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辺りは真っ暗だった。
どこにいるかも分からない。それなのに自分が向いている方向が前だとでもいうように、ただひたすら歩いていた。
しばらく歩いていると、何かの気配を感じた。それが手に触れそうなほど気配が近づいた時ー
「…またか」
また同じ夢だ。いつも"何か"が分かりそうなところで終わる、ここ最近ずっとみている夢。何かの暗示なのか、それともただの偶然なのかさっぱり分からない。何にしてもあまり気持ちのいいものではない。同じ夢というだけでも飽きてくるのに、場面はずっと暗いまま。感じるのは得体の知れない気配だけなのだから。僕の時間は夢の中で止まっている。
「学校行くの面倒だなー」
この夢を見るようになってから熟睡は出来ていない。そのことを心配した友人に夢のことを相談したこともあったが、疲れているからだと言われた。まぁ、ほかに言いようがないのだから仕方ない。それでもー。
「誰か何とかしてくれよ」
独り言は虚しく、部屋の中に響いた。
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