太陽のエール

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克己くんと初めて出会ったのは小1の時で、それから4年生まではずっと同じクラスだった。 私が克己くんを意識しだしたキッカケは小1の図工の授業までさかのぼる。 みんなでペーパークラフトの課題に取り組んでいると、克己くんが白い紙をがさがさと丸めては広げ始めて、 「僕、この紙で結婚式したい!」 はっきりと手を上げてそう言った。 あまりに屈託のない声だったからだろうか、からかおうとする子なんかひとりもいなくって、ハサミでチョキチョキ器用にタキシードを生み出していく克己くんに、誰もが目を奪われた。 そのうちに女の子たちが、 「じゃあ私は髪飾りを」 「私はブーケを」 おのおの協力しあって、あっという間に結婚式の準備が整った。新郎役はもちろん克己くん。そして新婦は、なななんと、私! ーーと言いたいところだけど、ほんとは3人いる。細かいいきさつまでは覚えていないけれど、とにかく新婦側は3人いて、克己くんの側にとっかえひっかえ、並んでは先生が写真に収めてくれたっけ。 性別の意識もないほど幼かったはずなのに、とても胸がどきどきしたことだけは、よく覚えてる。 どきどきして、嬉しくて楽しかった。 私は歩己で、彼は克己。名前に同じ己の字が入っていたことにも、勝手に運命を感じたりして。 あの時から克己くんは、わたしの中の特別になった……。 小2になると、私は月に数回、原因不明の熱や吐き気に襲われては保健室に行くようになった。 教室を出ていくのはとても不安で恥ずかしい。でもそんなとき克己くんが、 「大丈夫? ついてってあげるよ」 と、言葉だけじゃなくて、とても自然に手を引いてくれた。 まだ小さかったはずなのに、不思議に力強く感じたてのひら。その手に支えられて、私はあのとき不登校には至らずに済んだのだろうと信じている。
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