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レジスタンス組織・ソルジャーチルドレンに侑斗と莉菜が所属することになったのは、もう三年も前のことになる。
神に愛されなかった存在――神が存在を否定した存在。自分たちは、そういう集まりだった。神――正確には、神の声が聞こえるという元帥が“悪魔の子だ”と断じた存在は問答無用で逮捕することが可能になってしまったご時世である。抵抗するなら射殺しても良し。自分と莉菜、そして同じ大学に通っていた翔と瑞穂の二人。四人はほぼ同時にこの組織に属することになったと言っていい。
目的は一つだ。自分達の人権を取り戻すこと。
アリデール神教の支配から、この国を取り戻すことである。
『アリデール神教を率いて、実質この国で独裁政治を行っているダレンマ元帥は。宗教を利用して、人々を思い通りに操っているだけなのだ。自分の好む容姿、好む性質の人間だけが自由に歩ける世の中を作ろうと画策している。……この国だけの問題ではあるまい。この国の支配が完全に完了すれば、ダレンマは次は必ずや国外まで手を伸ばすことだろう。これが世界征服でなくてなんという?それも、差別と偏見に満ちた、極めて悪質な恐怖政治だ』
自分たちのリーダーである、真島薫はそう言って自分たちを招き入れてくれた。
『見目が違うというだけで特定人種を差別した奴ら、特定人種だけが優れているとしてそうではない者達を虐殺した連中と同じ。神の選別という理由で、彼らは当たり前のように私達を抹殺しようとしている。私達はただ、当たり前のように愛する人と結ばれ、太陽の下を歩きたいだけだというのに。……歓迎するよ、同志達。私達の願いは、君達と同じ。ただささやかな、普通の人間と同じ幸せを勝ち取りたい……それだけなのだ』
真島は侑斗達と同じ痛みを抱えた存在だった。愛する人と結ばれることを許されなかったばかりか、二人とも無理やり逮捕されて連行されそうになったらしい。抵抗した結果、真島の愛する妻はその場で射殺されたという。その時、まだ彼女はたったの二十三歳であったそうだ。
以来、妻の死を無駄にしないため、歪んだこの世界を正すため仲間を募り戦い続けているのだという。七十三歳という年齢を感じさせない若々しく機敏な行動力と身体能力、それでいてどっしりと構えた威厳ある佇まいはまさに自分たちの主将として相応しい。革命の帝王、真島薫の名は今やあのダレンマ元帥さえ恐るほどに広まっている。
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