やさしい男

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「えっとぉ、あたしルンバルンバ」 「あ、俺も! 美味しそう!」 「お飲み物はお食事と一緒でよろしいですか?」 「うんうん。いいよー」 「鉄板ナポリタンと、ルンバルンバ二つですね。少々お待ち下さい」  カロリーを気にしていた割には、カフェモカにバニラアイスと生クリームがてんこ盛りドリンクをオーダーかよ。  俺は「バカップルだな」と思いつつ厨房に引っ込んだ。 「お待たせいたしました。ルンバルンバです。直ぐにナポリタンもお持ちします」  そう言いながらルンバルンバを二つテーブルに置いた。 「うひょー! 美味そう」 「あ、ねぇねぇ、コウキ、あたし生クリームあんま得意じゃないんだ。食べて?」 「あ、いいよ。こっち入れなよ」 「わーい」  耳に入ってくる会話を聞きながら厨房へ戻る。すぐに出てきた鉄板ナポリタンをまたテーブルへ運ぶ。コウキ君のルンバルンバは山盛りの生クリームでドロドロになっていた。それを「うひゃひゃ」言いながら楽しそうにかき混ぜてる。 「お待たせしました。鉄板ナポリタンです」 「おー! 美味そう!」 「ホント、美味しそ~!」 「ごゆっくりおくつろぎ下さい」  伝票をテーブルへ置いて頭を下げる。背後の会話が聞こえた。 「ん? ちょっと食べる?」 「えー。いいよぉ」 「ふはは。いい匂いでしょ?」 「ん~……じゃあちょっとだけぇ」  なんだかんだ言って優しい男だな。  いつもならこの時間、深夜徘徊組がちょろちょろ現れるくらいなのに、今日はやけに客が多かった。もう一時も過ぎたというのに、客が途切れない。今度は男四人。どっかのクラブでイベントでもあったのかもしれない。  店長がニコニコして俺を手招きした。
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