紅牙物語(転生以前)

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2000年5月×日 明けの明星 3258g 帝王切開により、出産 一人の元気な男の子が生まれた 彼の名は紅牙 最強の名を抱く一人の男の名である 彼がその才を見せたのは意外にも遅い 幼稚園の年長組に在籍している時のこと。 すぐ隣にある小学校の低学年の子らから彼の友人が苛められていることを知り、彼は正義感の強さからか、無謀にも一人でその低学年のいじめグループを懲らしめてやると勇んで、所謂殴り込みに行ったのである 結果は言うまでもなく、惨敗。 彼は友人に謝る 「ごめんなぁ…ごめんなぁ…俺…負けちまった」 と もちろん、友人は 「大丈夫…しかたないよ…向こうは年上だし、5人とか6人もいたんだからさ」 と彼を許し、慰めた が、彼はそれを認可しなかった 「俺が弱いから!弱いからお前を守れないんだ!」 と、まるで、正義の味方に憧れた少年のように、正義のヒーローになったかのようかセリフを吐いた しかし、友人は黙るしかなかった その訳は彼の目は黒く深い光が友人にとって異様で、恐ろしかった 彼は言った 「待っててな、必ず奴らをぶち殺す」 友人は後にこう語った 「あの時、今でもなぜ止めてやれなかったのか…僕には分からない、けど、止めたら自分が殺されるんじゃねぇかって気がして…怖かった」 それから、彼は空手道場に行った 参加したのは走り込みと柔軟、筋トレのみだった あとは、見学だけ 道場主の師範から言われた 「組手はしないのかい?」と 「しない、自分にはまだ早い」 と答えた 見学すること5日 彼は突然組み手をすると言った 師は聞いた 「誰とする気だい?」 彼は言う 「同年代では相手にならねぇ、歳上だ」 場は凍り付く。それはそうだろう。たった弱冠6歳の子が、同年代は自分よりも三下と言っているのだから 一人の少年が飛び上がり彼に蹴りを放つ 大人の目にも止まらぬ早さでだ 素早く、子供の柔軟なバネをフルに使い、彼に襲いかかる しかし、時にそれをも上回る才が、能が、強さが、そこにはあった 彼は飛びかかって来た少年の顔を鷲掴みにし、頭を床に叩きつけた。 叩き付けると同時に跳ね上がり、叩きつけた相手の首に向かって足刀蹴… 「止めいっ!」 を、師の一喝により、止めた 「なぜ止めたの?師範」 と、彼は問う 「弱い相手じゃあつまらんだろう、紅牙、俺が相手してやろう、来なさい」 師は笑みを浮かべ、紅牙に手招きをする
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