[4]

2/2
前へ
/44ページ
次へ
『姫、これでよかったのだろうか。彼は……』 「いい」 『しかし、忍巨兵(しのびきょへい)が、ワタシが目覚めたということは……』 「それが"ねがい"だから」  眉一つ動かさずに少女は呟く。 「わたしは、あくま」  忍巨兵であるクロスが彼女を間違えるはずがない。だがクロスの識る"姫"とはどこか違う雰囲気に、それ以上はなにも言うことができなかった。  刹那、強大な気配にクロスはその場を飛び退いた。  今までクロスのいた場所を長大な刃が通り過ぎ、舞い散る飛沫の中、月明かりに銀のシルエットが映し出される。 「お前が悪魔だろうがなんだろうが関係ない。我が主がお前を求めておられる」 『キサマは、やはり潜んでいたのか!』 「その娘を渡してもらおうか。忍巨兵とやら」  明らかに先までの鎧武者とは気配が違う。ロボットというよりも陽平たちを襲っていた張本人が、新しい体で戻ってきた。そんな印象を受ける姿に、クロスは嫌な予感を振り切ることができなかった。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加