太陽のエール

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「ねえ、お母さん。今日さ、学校で嫌なことがあって……」 おずおずと切り出すと、鍋をかき混ぜる腕が一瞬だけ止まった。 「なあに、テストのこと?」 「いや、えっと……」 「勉強なんてね、やればやっただけよ。結果が出ないのは怠けた証拠。やればやっただけ認められるだけいいじゃない! ーー大人になったら、努力して結果出したって、誰も褒めちゃくれないんだよ」 最後は、独り言のような呟きで。 「ーーそうじゃなくて……」 矢継ぎ早に言われると、私はなかなか言葉がでない。 「勉強じゃなくて、その、リレーの……」 「リレー?」 私が良い終わる前に、せせら笑い声と一緒にお母さんが振り向いた。 その眉は厳しくつり上がっているのに、口元は小馬鹿にしたように歪んでいる。 「いいわねえほんとに子供は! ……そんな下らないことで悩めるなら楽なもんよ。あーあ情けない、お父さんが生きていたらなんていうのかしらね。ねえ、お母さん一人だってちゃんとあんたを育てなきゃ、一人前にしなきゃなんな良いのよ分かるでしょ!?」 「お母さ……」 「下らないことで悩んでる暇あるんならそこの洗濯物たたんでよ! じゃなきゃ勉強して!」 瞬間、私の中の細い糸がプツリと切れた。 気付いた時にはもう、制服のままで玄関を飛び出していた。
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