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緋色の過去 麻衣 お誕生日会 3/3
再び狭い部屋に戻った二人・・・。
普段は、近くを走る私鉄線が高架線を通過する音が聞こえる。
その音も今の時間は聞こえない・・・。
レンタルしてきた、誕生日用のオルゴール特集のCDが
リピート再生で聞こえている。
良かった・・・CDだけでも音があって・・・。
こんなに感情の起伏が激しかった夜は、過去に経験がない。
心は完全にオーバーワークの状態だった。悲鳴を上げていたかもしれない。
私は、無意識にテレビのリモコンを手に取り・・・ONした。
画面に映し出されたのは、深夜の通販ショップ番組・・・。
私は、慌ててテレビをOFFした。
自分でどの様に取り繕って良いのかも判らない状態だった。
そんな私を見て、真理子さんが口を開いた・・・。
「麻衣・・・自然体でいいのよ」「難しく考えちゃだめよ」
「私と麻衣が足を踏み入れている世界は特別な世界よ・・・」
「そこに辿り着くまでは、みんな苦悩したり自己否定したり・・・」
「でも、結局・・・その世界でしか生きられないのよ・・・」
真理子さんは、私を見ていない・・・。テーブルの上にある
キャンドル点火用の100円ライターを触りながら・・・。
それに視線を落としていた・・・。
「だからもう・・・悩まないで・・・」
「同性を心の底から愛して・・・何が悪いのかな??」
「男性が男性を愛して、どこが悪いの??」
「女性が女性を好きになって、どこが悪いの??」
「今は、不安もあるだろうし・・・この先後悔することも
多々あると思うわ・・・」
私は、視線を落として語る真理子さんの肩にそっと頬をつけた。
「あはは・・・麻衣はけっこう、甘えん坊な感じ??」
真理子さんが私を見て笑ってくれた・・・。
真理子さんに聞きたい。二つの質問があった。
「何故あの時・・・私をビアンバーに連れて行ったのか??」
「何年も女性を愛する事を封印していた理由は何か??」
でも今は聞けない・・・凄く気になるけれど聞いてはならない。
キス・・・真理子さんが私に覆いかぶさるようにして。
キスをしてくれた。二度目のキスは最初から激しかった。
吸われる時に「ジュル」っと室内に大きな緒が響いた・・・。
互いに、その音を聞いて、キスをしながら少し笑ってしまった。
「あぁ・・・激しいさっきより激しい・・・」
真理子さんの顔が、左右に素早く何度も傾く・・・。
左手は私の髪を撫ぜ回し、右手は私の左頬に強く添えられた。
また、さっき感じた抜ける様なエクスタシーが・・・。
でもさっきのと違う・・・突き抜ける感覚だった。
一度唇を離した真理子さん・・・。私の目を見ながら
また語りだした・・・。
「いくら心が通じ合っていてもね・・・」
「どれだけ愛していても・・・」「互いを思いやる気持ちがあっても」
「相手に届かない事ってあるのよ・・・」
「そんな時は・・・こうして相手にその気持ちを伝えるのよ・・・」
そう言いながら、真理子さんは私の鼻をペロリと舐めた・・・。
「そんな事を繰り返しているとね・・・」
「気が付くと、相手の涙の一滴、汗の一滴まで・・・」
「愛おしくて・・・愛おしくて堪らない気持ちになって行くわ・・・」
私は、はにかみながら視線を落として答えた・・・。
「もう・・・涙はさっき経験した・・・」
真理子さんは嬉しそうに微笑を浮かべて、またキスをしてくれた。
私の身体はもうトロトロに溶けて無くなりそうだった・・・。
キスを受けながら、少し遠のく意識、そして、意識がまた戻る。
それを繰り返しいてた。
「ねぇ・・・今夜、早い時間から夕飯しようよ・・・」
「明日は、麻衣は学校、私はお仕事・・・だから早い時間に」
「その後、私のマンションにおいでよ・・・」
「頂きものだけど美味しい紅茶を入れてあげるわ」
「ここは、麻衣の部屋だし、麻衣は学生・・・」
「この部屋の家賃も、ご両親に負担をかけているんでしょ?」
「だから・・・私の部屋においで・・・」
私は、言葉の意味をしっかりと受け止め理解した。
大人って、いいえ真理子さんって、ここまで気配りが出来る
人なんだ・・・。私の心は感動でバイブレーターの様に震えていた。
午後5時に駅ビルの中の「お好み焼き屋さん」で待ち合わせ。
そして、今度は本当に真理子さんは帰ってしまった・・・。
もうすぐ夜が明けてしまう。そして、1人の部屋・・・。
シャワーを浴びる気力は残っていなかった・・・。
クレンジングでメイクだけを落としてベッドに滑り込んだ。
目が覚めたら・・・真理子さんとまた逢える・・・。
この日の夜、麻衣は真理子さんの部屋へ・・・。
そして、生まれて初めて・・・ビアン初体験します。
次回の「真理子さんの部屋」で投稿します・・・。
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