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緒 言
可移植性性器肉腫とは、性行為により他の感受性固体に感染する特殊な悪性腫瘍である。
かつては、人類の愛玩動物であったある種の動物――イヌと呼ばれる――のみに認められた性病であるが、近年、人類及び我々アンドロイドの中にも感受性固体がいることが明らかになり、社会問題となっている。
病態はその名が示すとおり、性器に生じる肉腫が顕著であり、罹患者が性行為又は排泄行為を行う折に発見することが多い。
元来の保持者であったイヌにおいては自身の生殖器を舐める性質があったために、肉腫が性器から口腔粘膜、鼻腔粘膜、皮膚等に伝播する自家感染が生じていた。
ここで興味深いのは、人類の中でも可移植性性器肉腫を口腔や皮膚に発症あそばされる玉体が多いことである。
我らが創造主たる人類がなぜ畜生と類似した病態を発現するのかについては後続の研究が解明することを期待する。
今回著者はアンドロイドに生じた性器肉腫の継代を続け、その病害、感染経路、細胞由来について一定の知見を得たので報告する。
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