誰がためにと問ふ

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――沖田さんと共同生活を始めてから一週間が経った。 共同生活といっても、沖田さんはただ“居る”だけで、私の生活に然程介入してくることもない。 食事だけは私の我儘で二人分用意しているけれど、その他に光熱費が掛かるということもなく、これといって今までの生活に支障をきたすようなこともないのだ。 私が大学やバイトで出掛ける時には一人で留守番をしているか、何処かへふらっと出掛けているかのどちらか。もちろん、一週間前の様に一人で黙って居なくなるということもなくなった。 「ご馳走様でした」 食事を終えれば、「僕が片付けておきますから、結月さんは出掛ける支度をしてください。確か今日はだいがく、に行くんですよね」と皿を流しまで運んでくれる。 こういう気遣いをさり気なくやってのけるのだから、支障をきたすどころか、彼には大分甘えてしまっているといってもいい。
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