで、この庭は好き勝手に植物が生い茂り、手入れが全くされていなかった。
無理もない。グラヴェール屋敷に住んでいるのは、現当主であるアドビスの父親と彼の二人だけ。母親は海軍のことしか考えない父親に愛想をつかし、十年前に若い愛人を作って王都ミレンディルアへと行ってしまった。
しかも、この二人は海軍の軍人であるため、平気で半年以上屋敷を不在にする。庭のことなどにかまけている暇も時間もない。
『まあ綺麗。これは何という花かしら』
この荒れた庭を散策し、雑草の合間に生えているエルシャンローズを見つけたリュイーシャは、いたくかの花を気に入った。
そして自らの手を土まみれにしながら雑草を引き抜き、リオーネやエイブリー、時には屋敷に戻ってきたアドビスや、屋敷を訪れた私も、彼女の理想とする『庭作り』に手伝わされた。
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