2人が本棚に入れています
本棚に追加
それから数日、小さい子の回復力とは恐ろしい
あれだけ、皮が剥け、肉が露になっていた拳が傷跡無く綺麗に治っていた
彼は元気よく、否、元はあまり外であそばない子な為今日は真っ昼間からぐっすりだ
土日だからだろう。
しかも土曜だ、彼が好きなライダーやヒーローは明日の朝早く。
今日くらい寝坊助してもいいよね
そんな夢心地なのか、幸せそうに眠っている
そんな彼の元にちょっとした災難が
「おーい!紅牙ァッ!ちっと手伝ってくれぇ!」
紅「ちっ……なんだよ、パパ」
紅牙の父、恭牙(きょうが)である
癇癪持ちで、切れたら手がつけれない
だが、基本的には良き父親だ
家族に暴力は振るわない。ただ、若かれし頃、ヤンキーのダンプカーに引かれて無傷、ヤンキー集団幾度か殴り潰したハゲ親父。舐めてはいけない
「いやなぁ、今から田植えしなくちゃいけんのよ。じゃけ、紅牙も着いてこんかねぇって思ったんよ」
紅「えー、あー、うん。良いよ」
彼の土日はこのハゲのせいで今後失われていくことになる
彼の筋肉の一部は農業筋だ
彼は根はいい子なんだがと何度も言われた
けどそれ以上に手が出るのが早いのだ。
勿論敵対する奴以外には手は出さない
たとえば、悪口を言われ
ちょっかいを出され、友人を馬鹿にされ
彼は手を出した
世の中、手を出したら負けなのだ
それは重々分かっている
彼はやんちゃじゃ済まない
3つ4つ歳上を簡単にあしらい、制すその強さは異常だった
それを容認し、彼を励ますのはやはり、このハゲオヤジだった
「男なら売られた喧嘩は買わなきゃ損だからな、紅牙。相手が5人10人50人100人いても関係ねぇ、ぶちのめせれるデケェ男になれよ!」
ハゲ親父の子の一言も彼の強さのひとつかもしれない
最初のコメントを投稿しよう!