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「何ともない」って言うに決まってるがどうしたのかを聞いてみた。
「水嶋さん、体調が悪いんですか?」
「悪くない」
うん。的中。
「悪いでしょう」
「どうって事ない」
「つまり悪いんですね?」
水嶋は言い返す前に小さく咳き込んだ。
すかさずのど飴を出してみたがそれはフェイクだ。
これは多分間違いない。
兵庫に行く前、いつなのかどこからか頂いた物だ。
貰ったから大事に育て、たくさんあるからおすそ分けしたアレだ。
「ちょっとおでこを貸してもらえませんか?」
「駄目だ、今使ってる」
「そりゃそうでしょうね」
「じゃあ聞くな」
うん、聞いたりしません。
そんな事を聞けばムキになるでしょう。
速攻首を拉致。
うるさいから口も塞いでタクシーに引きずり込んだ。
「ふぁにひやはる!」
「何するじゃ無いでしょう、こんな熱っつい顔して!俺のインフルエンザがうつってるじゃ無いですか」
「はいひたほたはない」
「インフルエンザは今や凶器です、マスクもしないでそこら辺をウロつくなんて無差別テロですよ。病院に行って大人しく休んでください」
「いい」
「水嶋さんが良くても他の人には迷惑です、いいですか?何故インフルエンザは出社停止なのか考えてください。感染力が高いからでしょう」
ほら、この話を聞いてると思われる運転手の目。
バックミラーに映って見えるだけなのに恐怖に歪んでる。
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