replication

4/5
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
現場に残された物品から、教授が自殺を行った状況を推察できた。 まずアンプルであるが、こちらには簡易検査の結果、教授を含め我々アンドロイドに致死的な、ある種のウイルスが含まれていた。 このウイルスをアンドロイドが摂取すると、第一段階として疑似血液中のナノマシンを不活化し、疑似血管との親和性を低下させる。 さらに第二段階として体内各所の免疫エンジンを暴走させ、ネクローシス及びアポトーシスを誘導する。 数10分でアンドロイドの天然孔から疑似血液が噴出し、数時間後体組織は液化、硬組織のみが残る。 以上のウイルス以外にも、2種類の化学物質が見つかっている。 どちらも我々の生活圏内で調達可能な物質だが、組み合わせることで小規模の爆発を起こす液体爆薬を合成できる。 この化学物質が教授の体表ではなく、胃粘膜の残骸から検出できた。 また、任意の物質を胃に届ける目的で用いられる医療用カプセルの溶け残りも2つ、同様に胃粘膜上で発見されたことから、教授は各々の化学物質を医療用カプセルに封入し、それらを飲み込んで体内で液体爆薬を合成したものと考えられる。 起爆に用いた信管は体内ナノマシンの診断用閃光であろうが、こちらはナノマシンの動作状況の確認による裏付けが必要だ。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!