最高のオヤツ・タイム

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 それから数時間後の午後3時頃……  3階の書斎で読書していた厚志のスマホが鳴り、ミズキがオヤツ・タイムを知らせてきた。  さっそく厚志は1階のリビングに向かった。  すでに宏は、やはり嬉しそうに、イチゴのショートケーキを食べていた。  しかし、厚志の席の前には、プリンがあっただけだった。  それを見た厚志は、そのブリンが載った皿を持つと、キッチンに向かった。  2人分の紅茶を持って、やってくるミズキと、また鉢合わせした。 「おい、なんで宏だけがイチゴショートを食べてるんだ!」  ミズキは手にした紅茶をキッチンの端に置くと、 「それはね、さっき良く行く近所の洋菓子店に行ってきたんだけど、今日は良い苺の入荷が少なかったからって、出してる商品が少なかったし……。今日は子供の日で、他の子たちも食べたいだろうと……」 「それにしても、もう一個くらいは買えただろうにー! クソー」  持っていた皿のプリンをミズキの顔に押し付けた。 「キャー!」  それを聞いた宏がやって来ると、近くにあったナイフを持つと、 「こら。ママに何するんだー!」  厚志の背中にナイフを突き刺した。 「グエー! 何を……」  その場に倒れると、グッタリして絶命してしまった。  ミズキは、咄嗟(とっさ)に宏の顔を自分の胸に押し当てた。  宏は顔を起し、 「ママ、大丈夫?」 「えー、大丈夫よ……。さー、向こうへ行って……」  そのまま宏をリビングに戻すと、 「さー、イチゴショート、全部食べてねー」 「ん。今日のオヤツは最高に美味しいよ」 「そー、良かったわね……」  キッチンに戻り、厚志の死体を見て少し考えると、引き出しから睡眠薬を出した。  それを半分にして粉にすると、紅茶に混ぜてから宏の横に運んだ。  やがて宏は、イチゴのショートケーキを食べ終えると、紅茶を飲み、寝てしまった。  ミズキは、宏を2階のベッドに運んだ。 「ぐっすり休んでね……」  キッチンに戻ると、厚志の死体を冷蔵庫に入れ、 「下らない人だったわね……」  (ゆか)を染めた厚志の血をキレイに拭き取ってから、自分のプリンを食べて、 「このプリンだって、なかなかの味じゃない……」
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