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はじめましてと彼は言った
私、河村美咲は出入口の階段に立ちロータリーを眺めていた。
駅の桜は散ってしまってもう葉桜だ。
今年もお花見し損ねたな。
ぼんやりと桜の木を見ながら思う。
「さて、と」
商店街に向かって歩き出してしばらくすると向こうから祐介がやってきた。
「ごめん、ごめん」と言いながら駆け寄ってくる。
何かお願いをする時は必ず申し訳ない素振りを見せる祐介に
「いいよ、ちょっと寄るだけだし。」と笑って返し
「会わせたい人って誰よ?」
「なんていうかお店の手伝いの人が決まったから見てもらえないかと思って」
「ふーん」
「私が見た方がいいの?」
「うん」
話してるうちに店に着いた。
茶色のドアにM.Mと金文字のロゴがついている。
いつもならオリーブの植木鉢の横にボードが置いてあり、そこにはお店の名前と今日のおすすめが書いてあるが定休日なので片付けられていて閑散としてる。
「先に入ってもらってるんだ」
ドアを開けるとカウンターに向かって男の子が座っていた。
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