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紅牙はすばやく相手の懐に入り込む
師「(早いっ!だが、)甘いな!紅牙よ」
師もまた、間合いを詰め、紅牙の動きを制御する
突く、払う、蹴る、掴む、師の猛攻が紅牙を襲う
紅「クソッ…」
それを、皮一枚スレスレで躱す
紅「(下段に突いてくれば俺の勝ちだ!来い!)」
紅牙は打たれやすい体勢で腰を落として、下段突きを待った
師「ほぉ…(下段突きが来るのを狙ってるのか)…よかろう、その誘惑乗ろうじゃないか!」
師は紅牙に向かって下段突きを放つ
紅牙は当たる寸前に前宙をするように躱し、そのままの勢いで、踵落としを師に放つ
この時、紅牙は勝利を確信していた
しかし、相手は大人。しかも実戦してきた玄人だ
そして、紅牙は同年代ではガタイがいいかも知れないが、大人からしたら、小さい子供だ
ひょいと、道着の上着を掴まれる持ち上げられた
紅「うわっ!ちょ!せけぇぞ!せんせー!」
師「はっはっはっ!闘いにせけぇもクソもありゃあせん!」
師はこの時こう感じたそうな
あと10数年したら俺は負ける
と
それから、組手練を止め、師は紅牙を呼び出し、二人での会話を持ちかけた
師としてだ
「紅牙、お前なんで空手を始めたんだ?」
紅牙は答えた
「友達が歳が上だけの奴らに殴られ、蹴られて…やり返す…いや潰そうって考えたんだ」
師「(おぉ…ホントにこれ六歳児?)…それで?」
紅「ボロカスにやられた、俺が弱いから…なんも出来んかった」
師「相手は?相手は何人いたんだい?」
紅「6…」
師「歳は?」
紅「小学3年とか言ってた…」
師「…なっ(おいおい、三つも上の奴らが六歳児に六人で殴りかかるかね普通…)…それで負けたと?」
紅「うん…」
師「お前…それは仕方ないぞ!?別にお前が弱いとかじゃなくて…」
紅「いや、俺が弱いからだ!親父はいっつも言ってた!男は強い、強いなら数で負けても力で負けても…誰かを護る為の喧嘩は負けねぇって!」
師「お前の親父はどーなってんだいったい…不良かヤクザかなんかか」
紅「うちの親父は朝早くKIR○Nの作業服着て、会社いってるよ、車で荷物運ぶんだって」
師「(まさかのトラック運ちゃん)…まぁ、わかった…紅牙、おめぇはもう、負けたかねぇんだよな?」
紅「うん!負けねぇ…」
師「ならとりあえずもっかい、そのいじめっ子らを殴り倒しに行け!空手は己の意志を貫くためにある!」
紅「…!押忍ッ!」
紅牙は強く、深く、師に向かい礼をする
踵を返し、道場を後にする
硬く握りしめられたその拳には確固たる強さと自信がある
翌日、紅牙は再び、いじめっ子連中を呼び出した、今度はこっちが蹂躙する番だ
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