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ニカとリュカ。ふたりが住んでいるこのロンドンでは、魔法がすべて。妖精と魔法使いがペアを組んで、魔力を生み出している。妖精は、風、水、氷、炎、土、闇属性に専門分野が分かれており、ニカとその妖精・ピークルは水魔法を、リュカとその妖精・ミケは炎魔法を専門としている。
妖精は、姿形に個性があり、猫かと思えば人に化けることも出来るし、人と思えばライオンに化けることもできる。
最も、どんな姿に化けるかであったり、性格であったり、服の好みは、妖精がペア契約を交わした魔法使いによって変わってくる。
例えば、ニカやリュカの妖精は、和装を好んでよく着ている。
ピークルは緑と白の市松模様柄の着物や浴衣を、ニケは赤い牡丹模様が美しい、暗い紫地の着物や浴衣を着ている。
寮の二人部屋に帰ったニカとリュカ。ニカはテレビのスイッチを付け、ニュース番組を見始め、リュカはミケに今日あった出来事を喋りながら、課題の準備を始める。
「ニカ、準備ができたわ」
「オーケー。じゃあ、描くわね」
ニカは星形を描き、その周りを円で囲うように魔法文字を描いていった。
「ありがとう、ニカ。あとはできそうだわ」
「頑張って、リュカ」
リュカは持っていた杖の先を星形の中央に向ける。
すると、高さ30センチほどの植木が出てきた。実はこの植木、後にリュカが魔法薬学の課題で使う、必要なものなのだ。
「やったわ、ニカ! これで明日の予習が何とかなりそうだわ」
「それはよかった。頑張るのよ、リュカ」
その後、リュカは明日の魔法薬学の予習を、ニカはずっとテレビを見ていた。
リュカは志は魔法薬学博士と高めな割に魔法学校での成績は普通か、落ちこぼれよりややマシなぐらいだが、ニカは冒険のために召喚獣学の単位を取得し、成績も常に首席で優等生を維持していて、と、かなり差がありはするものの、ふたりは互いにないものを補い合っているため、とりわけケンカになることもなかったし、今後もないと思われる。また、周囲の魔法学生たちが認めるほどに、ふたりの仲は良好なのだ。
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