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私には、できないことばっかりだ。
リレーも球技も、みんなとうまく会話することも。もっと言えば、その会話の中で中心の話題になる「他の女子への陰口」に加わることも。
加わればその時は、なぜか自分がその子よりも優れているような錯覚を得られて、気分がいい。
でも時が経つと、そんな自分が狡くて情けなくて、思い出すたび自己嫌悪になる。自分を認められなくなる。
ただでさえダメなところが多い自分なのに、心まで落ちぶれてしまったら、やっていけない。
良い人になりたいとか、そんなんじゃない。ただ、自分を少しでも好きでいたいっていう自己満足だけ。
陰口に混ざらなければみんなと馴染めないというのなら、私はずっと一人でいい。
周囲からはただ暗い人だと思われたとしても、私は私の意志で、その話には混ざらないんだ。
なんて、そんなこと誰も気づかないし、もちろん私も、言わないけれど。……
昼間の晴天が嘘のように、曇天がぽつぽつと雨が降らせていた。
ため息をつきながら家に帰る。
すると私よりもっと疲れた肩をしたお母さんんが、カレー鍋をかき混ぜていた。
お父さんが亡くなってから、お母さんは正社員の仕事を見つけて、ずっと私のために働いてくれている。
会社には理不尽に怒る上司もいるとかで、頭が痛いのだろう。疲れているのだろう。
ーーそれは分かっているのだけれど。
どうしても寂しい。ねえ、たまにはこっち向いてよ。
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