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「マスクすりゃいいだろ」
「ウィルスって見えないですけどね、今も水嶋さんの体の中でどんどん増えてるんですよ、撒き散らしてます。ウィルスを牛に置き換えてください。怖いでしょう」
「牛?……」
「ほら吐いた息の中に牛が……」
「もし俺がインフルエンザなら製造元はお前だろう、牛よりお前が増えたらって考える方が怖い」
「……俺が?」
これはまた………こんな時に、タクシーの中なのにエロい事を言ってくれる。
水嶋の中でどんどん増えて体を犯していく?口から鼻から、粘膜を通って喉に溜まり奥に行く、舐め回す。
増えるごとに威力を増して熱が増す。
目に見えない所がまたエロい。
ムラムラさせるの上手。
「それ……何を言ってるか自覚は無いんですか?」
「何が?」
潤んだ半目で見上げてくる馬鹿。
思わず頬に指を滑らせるとビックリするくらい熱い。
いつもなら触るなと叩き落とすくせにジッとしてる。
……ウィルスが憎い。
水嶋にいつもの勢いが無いのはウィルスのお陰とも言えるが病気でさえなければ飛び付くのに。
タクシーの運転手が見ていようとも飛びつく。
触るとこまでいければ水嶋はチョロイのだ。
だが諦めろ俺。
水嶋がいつから発熱しているのかはわからないが抗ウィルスの薬にはタイムリミットがあるのだ。モタモタしていては酷くなって長引いてしまう。
一刻まで早く病院に放り込んで寝かせなければならない。
諦めるしか無いが…………やっぱり諦めたりなんか出来ない、ギュッと肩を抱き寄せると水嶋は怠そうに凭れて胸の中で目を閉じた。
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