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ブランコにショートカットの髪のきれいな女性の影が見えた。
こっちに気が付き手を振る女性 そう榊原あかねだ
「はぁ はぁ ごめん待った?」
息を切らしながら問いかける恭也
『ううん 全然 今来たところだよ。」
そう言いながらブランコを降り、恭也のもとに近寄ってきた。
恭也はブランコの近くに文字が書かれているのが見え
10分前くらいに来ていたんだなと察した。
『あ、また汗かいてる。ちょっとタオル貸して』
榊原は恭也の額、首を拭きニコッと微笑んだ。
「これまた洗い直さないといけないじゃん」
『そうだね、また返してね いつでもいいよ』
恭也にタオルを渡し空を見上げる榊原
『空はいいよね 特に夜の空は。なんでかずーっと見てれるの。心が落ち着く。無数の星を見てると自分の悩んでる事なんか小さなことでどうでもよくなっちゃうんだよね』
その横顔は何故か寂しそうに見えた。
何か悩みを抱えているようにも見えた。
「そうだな俺の悩んでる事なんてちっぽっけでなんてことない事なんだろうな。」
空を見上げながらつぶやいた
『悩みなんて時間が解決してくれるんだよ、私はそう思って生きてる。でも思春期ってやつだから 傷ついたりもするし泣きたくなる時もある
そんな時は泣いていいと思うんだ。』
その言葉を聞いて大粒の涙がこぼれ落ちた
声を殺しながら地面に涙が落ちないように上を向き歯を食いしばった。
岩本のことが俺は好きだったのかもしれない こんなにも女の子に対して執着したのも初めてだった。嫉妬もしていたんだな。
和彦の言ってた本当に好きになるってことはこういう気持ちってことなのか。。。
少しずつ声が漏れ始める。
ギュッ
榊原が恭也の手を握って何も言わずに上を見ている。
恭也は榊原より強く握り返した。
公園には
二人組の男女が抱きしめ合う影があった・・・
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