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京都
京都への小旅行は喧嘩から始まった。
服が無いから買おうって事になったが水嶋はスーツでいいと言って青山を探す。
スーツとスエット姿しか見た事ないから普段着を見たくてかなり頑張ったのに、街中に着く前に「青山」を見つけてしまった。本当に呆れるくらいどこにでもある。
……まあ……コナカだったけどね。
それから次のバトルは泊まる所だった。
この際だから、いい宿でゆったりなんて思っていたがそれはさすがに甘かった。兵庫でさえ予約無しでは空いた宿が見つからなかったのに旬の京都になんかあるわけない。
探して探して、二人で電話をかけまくり、その間中喧嘩をしていた。主に部屋の形態について。
ようやくキャンセル待ちで飛び込めたのはシングル一部屋だ。(それなのに料金は二人分)
事故とか怪我を誇張して無理矢理二人で乗り込んだがエキストラベッドどころか予備の布団すら無し、熱は下がったがまだウイルス持ちの身としては寄り添って寝る事は出来ない。
「お前がベッドに寝ろ」の応酬で結局どっちも床に転がって寝るという無駄な宿泊になってる。
そんならネットカフェか何かの方が快適だったと思うけど、漸くゲットしたホテルなのだ。1組しか無い薄いシーツを分け合って朝になったら結局くっ付いて寝ていた。
感染するならもうしてると思うけど散々奢って貰った末に初めてのお返しが「ウィルス」ってどんなカップルだ。(仮定)
次に揉めたのは行き先。
水嶋は大阪出身なだけあって京都には詳しかったがそれが仇になった。
あそこは混んでるから行きたくない、あそこはつまらん、うるせえのなんの。こっちは中学の修学旅行以来だっての。
水嶋は金閣寺も銀閣寺も清水寺も行った事が無いらしいのに「何にも無い場所」と確信。嵐山に至っては「近付いては駄目な場所」扱い。
そもそもが観光に向いて無いのだと思う。
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