どうなったかって、こうなると思ってました。

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どうなったかって、こうなると思ってました。

高くて高くて……薄っすら雲がかかって天辺が見えないくらい高かった障壁。嫌なのに、越えたくないのに気が付けば随分高い所まで登っていた。もう引き返したりは出来ないと、ヤケクソで乗り越えた筈が……振り返ればそこはいつもの平坦な道だった。 とんでも無い所に行き着くような気がしていたが越えててみると何でもない。 条件や容姿……ついでに性別で好きになる人を選べる人って凄いと思う、尊敬できる。 気が付いたら陥っていた。 どこで落ちたのか、いつからこんな感情を持っていたのか、無意識に選んでしまった相手は、多少…かなり、随分……我ながら趣味が悪いとは思う。 性別の難を超える程水嶋のどこがいいのか、何に惹かれたのか…… 平日は乱暴で横暴、休日は床に押し潰された水風船。落ち着いてから改めて水嶋をよく見ても女っぽい要素はやっぱりゼロだった。本当に普通の男だ。 何故あんな極端な行動に走ったのかを考えても残念な事に何も出てこないのに、佐倉のように段階すら踏まず、行く所まで行っちゃったのは暴走だったと認めるが、酔いが覚めても、時間が経っても………どうしても間違いだったとは思えないのだ。 好きだと思ってしまったのだから仕方がない。 ………そこは納得出来たのに次の壁がこれまた高い。 えーえーわかってました。 わかってたけど思った通り水嶋はやっぱり手強い。
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