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「ではその記録を私が見つけたら取り引きを元に戻して貰えますか?」
言ってる内容はひたすら「え〜〜っ?!」なのに水嶋のサラリとした口調にスルスル話が進んでいく。
この問題の発端は取引先から掛かってきた電話で始まった。
それは、定年退職の挨拶だったが「これからも我が社を頼む」って内容に付け加えて、三年前に製造中止になった商品を復刻するからよろしくって事だった。
当時無くした大量発注は結構な巨額だったらしい。当然水嶋は飛びついたが新しい担当者はいい加減且つやる気が無かった。
担当者は魚みたいな顔をしてたから魚人と名付けていた。
その魚人は「発注データが残ってない」とか、「去年に紙ベースの記録は全部倉庫にしまったから探せない」とか、しのごの言い訳ばっかりしてもう別の業者に新たな発注をする気満々でいる。
だからといって、水嶋が「そうですか」と素直に引き下がる訳も無く、他所の会社の、どこに何がしまってあるかもわからない
どんだけ量があるかもわからない
どんな形状かもわからない
それなのに探してくると豪語した。
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