本棚1000突破。感謝のショート

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「何ともない」って言うに決まってるがどうしたのかを聞いてみた。 「水嶋さん、体調が悪いんですか?」 「悪くない」 うん。的中。 「悪いでしょう」 「どうって事ない」 「つまり悪いんですね?」 水嶋は言い返す前に小さく咳き込んだ。 すかさずのど飴を出してみたがそれはフェイクだ。 これは多分間違いない。 兵庫に行く前、いつなのかどこからか頂いた物だ。 貰ったから大事に育て、たくさんあるからおすそ分けしたアレだ。 「ちょっとおでこを貸してもらえませんか?」 「駄目だ、今使ってる」 「そりゃそうでしょうね」 「じゃあ聞くな」 うん、聞いたりしません。 そんな事を聞けばムキになるでしょう。 速攻首を拉致。 うるさいから口も塞いでタクシーに引きずり込んだ。 「ふぁにひやはる!」 「何するじゃ無いでしょう、こんな熱っつい顔して!俺のインフルエンザがうつってるじゃ無いですか」 「はいひたほたはない」 「インフルエンザは今や凶器です、マスクもしないでそこら辺をウロつくなんて無差別テロですよ。病院に行って大人しく休んでください」 「いい」 「水嶋さんが良くても他の人には迷惑です、いいですか?何故インフルエンザは出社停止なのか考えてください。感染力が高いからでしょう」 ほら、この話を聞いてると思われる運転手の目。 バックミラーに映って見えるだけなのに恐怖に歪んでる。
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