replication

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どうせ自殺だろうから改めて考えるまでもないが、報告書作成のために分析しておく。 アンプルとカプセルどちらが先か、であるが、これはアンプルが先だろう。 脚部の状況から、教授の体は部屋の中心か、中心に近接した場所で爆発したはずだが、その爆発の陰になるはずである書斎机の付近に教授の疑似血液が大量に付着していた。 爆発する前に疑似血液塗れの体で書斎机に触れていたのだろう。 恐らくアンプル、カプセルの順番で飲み込み、アンプルによる第一段階が進行中に書斎机に触れ、カプセルが溶け切った頃合いで部屋の中心に移動した。 続いてナノマシンに胃潰瘍か胃アトニーだかの診断命令でも出したのだろう。 そして教授の体は腹部を中心に爆散し、メイドに破裂音と振動が伝わった……と。 これぐらいの報告書で上司も納得するだろう。 自殺の動機は件の”メッセージ”と適当にこじつけて、1か月後くらいに報告すれば上の連中の顔も立つし、波風立たずに済むのではないか。 そう勝手に納得して現場を切り上げようとしたところだった。 「掌田(しょうだ)補佐より連絡ですよ、呉(くれ)主任技師」
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