太陽のエール

11/21
前へ
/21ページ
次へ
とは思うものの、じゃあ何をどうがんばれば良いのか、現実にどう動くべきなのかは皆目見当もつかないままに、次の体育の時間が訪れた。 もちろん怖いし、ドキドキしているーーでも今日は、妙に心がどっしりとして、落ち着いている自分もいる。 スタートライン。 ここに立ったら一人きり、誰の力も頼れない。そう思っていた。 でも、違った。 『認めてやるよ、歩己』 そう今は、心に強い守護神がいるーー。 ホイッスルが鳴り響けば、第一列目の五人が走り出す。私は第三列だ。 一斉に走り出した五人の中でずば抜けて速いのは、私につらく当たってくる武田さん。 陸上部のエースだし、悔しいけれど、いつもながら鮮やかなゴボウ抜きだ。 いったいどんな練習を重ねたら、こんな風になれるのだろうーー。 ボーイッシュなボブヘアの、体格の良い一騎が校庭を駆け抜ける。 オリンピックさながらにそのフォームを見つめていると、しだいに悔しさなんか吹っ飛んで、気づくことがある。 そう、武田さんて、何というか凄くこうーー……?
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加