呪いのような言葉

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「大人の世界では、常に必要なときに100%の結果を出さなきゃ、淘汰されていくんだよ」 いつも、そうだった。 おれは、大事な時に100%の結果を出せない。 学生時代も、義理の親からはテストで100点とれないことを馬鹿にされ、中学から始めた陸上部でも、いつも中途半端な成績しか残せなかった。 そんな自分が嫌で、死にたいほど苦しい思いを何度もしてきたのに。 唯一俺が心から楽しみ、生きがいとしてきたバンドという場所でも、俺はこの世に何も残せないのか? 「ハッ……」 息をするのさえも苦しくて、声が出なかった。 「今回は非常に残念な結果になったが、君の整った容姿。別な使い道を考えたら、うまくいくんじゃないのか?」 頭を下げた俺に、社長がいたわるように肩を叩いてくる。 言葉とは裏腹に、社長の口角が少し上がって見えた。
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