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少しの休憩からすぐに出発して20分。
高速を降りて地道を走るうちに大きな杉の木が道路脇に乱立する山道に入っていた。
先の見えないウネウネ道を荷台が空のトラックは力強く登っていく。
樹木に閉ざされた細い道がいきなり開けたと思ったらそこには広大な駐車場を抱えたホテル兼、ゲストハウスのような古い建物があった。
「え?ここ?ここですか?水嶋さん」
「ここは違う、もっと山の方だ」
ずっと運転をしっぱなしの関口は少し休もうと言い出すかと思ったらそのまま通過した。
しかし、駐車場を越えるとずっと黙って運転していた関口が初めて口を開いた。
「で?……どうすんだ?もうすぐ着くぞ?まさか教会の真ん前にトラックを付けるわけにもいかないだろ」
「いいです、付けて下さい、怒られてもいいです」
「………いいのか?」
「いいんです」
いいのだ。うん、いい。とにかく行くのだ。
水嶋は黙ったまま何も言わない。
だって関係者は怒るかもしれないが友梨は笑うだけだって知ってるから。
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